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区内大学・商店街と連携した観光・飲食情報の発信(第33回優勝社 株式会社RelyonTrip)

今回は、2023年度に実施された第33回ピッチイベントに優勝した株式会社RelyonTripとの協働プロジェクト「区内回遊促進に向けた先端技術の活用」について、主管部局である千代田区へのインタビュー形式でご報告いたします。

第33回ピッチイベントのテーマを「区内回遊促進のための先端技術の活用」とした理由は何か。
千代田区では、大手町や丸の内といった日本屈指のビジネス街や、秋葉原のようなサブカルチャーを中心とした観光地等、皇居を中心として様々な特徴を有する地域が円状に集積しています。
各地域における来街者数もコロナ禍から回復しており、各地域で活気あるまちづくりを実現できている一方で、来街者の「回遊」という観点では大きく2つの課題があります。

一つは地域「間」の回遊で、来街者の移動は秋葉原、飯田橋、神保町といった各地域にとどまっており、別の地域への回遊はあまりされていません。
もう一つは地域「内」の回遊です。各地域内でも、国立劇場などのランドマークや観光スポットに来街者が集中し、近隣の商店街や飲食店への立ち寄りは今一歩という状況です。

以上を踏まえ、先端技術等を活用しながら、区内における来街者の回遊促進に資する技術・サービスの提案を募集しました。

ピッチ開催にあたり、スタートアップにはどのような製品・サービスに関する提案を期待していたか。
区内における回遊促進に向け、利用者がいろいろな場所に移動する動機づけを行えるような製品・サービスを期待しました。
具体的には、地図機能やMaaS機能と連携した地域内スポットの紹介・レコメンドを行うものや、スタンプラリーや謎解きイベントなど、来街者さまが回遊したくなるようなモチベーションを想起させるものをイメージしていました。

ピッチに出場した5社の中で、RelyonTrip社が優勝した理由は何か。
各社とも独自の強みをお持ちの中、以下3つの要素が決め手となりました。

① 継続性:
2年目以降も千代田区と協力者(※1)が自走できる環境づくりが出来るか。回遊施策は中長期で取り組むべき施策であり、2年目以降に都の助成がなくなっても実施出来る内容である必要があったため。

② 地場との連携のしやすさ:
区内の大学や商店街との連携といった具体案が提案にもりこまれていたこと。協働自体が初めての試みであり、ご提案いただいたソリューションをどう生かすかのイメージをつけるのが難しかったなか、RelyonTrip社の提案はイメージがつきやすかったため。

③ 拡張性:
今回の協働による成果をもとに、周辺の課題も同時に解決することが出来る要素があったため。(例:多言語対応、オーバーツーリズムの解消、など)
(※1 本施策に協力してくださる方々、例えば回遊スポットが個店や商店街など、自治体とは異なる主体だった場合などを想定)

大学との連携に向けた調整状況等、これまでの協働プロジェクトの進捗はどのような状況か。
区内大学の一部で形成する「千代田区内近接大学の高等教育連携強化コンソーシアム(通称「キャンパスコンソ」)」と連携し、大学の授業としてフィールドワークを実施予定です。
具体的には大学授業内で複数のグループに分かれて千代田区の魅力的なスポットやテーマに沿ったルートを抽出した後、現地に赴いての取材を行います。これらの授業に対するご指導について協働スタートアップであるRelyonTrip社に全面協力していただきながら、大学のご担当者さまとも連携し授業のカリキュラムや日程など確定し、11月の最終発表に向けて順調に進めております。
こうした活動で得られたスポットやルートの情報をアプリに実装することで新たな回遊を生み出すことを目指します。

協働プロジェクトを推進するうえで、障壁となった事象や課題等はあったか。
現段階では本事業についての協働に大きな障壁や課題は感じておりません。
強いて言うのであれば、課題とならないように実施前の庁内調整を入念に行ったことでしょうか。
また、先の話にはなりますが、今後、区が独自に行政課題解決に向けた協働を継続して行うにあたっては、組織を横断して課題を抽出・提示する仕組みや、東京都様が行っているトライアル発注制度のような「地方自治法施行令第167条の2第1項第4号に関する随意契約」の制度化(千代田区は未実施)を行う必要性を感じています。

これまでの取組を踏まえ、今後はどのような取組を予定しているか。
今後の取組としては、今年度のプロジェクトの成果報告を行う3月の時点で、内容の改善や継続について判断していきたいと考えています。
結果が好調であれば内容の拡充、例えばより多くの大学と連携する、回遊促進の対象範囲を広げる(今回主に区内東側エリアを対象としている)などを検討しています。

本協働プロジェクトを通じて、スタートアップとの協働を行うメリットとして挙げられることは何か。
実感として、スタートアップ事業者の皆様は、独創性と柔軟性、スピード感に富んでいると感じています。
また「データ」取得とその活用について鋭い嗅覚を備えており、従来の課題はもちろん、それまで課題として見えていなかった部分の可視化、あるいはその前段階としての気付きを得ることができています。
費用面についても、システム開発など初期費用の問題からハードルが高くなりがちなところ、東京都からの支援を通じてその障壁を取り除いていただくことで試行できたことは大きなメリットと感じています。

これらのメリットを継続するためにも、令和5年度から区内のスタートアップをはじめ多様なステークホルダーをつなげるコミュニティ「千代田CULTURE×TECH」を始動しています。

令和6年6月の段階ではコミュニティ形成の段階ではありますが、今後は前述のような制度づくりと協働による行政課題解決を目指し活動中ですので千代田区にいらっしゃる皆さまは是非ご参加下さい!

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