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アドビのソフトからPDFの書き出しが出来なくなり最悪の場合その作業をするとアプリケーションが落ちるという話

さて、毎度の事だけど前回Adobe FontsのArekにアルメニア文字のグリフが入っていないという話をしたけど、あとで確認してみたらArek Armenianという別の名前のフォントセットをアクティブにすればArekのアルメニア文字の利用は可能だということがわかった。といってもアルメニア文字だけ別のフォントセットになっているとマルチスクリプトには使い勝手が悪いのだけれど、まぁイラレやインデザインでは合成フォントの機能が使えるので、それでやれってことなんだろうなぁ……それはともかく、いつも、こんな感じでその場の勢いだけでモノを書いているので、自分でいうのもなんだけど、内容に関しては本当に当てにならない。毎回注意しているけど、校閲かけたら黒より赤の面積の方が遥かに大きくなるという、いろいろと駄目なところが多すぎるテキストなので、ここの記事は基本、間違いや矛盾が発生したら後から書いたモノが優先するという水野ファンタジーと同様のスタンス。そういうわけなのでソードワールド並みに数字なんかは最も当てにならない、まぁ暫くは一応誤りが発覚したらその後の記事の冒頭で注意を入れていくという形でいくので最新記事の動向には注意してくださいという、フォローを要求していくスタイル……いやぁ、本当に駄目な人だ。逆に怒りを買ってフォローを外されそうだけど……まぁ、ともかく、そういうわけで、今回は前回の続き……の予定だったのだけれど、ちょっと深刻なトラブルに巻き込まれたので、先にその件についての話をしよう。まぁ、それがタイトルの

アドビのソフトからPDFの書き出しが出来なくなり最悪の場合その作業をするとアプリケーションが落ちる

という話で、InDesignでも Illustratorでも同様の症状が発生するようになった。この話は、俺の所の環境の問題だけじゃ無くてAdobeフォーラムでも話題になっているので、まぁちゃんとした話はそちらを参照してもらうとして、端的に言えば問題発生の引き金は最新のMacOSと一部のフォントの組み合わせにある。具体的にはmacOS Big Sur 11.3とある条件に引っかかるフォントのコンビネーションで発生している。
このある条件というのが、アドビフォーラムのはなしによると、フォントのStyleNameでCondensed ItalicやBold CondensedとなっているところのPostScriptNameを-CnItや-BdCnなどと省略形を使っているから……などという、謎なトリガーで、やってみるとエラーになる書体の-CnItを-CNITと全部大文字に変えて保存しなおすだけでPDFへ出力不可能だったファイルが出力可能になるのだから非常に不思議で理不尽なバグだ。
OSのアップデートに関しても昨年、ハンガリー文字の話をしたときには、今回は案外大丈夫そうなどと速まって書いたのだけど、いやぁ〜やはり見込みが甘かった。いつもははじめに大きくトラブってそれが徐々に修正されるというパターンだったので、これはもう毎度のことなので最初はけっこう注意してバックアップも小忠実にとっていたんだけど、Big Surではそれがあまりおきなかったので、結構安定してるじゃん……って油断してたんだよね。それが、安心した頃に、ヴァージョンにして0.1のアップデートにより時間差でトラップが発動して➡➡➡クリティカルヒット! いや、なんでやねん!

