【対談】治療機会を最大化するソリューションを世界へ――変革期を向かえた製薬業界と、Ubie新組織「Ubie Pharma Innovation」で挑むグローバル展開
「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」をミッションに掲げ、患者さんの適切な受診をサポートするAI受診相談サービスや、医療現場の生産性を向上させるAI問診サービスなどを提供しているUbieは、世界中の人々にその価値を届けるべく、国内外の企業との連携を進めています。2020年には、海外進出の拠点としてシンガポール支社を設立しました。
そんなUbieの製薬事業を牽引し、製薬業界の変革を担う新組織Ubie Pharma Innovationは、グローバル展開の視点ではどのような課題や展望があるのでしょうか。
本記事では、現Ubie Pharma Innovationメンバーである大原、野上とUbieシンガポール法人CEOの島津が、製薬事業の課題とグローバル市場でのUbie Pharma Innovationの挑戦について語ります。
ペイシェントジャーニーを描き、変革期の製薬業界をエンパワーメント
大原聡(以下、Sam):まず、製薬業界の現状についてお話します。
医薬品の市場規模は世界で約140兆円と極めて大きく、いまなお市場成長が続いている魅力的な市場です。
一方で、医薬品を上市するためには莫大な費用を投じて数十年にもおよぶ長期の研究開発が必要です。さらに、薬価改定による価格下落や、特許期限による収益減が運命づけられています。つまり、時間との戦いが非常にシビアな事業モデルなのです。
とりわけ医薬品開発は、以前に増して厳しい状況におかれています。これまでの進歩により、すでに多くの疾患に対する治療薬が開発され、アンメット・メディカルニーズ(※1)が解消されてきました。
また、今後新薬開発のニーズが高い疾患領域は、疾患メカニズムが未だ解明されていないものも多く、開発の難易度が高いと言われています。実際、新薬開発成功確率の低下や研究開発コストの増加傾向といったデータも示されています。加えて、新薬開発のニーズが高い疾患領域が限定されつつあることで、各社の開発領域が重複し、競争環境が激化していることも課題の一つとして挙げられます。
近年、こうした諸課題を包括的に解決する糸口として認識されつつある手段が、デジタル技術の活用です。また、ビジネスモデルやマーケティングの戦略を根本的に変えるため、患者さんを中心とした創薬やマーケティングのあるべき姿を表す「ペイシェントセントリック(Patient-Centric、患者中心志向)」というコンセプトがデジタル技術の台頭により改めて注目されています。
ビジネスモデルや医薬品を届けるソリューションそのものを見直す必要に迫られ、製薬業界は大きな変革期を迎えていると言えるでしょう。
野上慧(以下、Dave):Samが言及した製薬業界の変革を具現化するために注目すべきキーワードが、「ペイシェントジャーニー(Patient Journey)」です。ペイシェントジャーニーとは、患者さんが症状を認識し、治療や服薬に至るまでの感情や行動などをプロセスとして可視化したものです。ペイシェントジャーニーの解像度を高めることで、製薬企業は患者さんのニーズに即した新薬開発やマーケティングがしやすくなり、結果的に治療機会を最大化できます。
Ubie Pharma Innovationが製薬企業に対して提供するソリューションは、まさにこのペイシェントジャーニーの設計に深く関わるものです。患者さん、医療機関、そして製薬企業をUbieが提供するプラットフォームを通じて結び、希少疾患を含め、患者さんを適切な医療へ案内するプロセスを最適化します。
つまり、Ubie Pharma Innovationのソリューションが製薬業界に浸透していくことで、患者さんや医師の行動変容を実現でき、よりペイシェントセントリックな医療が具現化していくということです。前例のないソリューションですから、まずその実現性や必要性の部分から製薬企業の皆様に理解していただかなければなりません。我々の提供価値を啓蒙し、ポテンシャルを言語化することがUbie Pharma Innovationの役割のひとつです。
Sam:ペイシェントジャーニーを再設計して、実際に現実のものとしていくようなソリューションは、他に類を見ないものです。国外のプレイヤーについては、グローバル展開をリードするNaottyの意見も聞きたいですね。
島津尚人(以下、Naotty):患者さんの症状から疾患名をサジェストし、その治療法を提案するサービスについては、海外市場にプレイヤーがすでに存在します。一方、その先の患者さんの行動変容を促すことを目指したサービスはありません。患者さんを適切な医療に案内するためのUXやオペレーションを実装しているプロダクトとしては、Ubieは唯一無二だと思います。
治療機会の最大化は世界共通の課題――各国・各疾患のペイシェントジャーニーを解像度高く描く
Naotty:Ubieは2020年シンガポール支社を設立し、APACを中心とした海外展開を進めています。その中でも要となる事業が、まさにUbie Pharma Innovationが扱う製薬事業なんです。
日本での成功事例は、Ubie Pharma Innovationのソリューションが患者さんの行動変容に対して効果があるというエビデンスを生み出しました。汎用性が高い疾患群については、このエビデンスをもとに、展開の実現性が高いものからコラボレーションを始めています。一部の国では実際に検証が進み、ディールも動き始めている状況です。
Dave:疾患は全人類共通の課題ですから、日本で生まれたベストプラクティスは他国でも同様に展開できます。すでにUbieは複数のグローバル企業との実績があり、彼らからは各国でのソリューション導入を希望する声が次々に上がっています。
Naotty:挑む課題が世界共通であることは、間違いありません。とはいえ、保険構造や医療レベルの格差は国によって異なります。各国の医療状況に応じ、解像度の高いペイシェントジャーニーを描かなければ、患者さんを適切な医療に案内することはできません。各国、各疾患に最適化したペイシェントジャーニーを描き分け、それに伴ったプロダクトの最適化を進めることで、Ubie Pharma Innovationは製薬企業に大きなリターンを生み出すことができるでしょう。
Sam:Naottyは実際に海外で事業展開を進めてみて、優位性や差異を感じるところはある?
