高齢者のデジタルデバイド解消に向けて(第14回優勝社 株式会社べスプラ)
株式会社べスプラ(東京都渋谷区)との連携
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、デジタルインフラの整備や個人向けサービスにおけるデジタルの活用が加速してきた中で、行政手続においてもデジタル化が進み、行政サービスの利便性が向上してきております。一方で、インターネットやデジタルデバイスを使える人と使えない人の間に生じる情報格差の課題が顕在化しており、特に高齢者がデジタルサービスの恩恵を享受しにくい状態にあります。
株式会社べスプラ(東京都渋谷区)との連携では、べスプラ社が運用する「脳にいいアプリ」を活用して、高齢者がスマホを便利で身近なものだと感じてもらうことによって、スマホ利用率、利用頻度を向上させ、デジタルデバイドの解消を目指す取り組みを行いました。
脳の健康維持アプリ「脳にいいアプリ」
「脳にいいアプリ」は、バーチャルに散歩を楽しめる歩数管理やユーザー同士で対戦できる脳トレなど、楽しみながら継続につながる設計となっており、『通知』『歩数』『食事』『脳トレ』『評価』の機能があります。
また、『人工知能』を搭載しており、活動内容を学習してその人に最適な活動を提案します。自治体での導入実績もあり、簡単に楽しんで使えるため、無理なく使い続けることができる高齢者向け健康アプリです。
株式会社べスプラとの協働について東京都デジタルサービス局の担当者へインタビュー
「高齢者にとってスマホが便利で身近なものに」をテーマとしたUPGRADE with TOKYO第14回。テーマ設定の背景や優勝社が選ばれたポイントについて、東京都デジタルサービス局の担当者にも話を聞きました。
第14回のテーマを「高齢者にとってスマホが便利で身近なものに」とした理由は何か。
東京都デジタルサービス局では、新型コロナウイルス感染症拡大を契機に、都民等が行政手続をはじめとする行政サービスをいつでもどこでもデジタルで完結できる環境の構築を加速させていくこととしています。一方で、国の調査によると、インターネットの利用率や現代の主要なデバイス機器であるスマホの保有率は、特に65歳以上で低くなっていることがわかっています。
そこで、官民のあらゆるサービスがデジタル化していく中で、デジタル機器に不慣れな高齢者等がデジタルの恩恵を受けられるよう、デジタルデバイド(インターネットやパソコン、スマートフォン等の情報通信技術を利用できる者と利用できない者との間に生じる格差)の対策に取り組んでいます。
スマホがこれだけ普及した現代において、現にスマホを使っていない高齢者の方は、スマホを「必要のないもの」であったり、「難しそうなもの」と捉えている可能性があると考えられます。そこで、高齢者の方がスマホを便利で身近なものと感じられるようなきっかけづくりにつながるテーマを設定しました。
ピッチ開催にあたり、スタートアップにはどのような製品・サービスに関する提案を期待していたか。
高齢者の方にスマホを便利で身近なものと感じてもらうため 、ユーザーインターフェイスに優れ、また、シニア層が興味を持ち 、日常生活で、日々、スマホを継続して使いたくなるようなコンテンツの提案を期待していました。例として、高齢の方の日常におけるコミュニケーション等に役立つアプリを想定していました。
株式会社べスプラが優勝した要因は
最も重要視したのは、「スマホを使ったことがない高齢者が使いやすい」という点です。ベスプラ社の提案した「脳にいいアプリ」は、趣味嗜好に関わらず、多くの高齢者にとって関心の高いヘルスケアに関するコンテンツであり、ユーザーインターフェースを含め、高齢の方に特化した設計ということが高く評価されました。また、「日常生活で、日々、スマホを継続して使いたくなるような仕掛け」として、東海道五十三次などコースを選べるウォーキングチャレンジやユーザー対戦型の脳トレなど、楽しんで続けられるコンテンツが充実している点も評価のポイントでした。
これまでの取組を踏まえ、今後はどのような取組を予定しているか。
今後も東京都デジタルサービス局では、高齢の方にとってスマホがより便利で身近なものとなるよう、区市町村や民間企業・団体等とも連携し、スマホを体験できる場や、スマホについて相談できる場を提供してまいります。
本協働プロジェクトを通じて、スタートアップとの協働を行うメリットとして挙げられることは何か。
第14回ピッチイベントに参加していただいた5社の提案は、どれも個性豊かなものばかりでした。身近な人が身近な場所で助け合うデジタル社会を実現するため、今後も官民が連携してデジタルデバイドの対策に取り組んでいければと思います。