【対談】100年に1回の大変革の「初期微動」--立ち上げから10ヶ月を経たUbieの新組織、Ubie Pharma Innovationの現在地とこれから(後編)
「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」をミッションに掲げ、患者さんの適切な受診をサポートする症状検索エンジン「ユビー」や、医療現場の生産性を向上させるユビーAI問診サービスなどを提供しているUbie。そのUbieの製薬事業を担う組織として、2021年10月に設立されたのがUbie Pharma Innovationです。
設立から10ヶ月となる現在までにUbie Pharma Innovationは何を成し遂げ、これから何を成し遂げていくのか。前編にひきつづき、製薬事業の中核をUbie Pharma Innovation立ち上げ以前から担ってきた2人が、Ubie Pharma Innovationの現在地とこれからについて語ります。
インタビュー前編はこちら↓
https://note.com/upc/n/n63f7206ae180
立ち上げから10ヶ月、苦労とプレッシャーを超えて
ーーインタビュー前編では、Ubie Pharma Innovationのこれまでの取り組みや成果について伺ってきましたが、この後編では10ヶ月やってきての苦労などについてもお話を伺ってみたいと思います。
Kei:前編で「製薬企業向けの事業開発が、プロダクトの開発と好循環をなすかたちで進展している」といったお話をしましたが、実はこの背景にはソリューション開発の大きな方向性の転換がありました。Ubie Pharma Innovation設立当初は、医師向けのソリューションが最も製薬企業への提供価値が大きいだろうとの仮説を立てて事業開発を進めていたのですが、なかなかうまくいかず苦心していました。
転機となったのは、UbieのR&D組織であるUbie Discoveryが開発した一般生活者向けサービスである症状検索エンジン「ユビー」が急拡大し、しかもさらなる成長も見込まれる状況に入ったことです。これを受けて仮説の再構築をはかり、患者向けソリューションを中心に製薬企業に提供する価値をピボットした結果、開発の好循環が回りはじめました。症状検索エンジン「ユビー」の利用者は1年ほど前には月間100万人程度でしたが、今では500万人にまで伸びています。この事実を根拠として製薬企業にいっそう説得力のある提案ができるようになったことで、新たなソリューション開発が加速したという経緯があります。
ーーソリューションの基盤における変化をふまえた迅速な軌道修正が、苦境を乗り切ったカギだったわけですね。Akiraさんはいかがですか。
組織づくりに注力してきた立場としては、採用の大変さはつねに感じてきました。前編でもお話ししたように、採用にあたってはカルチャーの一貫性を重く見て、カルチャーフィットする人を組織をあげて探し出すということを徹底しています。ただそれは、「まさにこの人を待っていた!」というレベルでマッチする人と出会うまでに、ものすごい時間がかかるということでもあります。感触としては、100名から応募をいただいたらその中にようやく1人いるかいないか、といった具合です。一分一秒でも早く、一人でも多くの方にジョインしていただきたい状況で、それでもこだわりを貫くというのはかなりシビアではありましたね。。
「初期微動」のその先へ:Ubie Pharma Innovationが乗り越えるべき次のハードル
ーー翻って、ここからはUbie Pharma Innovationのこれからについて伺っていきたいと思います。Ubie Pharma Innovationの現在の課題、今後Ubie Pharma Innovationとして取り組むべきことなどについて、お話を伺えますか。
Akira:私たちの現在地を一言で表せば、「業界変革の初期微動は起こした」ということになると思っています。Ubie Pharma Innovationが製薬業界において行っている取り組みは、20年来言われてきた「患者中心の医療」というテーマに対する一つのアンサーになっているとの確信があります。かつ、それに賛同して手を取り合って進んでくださる方々も、業界内に少しずつ増えてきています。この初期微動に続くかたちで、業界全体を巻き込む激震をいかに起こしていけるかが、これからの課題だと思っています。
一つの成果をうまく業界に浸透させて全体を巻き込んでいくことは、やはり非常に難しいです。きわめてレベルの高いビジネスであり、誰にでもやりこなせるものではありません。そこをやり遂げられる人を、今後いっそう仲間にしていく必要があるし、Ubie Pharma Innovationが事業開発の中で得てきた知見をプロダクトサイドにどんどん還元して、プロダクトの価値を何十倍何百倍へと育てていかなくてはいけません。課題は無限にありますが、ビジネスとして非常にやりがいのあるフェーズだとも感じています。
ーー業界の変革前後で、世の中はどのように変わると考えたらいいでしょうか?