Naotty:当初思い描いていたような成果がでなかった場合、Ubieはプラットフォームを生かして対応できることが強みかな。もしも当初の仮説通りに成果がでなかったときは、ペイシェントジャーニーを改めて分析し、真の課題を見極めて再アプローチできます。例えば、患者向け施策で成果がでなかったとしても、医療機関側のプロダクト開発により解決を図るなどの手段を取ることもできます。
Dave:あと、イノベーティブな取り組みに対してグローバル企業は前向きな印象があるよね。そのぶん求められる水準は高いけれど、よりビジョナリーなストーリーでエグゼクティブの方々を巻き込んでいくコミュニケーションが重要だな、と感じます。
Naotty:たしかに。グローバル企業の多くには、グローバルイノベーションチームやグローバルデジタルチームと呼ばれる、ベストプラクティスを横展開することに特化したチームが存在します。僕たちはそういったチームと直接連携させていただくことが多いので、まずは日本で事例創出することに注力し、そこからAPACの国々、EU、USと、ソリューションを拡げていければと考えています。
グローバルにインパクトをもたらすUbie Pharma Innovationで経験できること
Dave:最後のテーマとして、いまUbie Pharma Innovationに入社する利点についてグローバル展開を基軸にお話します。ここまで話してきたように、Ubie Pharma Innovationはグローバル展開を目指しているだけでなく、すでに各国とのコラボレーションを進めつつある状況です。
いまUbie Pharma Innovationに入社すれば、そうしたプロジェクトの第一人者として参画できるだけでなく、海外支社のコアメンバーとして活躍するチャンスもあります。グローバル志向の強い方にとっては魅力的なキャリアといえるでしょう。
また、グローバルでの意思決定権をもつエグゼクティブとやりとりしながら、価値創出の担い手として国内だけでなく海外まで大きなインパクトをもたらせる経験は、コンサルタントとして非常にやりがいを感じるものです。
Sam:Ubie Pharma Innovationが担う役割は、コンサルというよりプロデューサーに近いと思っています。製薬企業側から「この課題を解決してくれ」と頼まれたことをやるだけでなく、「これを一緒にやりましょう」と提案し、共感していただいたうえで一緒につくりあげていくパートナー的な存在だからです。患者さんの医療体験をどう向上させるかという問いに向き合うことについても、我々が製薬業界をリードし、プロデュースしていく感覚が求められます。そういった働きかけができることが、Ubie Pharma Innovationで働く醍醐味です。
Naotty:僕は事業開発視点でUbie Pharma Innovationの魅力を伝えますね。まず、直接的なユーザーフィードバックが得られることは最大の魅力です。例えば、インドやアフリカなどの国々にUbie Pharma Innovationのソリューションを届けることは、数千万、数億人の人命を救うことになります。あるいは、人々の寿命が5年、10年伸びるというような成果も夢ではありません。
さらに、それらを実現する社内的なケイパビリティやアセットは、すでにそろっています。ですから、真の課題さえ見えれば、それに対するソリューションはいかようにでも作れる準備が整っているわけです。これだけ“やりきれる”環境はユニークだと思います。
Sam:最後に、Ubieが目指すビジョンについて、それぞれの言葉で伝えましょうか。
Dave:個人的に実現したい目標として、Ubieを『スーパーボウル』でCMが流れるようなサービスに育てていきたいと思っています。
私自身アメリカンフットボールが大好きなので、毎年リアルタイムで観戦しているのですが、『スーパーボウル』は延べ1億人が視聴する国民的イベントなんですよね。そして、本当に誰もが知る企業がCMを出稿しています。個人的な想いが強すぎるかもしれませんが、そこでCMが流れるくらい人々の生活に浸透したサービスにしたい、という願いがあります。
Naotty:僕もわかりやすい例を出すと、健康飲料のヤクルトみたいな存在になりたいですね。ブラジルやインドネシアなどの新興国でも大きなシェアがあり、貧困層の人々にもその価値を届けています。生活レベルを問わず、多くの人々にその健康価値を理解してもらっているという点で、Ubieが目指すビジョンに近いと思いました。
Sam:私は、最終的にUbieが医療に関わるすべてのステークホルダーをエンパワーメントするインフラになることを願っています。ただし、僕たちが医療に関わる全機能を作るというわけではなく、医療に関わるステークホルダーのプラットフォームとなって、各々のソリューションや製品へのアクセスが容易になるのが理想です。そして、そのプラットフォームを通じ、患者さんを適切な医療に案内していきたいですね。
Dave:Samのビジョン、すごくいいね。医療に関わるステークホルダーが業務を遂行するうえで欠かせないエンタープライズになれたらいいですよね。
スケールの大きな話をしていると思うかもしれませんが、私たちが描いているビジョンは決して絵空事ではないんですよ。すでにUbie Pharma Innovationの海外案件は実現しつつあり、今すぐにでも世界各国に展開していけるフェーズまで進んでいます。間もなくUbieと、その製薬事業を牽引するUbie Pharma Innovationは世界にとって欠かせないソリューションになるはずです。その第一人者になるのは、これを読んでいるあなた自身かもしれません。
Ubie Pharma Innovationについてもっと知りたい方やエントリーを希望する方はこちらをご覧ください
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