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12.20公開 映画『私の想う国』女性たちの言葉

ピノチェト軍事政権下キューバに亡命し、現在パリに住むグスマン監督が、リーダーもイデオロギーもない新たな女性中心の社会運動を目の当たりにして自らカメラで捉えた『私の想う国』
『チリの闘い』で知られる、ドキュメンタリー映画の巨匠、パトリシオ・グスマン監督最新作です。
2024.12.20[金]よりアップリンク吉祥寺、アップリンク京都
2024.12.21[土]より新宿K's cinemaにて公開

作品内でインタビューに答える女性たちの言葉を一部ご紹介します。


目出し帽の女性

花は自分の象徴だからです。 
タトゥーも入れてますし、私自身を表すものです。
信じられないけれど…
この蜂起で、自分が花開いたと言えます。
私に力をくれたし、生きる目的もくれた。
人々を助け人々のために闘う。
それが心に響き、生きる糧になりました。
政治とは関係ない、支持政党もありません。
私だけじゃなく、。多くがそう思っています

カタリナ・ガライ 学生

とても不思議な感じでした。 
サンタ・ルシアの駅を出ると、
皆が鍋を持って叫びながらディグニダ広場に向かってました。
涙が出てきたのを覚えています。
普段そんなことをしない人たちが、プラカードを持って叫んでた。
泣きながら女友達の手を取り言いました。
以前から話していたことに、人々がようやく気づいたんだと…
女性や国民、地域や労働者への搾取や、
社会システムの抑圧に、気づいたのです。

ノナ・フェルナンデス 作家

でも あの無秩序の金曜日が、すばらしかった。
皆 踊って高齢女性まで…
どう言えばいいのか
今も残っているのは、心わき立つ瞬間。
魂が肉体に戻ってきた感じ、
珍しい! 私たち皆に火がついた!と。

ニコレ・クラム 写真家

失った目の写真を撮ってと言われました。
衝撃的なのに、本当にいいのか聞くと、
チリでは人権が侵害されていると、気づいてほしいと。
20 mも離れていない所から目をめがけて撃たれた。
この事実を皆に知ってほしいと言われました。
カメラは不可欠な役割を果たしました。
私たちを殺したり、拷問できなかったのは、
そばで10 台のカメラが撮影していたからです。
でも だから私たちが標的になりました。
記者やカメラマン私たち全員を、毎回 標的にして、
撃ってきたのです。私も目を撃たれました。

“ キティ” ボランティア救命士

抗議の動機は、一つではありません。
高揚期を過ぎても抗議するのは、普遍的な不満があるからです。
法律では変わりません。今 行動するしかない状況なのです。
両親は悲惨な年金で暮らし、兄弟は癌で死にかけ、
自分は銀行から借金を断られ子供を学校に通わせられない。
今すぐ解決策が必要なのです。
だから皆 諦めて、家に帰るのが嫌なのです。
もう自分たちで実現させるしかないと。

モニカ・ゴンサレス ジャーナリスト

独裁政権時代には女性たちは、獄中や強制収容所に、
夫や彼氏を捜しに行っていました。
行方不明になったからです。
遺体安置所や病院を捜しながら、
同時に他人の家で洗濯や掃除の仕事をしていました。
その後 徐々に自分たちの生活を立て直しました。
後戻りはできません抗議は女性たちの姿であり声です。
この国で後戻りはない。女性たちは激怒しています。 
当たり前です正当な訴えです。

マリア・ホセ・ディアス ヘラキャンプ代表

ここに住めば現実が見えます。
突然 キャンプには 犯罪者がいると非難される。
私は夫と娘3人といるけれど、誰も犯罪者じゃない。
私たちは家族だけで、住める場所に来ただけです。
私たちが語ることこそ 現実です。
政治家たちは富裕層として守られ何も知りません。
パンや牛乳がないことが分からない。
私たちは平等を求め闘います。
そのために皆が団結したからこそ、 
広場が美しく、盛り上がったのです。

