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第39回「デジタルコンテンツを用いた私道無電柱化の推進」

UPGRADE with TOKYO 第39回(テーマ「デジタルコンテンツを用いた私道無電柱化の推進」)を開催しました

東京都が抱えるさまざまな課題の解決に向け、これまでにない製品・サービスをスタートアップ企業が紹介するピッチイベント「UPGRADE with TOKYO」が9月20日(金)に開催されました。
第39回目となる今回のテーマは「デジタルコンテンツを用いた私道無電柱化の推進」。3Dモデリングや画像生成AI等の技術を有した企業5社がピッチに臨み、自社が提供する3Dスキャンアプリ「Points3D」を活用した無電柱化イメージ生成を提案した電駆ビジョン株式会社が優勝しました。

私道無電柱化を推進するため、より分かりやすい無電柱化イメージを提示したい 

東京都は、震災時の避難や消火救援活動に向け、木造住宅密集地域にある私道を無電柱化する取組を推進しています。これにあたっては、私道の地権者や沿道の方々等の関係者のご理解、ご協力を得る必要があります。
現在は、無電柱化前後の変化などを、紙に印刷した図面等を用いて説明していますが、専門的な図面は、見慣れない方々にとって必ずしも分かりやすいものにはなっておらず、誰でも容易に理解できる説明を行うことが当事業における課題となっています。

そこで、関係者の皆様のご理解を促進するためにより理解しやすい情報提供の手段となるコンテンツ開発の提案を募集しました。

■優勝社:エントリーNo.1 電駆ビジョン株式会社
『Points3Dによる無電柱化前後の3Dイメージ比較サービス』

優勝した電駆ビジョン株式会社が提案したのは、自社のスマホ3Dスキャンアプリ「Points3D」を拡張し、現場を撮影してから数十秒から数分程度で、無電柱化後の情景を生成するシステムです。
 
スマホのLiDAR機能から取得した点群データとカメラからの画像データを組み合わせることで、写真のような写実性を持ちながら3Dモデルを生成することができます。
現場の私道を撮影してから3D化されるまで数分程度で済むほか、画面上で消したい電柱や電線などをタップすることで調整・削除を行うことができます。CADデータの取り込みもできることから、地下に埋設する配管等の構造物についても「Points3D」内にオブジェクトとして配置可能です。

本ピッチにおいては、アウトプットとなる地上・地下の3Dモデルが一般の方にもわかりやすいものとなっているか、現場での運用を想定した提案となっているか、都市整備局の要望や課題感、実際の分析を通じた今後の拡張性があるかという点が重視されました。

その中でも、一般の方にもわかりやすい3Dモデルを比較的簡単に生成できる点と、スマホアプリをベースとしているため、今後の開発における拡張性が期待できる点が評価され、電駆ビジョン株式会社が優勝しました。

今後、所管部局である都市整備局と協働プロジェクトの実施内容・スケジュール・費用等を定める協定内容の協議が行われ、本格的に協働がスタートしていくこととなります。

■エントリーNo.2  福井コンピュータ株式会社
『建設DX技術を活用した私道無電柱化の推進』
福井コンピュータ株式会社は、建設ICTのデータ(3D計画モデルや現況点群など)を基にした、3D施工シミュレーション、クラウド共有、更にAR・VR等の機能を持った自社ソフトウェアパッケージを提案しました。

■エントリーNo.3 ArchiTwin株式会社
『無電柱化の提案を3DとAIで簡単に』
ArchiTwin株式会社は、SAMURAI ARCHITECTS株式会社と共同で、デジタルツイン上での3Dイメージ生成機能と、画像・空間特化AIによる電柱・電線の自動認識・削除機能を持ち合わせたソリューションを提案しました。

■エントリーNo.4 nat株式会社
『高精度3Dスキャンアプリ「Scanat」を活用したデジタルコンテンツを用いた私道無電柱化の推進』
nat株式会社は、自社が提供する高精度3Dスキャンアプリ「Scanat」を活用した、私道無電柱化シミュレーションツール構築を提案しました。

■エントリーNo.5 ONESTRUCTION株式会社
『チャット操作可能な3Dビジュアライゼーションツール「KANTAN Demo」』
ONESTRUCTION株式会社は、自社の3Dビジュアライゼーションツール「KANTAN Demo」を活用し、チャット入力を用いた対話型の操作による直観的な無電柱化シミュレーションサービスを提案しました。

今回のピッチイベントは、私道の地権者や関係者に対する無電柱化前後のイメージを提示し、無電柱化の意義を理解してもらうとともに、将来的な工事に対する合意形成に向けた第一歩として役立てるためのソリューションを募集するものでした。

優勝した電駆ビジョン株式会社との協働プロジェクトをはじめ、都市整備局による私道無電柱化の取り組みが進み、ひいては都民の生活がより良いものとなることを願っています。


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