画像データ×点群データによる無電柱化3Dイメージの生成(第39回優勝社 電駆ビジョン株式会社)
都市整備局と電駆ビジョンがキックオフミーティング
東京都はこれまでに開催したピッチイベント「UPGRADE with TOKYO」で優勝したスタートアップの皆様と都政課題解決に向けて協働を進めています。
今回は、第39回優勝の電駆ビジョン株式会社との間で行われたキックオフミーティングについてお伝えします。
私道の無電柱化を進めるため、地域住民に分かりやすい形で現地の変化を提示したい
都市整備局では、震災時の避難や消火救援活動に向け、木造住宅密集地域にある私道を無電柱化する取組を推進しています。
事業にあたっては、私道の地権者や沿道の方々等の関係者のご理解、ご協力を得る必要がありますが、紙に印刷した図面等による現行の手法では、専門的な図面を見慣れない方々にとっては無電柱化前後の変化をイメージしづらく、無電柱化の実現につながっていないという課題があります。
電駆ビジョンとの協働事業は、電駆ビジョンの3Dスキャンアプリ「Points 3D」を拡張し、現場を撮影して数十秒から数分程度で高精細な3Dモデルを生成するほか、そのモデルを別途編集することで無電柱化後のイメージを作成できるシステムです。
画像×点群の特許技術によって高精細な3Dモデルを生成
電駆ビジョンが提供する「Points 3D」は、自社が特許を保有する「画像と3Dモデルの重畳法(特許第7530102号)」を活用し、カメラから撮影した画像データと3Dスキャナから取得した点群データを組み合わせることで高精度・高精細な3Dモデルを生成することができます。
今回の協働プロジェクトにおいては、この「Points 3D」を基盤として、対象となる私道の3Dモデル生成を行い、モデル上で道路上の電柱・電線等を削除する機能、CADデータをインポートし、地下の埋設物等を3Dモデル上に反映する機能等を新たに開発する想定です。
無電柱化工事は、単に地上の電線や電柱をなくすというだけでなく、それらの代わりとなる設備を地下に埋めこむなどの対応も必要となるため、原寸大の3Dモデル上で地下の埋設物をシミュレーションする機能も必要となるのです。
従来は紙に印刷した専門的な図面や、架空の現場を想定したイメージ図を使用して関係者への説明を行っていましたが、本システムを活用すれば、それぞれの現場そのものを3Dモデル上に再現し、実際に無電柱化がなされた後のイメージを提示できます。
そのため、「自分の暮らしている私道が実際にどう変わるのか」ということに大きな関心を寄せる私道関係者の方々に対して、デジタル空間上で現場そのものを見ながら検討いただくことが可能となります。
都市整備局・電駆ビジョンによる協定締結に向けて
10/4(金)に実施されたキックオフミーティングでは、協働内容やスケジュール、費用、権利の取り扱い等を取り決める協定書作成に向けた今後の流れ、各関係者の役割分担等について認識合わせを行いました。
今後はシステム要件定義に必要となる情報を集めつつ、それらを活用してどのようなシステムを構築すべきか、本格的なプロジェクト開始に向けた協定内容の検討を行っていくほか、現行性能を把握するため「Points 3D」の実地検証等も実施する予定です。
◆キックオフ会議の様子