М ・J・サンマルティン 映画監督

遠くから鍋の音が聞こえてきました。
私たちは鍋を取り出し叩き始めました。
1時間たつと すばらしいオーケストラになっていた。
私たちは言われ続けて育ってきました。
“ 政治と宗教に関して話すべきではない” と。
意見を言うのはマナー違反だと、
今 この国では政治家が国民と断絶しています。
でも国民も政治家や政治と断絶している。
私たちは騙されてきたからです。

クラウディア・ヘイス 政治学者

前例がないレベルの暴力が続いています。
抗議行動を弾圧するために軍事的手法を使うのです。
それは暴力を正当化し 法を無視するために用いられます。
つまり軍や警察学校で教えられているような
国家の統制がチリにはないのです。
独裁政権から続く多くの問題を隠蔽しました。
これは私たちが独裁政権から受け継いだ問題を
野放しにした代償だと思います。

ナタリア・エンリケス 医師

長い間 全てはお金次第でした。
安い労働力で大金を稼ぐ人々がいて、
教育も健康も欲しければ金を払えと言われます。
それが当たり前なことに憤りを表明したのです。
ついに怒りが称賛されそれが花開いたのです。
地域住民が組織化し“ 住民集会” が現れました。
皆 組織化を望んでいました。 
人々の望みは憲法の改正でした。
政府の隠蔽とは裏腹に現実に気づいてしまったからです。
憲法も政治体制も最低だと人々が気づいた。


シビラ・ソトマヨール 集団ラス・テシス

この1 年、チリで民衆が蜂起しています。
リーダーは不在で何処かへ誘導する意図もない。
主導者もいない民衆蜂起です。
求めるのは社会文化と共に起こるべき変化です。
だからこそ民衆蜂起での人々の要求は常にフェミニスト的なのです。
解決策にもフェミニスト的観点が必要です。
それは別物でも二次的な要求でもありません。
現体制は非常によく考えられた邪悪なシステムです。

ダマリス・アバルカ チェス競技者

憲法改正と新憲法を守らなくてはなりません。
チェスは戦闘であり対決です。
同時に出会いや対話の場でもあります。
チェスの女神カイサは戦争と繋がりがあります。
でも女神が“ 戦闘をやめチェスをしろ” と
“ ボードを介して対話し考え想像し創造せよ”
“ 外で戦うな”
戦闘を終わらせるために決して殺さず捕らえるのです。
キングにもしかるべき方法があります。

アロンドラ・カリリョ 心理学者

世界で初めての平等な憲法を起草することを念頭に置きました。
私たちの戦いの対象はごく一部でした、
質が高く性差別のない公教育を無料にすることや、
ある鉱山の開発計画に反対することです。
そこから普遍的な問題や、
家父長的暴力の問題に視野を広げました。
今 私たちは同時に全てを議論しています。
大きな地殻変動が起こるところまで。

バレンティナ・ミランダ 学生

2019 年の弾圧で私たちが苦しんだことが、
制憲議会への実を結んだと知りました。
中高生だった私たちが踏み出した最初の一歩が
チリの全ての人々の社会闘争になった。
あの日 “ もうたくさんだ” と叫んだ私たちの熱意で、
新憲法を作ります。
それが最大の責任です。
前進することもです。

エリサ・ロンコン 言語学会会員
※制憲議会の議長でチリ史上初の先住民族マプチェの女性議長

決して敗北しないという意味の“ マリシウエウ” は、
歴史的な強さがある言葉です。
私は祖母から学びました。
祖母が何かを達成した時に使っていた言葉です。
私も何かを達成するにはこの言葉が必要だと。
“ マリシ” は“ 永遠に” という意味です。
“ マリシポイェユ” はあなたを永遠に愛する。
“ マリシ” をつけると全ての言葉が永遠になります。

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