Akira:わかりやすい例としては、クラウドコンピューティングの普及の前後を思い浮かべてもらえるといいかもしれません。ご存じのとおり、今や世界中にクラウドが普及して、ソフトウェアも買い切りのパッケージ製品からSaaSへとどんどん置き換えが進んでいますが、クラウドも登場した当初はまさしくイノベーションだったわけですよね。セキュリティやメンテナンス等の観点から、パッケージ製品に比べて明らかに大きなメリットがあるにもかかわらず、諸々のハードルによって、一部の先進的な企業が採用するにとどまっていた。それが、普及のキャズムを越えたと同時にあっという間に世界中を席巻し、私たちはもはやクラウド以前には戻れなくなっています。
Ubie Pharma Innovationが携わっているビジネスもそれに近いところがあります。ひとたび火がついて広まってしまえば、世界中の製薬企業がそれ以前には戻れなくなる。それだけのポテンシャルのあるソリューションをどう浸透させ普及させるかが、私たちの喫緊の課題です。世界を一変させる一歩手前で、キャズムを越えようと試行錯誤しているのが今のUbie Pharma Innovationである、と言っても過言ではないでしょう。
ーーまさしく「世界を変える」挑戦に取り組んでおられることが、あらためてよくわかりました。
製薬業界に新たなグローバルスタンダードを:Ubie Pharma Innovationの思い描く未来
ーー今いただいたお話とも直結しますが、これから数年後にUbie Pharma Innovationはどのような発展を遂げていると予想されていますか。ビジョンのようなものがあれば、ぜひとも伺ってみたいです。
Akira:私たちは現在まさに世界のあり方を一変させる一歩手前まで来ている、と申し上げましたが、それで言うともう3年後には、世界を変えることができているはずです。Ubie Pharma Innovationが提供するソリューションが、日本国内のみならず世界中の製薬企業でデフォルトになっていて、「何か施策を打つときにはまずUbie Pharma Innovationに相談を」という立ち位置が定着した世界が、もう3年後には来ているでしょう。そこから逆算すると、今から1年後くらいには、すでに私たちと協業を始めてくださっているお客さまと一緒に、いちソリューションの枠を超えたイノベーティブな取り組みをさまざまなかたちで行えているだろうと見込んでいます。そしてさらにその1年後くらいには、そうした取り組みがトップランナー数社を皮切りに多くの製薬企業に広がって、Ubie Pharma Innovationとの取り組みが日本の製薬業界におけるスタンダードになっているはずです。
ーー世界を一変させるビジネスを圧倒的なスピード感で展開していく挑戦は、並大抵ではない一方で、ものすごくやりがいがありそうです。Ubie Pharma Innovationとしてのビジョンと別に、お二人が個人として思い描いておられる未来像はありますか。
Kei:医療の負の解消、具体的には医療格差の解消に貢献していきたいという思いがずっとあるので、それをきちんと形にしていきたいですね。新卒で製薬企業に入社して以来大きなペインを感じていた、医療先進国であるはずの日本においてさえ存在する医療格差の問題に、ポテンシャルのあるHowを持ったUbie Pharma Innovationとともに突破口を開きたい。3年後には、それこそ日本だけにとどまらず、グローバルなレベルでそこに貢献できていたいし、できているはずだと考えています。
Akira:実は、私の元来の関心事は日本の地方創生にあるんです。前職でコンサルタントとして地方創生の案件にずっと携わっていて、実際に現地を訪れたりもするなかで、「街がなくなっていく」「大好きな日本という国が消滅するかもしれない」という危機感を、かなりリアルなものとして抱くようになりました。だから、Ubie Pharma Innovationでのビジネスを通して世界中の患者さんを救うことに一定の貢献ができたら、その後はまた別のかたちで日本の地方創生にコミットしたいと思っています。もちろん、医療も地方創生の最重要課題の一つですから、そこできちんと成果を出したいという強い思いはあります。ただ、Ubie Pharma Innovationという組織をつくり上げて製薬業界をグローバルな規模感で変革するところまで達成できたら、自分の中では一つやりきったとみなして、次のステップに進もうとは考えていますね。
ーーそのあたりは組織内でも多様なんですね。
Akira:おっしゃるとおりで、前編の中で「人を集めるうえでカルチャーフィットを最重視している」と言いましたが、他方で個々人のバックグラウンドや嗜好/志向は、メンバー間でかなり多様なんです。コンサルファーム出身者もいれば、法人営業メインで活躍していたメンバーもいる。医療そのものに貢献しつづけたい人もいれば、スタートアップという環境で事業開発にチャレンジするフィールドとして医療を選んだ人もいる。文化的な統一性がありながら、多様なメンバーが揃っている組織であることは、Ubie Pharma Innovationの大きな特徴の一つだと思います。
そして、そういったダイバーシティ&インクルージョンを体現する組織であることを支えているのは、個々人の働きやすさを後押しするしくみと、それをお互いに担保できるようメンバー間でカバーしあうカルチャーです。スタートアップと聞くとどうしても、プライベートや家族との時間も十分に取れないなかで身を粉にして働くイメージが湧いてしまいがちですが、Ubie Pharma Innovationにはさまざまな人が働きやすい環境が整っています。実際、幼稚園・保育園くらいのお子さんがいる社員もかなり多いです。革新的でインパクトの大きなビジネスに、健康的な働き方で挑戦できることも、Ubie Pharma Innovationの魅力だと思います。
100年に1回の大変革を、Ubie Pharma Innovationから巻き起こそう
ーー最後に、Ubie Pharma Innovationの未来のメンバーに向けて、一言ずつメッセージをお願いします。
Kei:Ubie Pharma Innovationは「製薬企業と共に業界を変革し治療機会を最大化する」というミッションを掲げて、製薬業界の変革を本気で目指している組織です。このミッションに共感し、「一緒に製薬業界を変えてやるぞ!」という気概を持って共にチャレンジしてくれる仲間を、ぜひお待ちしています!
Akira:文字どおり世界全体を覆っている大きな課題があって、それを解きうるポテンシャルが十二分にあるソリューションが手元にある。しかも、課題解決を導く力のある最高のメンバーが揃っていて、ビジネスのフェーズとしては世界を一変させる本当にあと一歩手前まで到達している。こんな貴重なオポチュニティは、100年に1回あるかないかだと思います。かつ、そんなことがこの現代において日本から叶えられる可能性があるなんて、人生を2回やりなおしたってもう出会えないチャンスだと私は思っています。ですから「我こそは!」と思う人たちにはぜひ、この機を逃さず飛び込んできていただきたいです。
そして、それと絡む話ではありますが、声を大にしてお伝えしたいのはやはり「世界を救おうぜ!」ということです。「Patient First」という言葉に込めた、世界中の患者さんを救いたいという思いを、ビジネスの力でともに実現していく。そんなアツい思いを共有して歩んでいける仲間を、私たちは心からお待ちしています。
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