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【オーディオ・ビジュアル アート入門】ライブオフィスPERCHでワークショップを行いました(2)

前回の続きになります。

ワークショップ内で、音楽史が大きく変わった『MTVの誕生』についてお話ししました。私はまだ生まれていない時代の出来事なので、先人のコラムを読んだりお話を聞いて想像を巡らすことしかできないのですが "音楽は聴くだけではなく観るもの"に変化した瞬間だったんだなぁと。
『1981年8月1日0時 MTVの誕生』は期末試験のテストに絶対に出るから覚えておけと先生に耳にタコができるほど刻み込まれそうな文言ですね。
当時の傑作と言われる作品を見返しては物凄い刺激と感動を覚えます。




この時代から活躍されているMV監督さんの中でも特別好きな映像作家さま

ズビグニュー・リプチンスキー 

ポーランド出身の映像作家/監督
1970年初頭よりデジタル技術を駆使した映像作品を多く発表し
アート・オブ・ノイズ
ミック・ジャガー
ジョン・レノン
オノ・ヨーコ
ペット・ショップ・ボーイズ
その他著名なアーティストのMVを手がけています。
ジョン・レノン[imagine]は既にプロモーション用MV作品が存在していたのですが、リプチンスキーさんにもどうしても作ってもらいたくて、ジョン・レノンご本人が直々に依頼しリプチンスキーverが制作されたとのエピソードが存在します。

特にこのアート・オブ・ノイズの[Close(To The Edit)]のMVが大好きで。
Under Worldも多大な影響を受けたという、サンプリング黎明期に「騒音芸術」という名と共に偉大なる足跡を残したイギリスの前衛的シンセポップ・バンド。

壊す・叩く・投げる・叫ぶ等の人間の動作が音とぴったりシンクし、コミカルかつ毒づいててクスッと笑えてしまう
(こんなに楽器壊しまくってクラシック界隈から怒られなかったのか)

[Close(To The Edit)]





そこから90年代に入りハードとソフトの進化により、さらに音と映像シンクの精度が上がっていきまして、とんでもない作品が出現しますね。

Hexstatic

1995年に始動。テクノ系名門レーベルであるNinja Tune(Coldcut主宰)でグラフィック・デザイナーを務めています。音楽とヴィジュアルを融合させたパフォーマンスで脚光を浴び、その手法は後にシーンの常識となりました。
こちらのColdcut&Hexstatic[Natural Rhythm]のMVを初めて観たときの感動と衝動で、今も映像を作り続けています(モチベーション下がった時に必ず観ている)

Coldcut&Hexstatic[Natural Rhythm]




そして2000年代初頭。
同年代のモーショングラフィックス,オーディオ・ビジュアル系アーティストがこぞって「この作品がきっかけでこの道を志したのであります」と言う方を多く見かける(なのでだいたい年齢がバレる)MV
制作したのはAlex Rutterfordさん。

Autechre[Gantz Graf]






ご紹介した3つの作品の共通点。




アーティスト本人が映像に出演されていないことです。
あ、何故か楽曲はイギリス出身アーティストに絞られていました(それは無意識です)



アーティスト本人が出演しないことにより、抽象的な存在である音楽がより視覚的に世界観を表現することだけに特化できる役割を果たしているのでは、と考えることがあります。

当然アーティストご本人が出演のMVも素晴らしく、ご本人のパフォーマンスを作品として何度も見返すことができるし「最高や〜何度見てもカッコええな〜」と家でお酒飲みながら鑑賞できることも醍醐味。

これは一種の性癖なのかもしれませんが「"聴いて感じた世界"を飛躍させて、"その先に見える妄想の世界"に変換する」って、無限の可能性があってすごく素敵だなと感じる次第なのです。


ワークショップの裏テーマは自身の性癖暴露、、ではなくて、音楽から妄想して映像の世界を作ることはとてもとても楽しい作業ですよ、と言うことでした。





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