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絶賛公開中『サタデー・フィクション』トークショー第一弾 2023/12/1    登壇者:森直人さん、徐昊辰さん

 12月1日、『サタデー・フィクション』トークショー第一弾が開催いたしました。
 全国公開中のロウ・イエ監督の『サタデー・フィクション』イベント企画として、12月1日、映画評論家森直人さんと映画ジャーナリスト徐昊辰さんの登壇によるトークショーがアップリンク吉祥寺にて実施いたしました。映画の物語が始まるのは82年前の12月1日。
 ロウ・イエ監督の作品を熟知している森直人さんと徐昊辰さんの登壇により、話は映画の物語の入れ子構造からロウ・イエ監督の作品や中国検閲などまでわたり、いろいろ面白いトークが展開されました。
 
 映画の主なロケである蘭心大劇院は、上海にある150年以上の歴史を持つ有名な劇場。『サタデー・フィクション』の中国原題は『蘭心大劇院』。上海出身の徐昊辰さんは、「建物は現役です。上海の人なら誰でも知っている、あの有名な老舗の大劇場です。この映画の撮影後、リニューアル工事がありました。だから、このリニューアル前の姿はもうこの映画にしか見えない」と語りました。そして、「ロウ・イエ監督はやはり上海生まれで、中国映画界の巨匠でもあるので、よくそこで撮影の許可をもらえたと思います」と話し、蘭心大劇院で働いていたロウ・イエ監督のお父さんのことをも言及しつつ、舞台となった蘭心大劇院が持つその歴史性や監督にとって特別な場所であることをアピールしました。
 
 続いて、映画的にはクラシックな先行作品を参照していると語る森さん。例えば、マレーネ・ディートリヒの『間諜X27』(1931)と『上海特急』(1932)、そして『カサブランカ』(1942)まで。また、『サタデー・フィクション』に影響を与えた先行の作品に対して、お2人は強く共鳴しました。
 
森:「やっぱりヒッチコック!」
徐:「『めまい』(1958)ですね!」
森:「コン・リーさんが扮するユー・ジンがオダギリジョーさん演じる古谷   の亡き妻美代子にそっくりっていう、これが『めまい』でキム・ノヴァクが扮するマデリンとジュディという、運命の女性、ダブルイメージと同じです」

 また、ロウ・イエ監督の前作の良さと話題性を話しながら、中国の検閲システムに向かっても自分のやり方を持ち堪える監督の「戦士」の姿まで話が広がりました。トークショー終了の時間が近づくと、ロウ・イエ監督の作品が外れなしなので、鑑賞すると、いろいろ発見があるのではないかとの森さんの話にと共に、終了しました。
 
クレジット
監督:ロウ・イエ
出演:コン・リー、オダギリジョー、中島歩、トム・ヴラシア、パスカル・グレゴリー、マーク・チャオ 、ホァン・シャリー、中島歩、ワン・チュアンジュン、チャン・ソンウェン
2019 年/中国/中国語・英語・フランス語・日本語/127分/モノクロ/5.1ch/1:1.85/日本語字幕:樋口裕子
原題:蘭心大劇院/英題:SATURDAY FICTION/配給・宣伝:アップリンク/©YINGFILMS

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