まぁ、それで、こういう事態に陥った場合のエラー回避の方法は至って単純で、アドビからはテキストのアウトライン化を行う。問題の無いフォントに差し替える。などという、後々さらに大きなトラブルの種を囲い込むような回避策も提案されてはいるけれど、基本的にはこういう場合、問題が発生していなかった元の状態に戻すの一択でしかない……ただまぁ、諸々理由があって元の状態に戻すというのが難しいという事情があると、いろいろ悪あがきしてかえって事態を悪化させるということになると言うところまでがお約束ではあるのだけれど……で、ことはPDF化がらみなので、Acrobat を削除して何回か再インストールもしてみたりはしたのだけど、その都度インストールできてはいるのだけどインストールに失敗しましたのメッセージが出るは……まぁ、いろいろやってはみたのだけれど状況が改善する方向には一向に向かわないので、あまりシステムを弄り倒すのは諦めたんだけどね。
で、まぁ、今回のケースでは、取り急ぎの対応としては印刷用のPDFファイルがどうしても欲しい場合に限り、一旦EPSで書きだした後にDistillerでPDF変換……が何故か可能になっている……というアイデアが一番ファイルへの破壊性が低くて良さそうだけど、それをするとそれはそれでまた別にいろいろと面倒なことも多い。結局はOSやソフトウエアのアップデート頼みというところなのだけれど、問題が発覚してからそろそろ一ヶ月近く経とうというのに有効なアナウンスがないところがなんとも……さらに今回のケースが根深そうなのは、この月末に最新のOSを搭載した新機種が発売されるにもかかわらず、それまでにこの問題が解決しないとすると、最新のiMacでAdobeのソフトウエア群がまったく使い物にならない……かもしれない……という、わりと深刻な事態に発展しそうな気配がするからだ。ただまぁ、いつものことといえば、いつものことではあるかもしれないのだけど。


それで、このあたりのトラブルはType1フォント絡みの話もあるのじゃないかと邪推するむきもあって……というのは、すでにご存知の方も多いだろうけれど、フォント業界では、今年で37歳になるスケーラブルアウトラインフォントデータのフォーマットPostScript PS1こと通称 Type1と呼ばれるポストスクリプトフォントのサポートが段階的に打ち切られてきていて、不惑を目前にしてとうとうご臨終の見込みとなっている。

Appleとしては日本語のスケーラブルなアウトラインフォントコンポジットファイル群、Original Composite Font 通称OCFのサポートを21世紀のオペレーティングシステムことOSXによって打ち切った時点で、ビル・ゲイツのところと共同開発したTrueTypeやOpenTypeに置き換えてType1も過去のものにしたかったみたいだったけど、さすがにその頃はまだフォント形式としてはType1がほぼほぼデファクトスタンダードだったので、これのサポートを打ち切るのは容易ではなかった。え? 日本語OCFもデファクトスタンダードだったって? まぁ、外国企業なんで日本の事情なんて知ったコッチャないしコピープロテクトとアウトラインプロテクトがガチガチの使い勝手の悪いフォントのサポートが打ち切られて困るのは設備投資に金をつぎ込んでしまって新たにOSを更新した新機種に投資してくれそうにないDTP関連企業だけだったからね。で、そんなこんなで、まぁ、それから時代が進むにつれType1も徐々にOpenTypeへの置き換えが進んで、現在ではすでに主要なプラットフォームでの使用が不可能や困難な状況になってきている。MacOS本体のほうでも、今はまだなんとかなっているけど、サポート自体は打ち切られつつあるからだ。だからPostScriptNameの処理で問題が起きているのは、OS内部からType1絡みのサブルーチンをごっそり処分した結果、削除してはいけない部分にまで手を付けてしまったのではないのというのが邪推の中身なんだけど、まぁそんな単純な話ならこんなに時間はかからないよね? いずれにしても4:6ぐらいでOSXの方に問題が偏るような気がするけど……え、なんでその数字かって? いや、くっきりとした姿が見えているわけではないですけど、おぼろげながら浮かんできたんです。46という数字が。シルエットが浮かんできたんです!


まぁ、スピリチュアルなポエムはともかく、そういうことで、Type1フォントの産みの親、Adobe Systemsでもオーサリングのサポートがようやく再来年の2023年の1月をもって一応終了する予定になっている。少しぼけた言い方をしているのは実のところ、フォントのデータ形式というものがどの範囲までのもののことを言っているのかという技術的なことを言い出すと説明がちょっと面倒なことになるからなのだけど、エンドユーザー的にはType1フォントはもう使えませんという理解で概ね問題は無い。Type1が使われている古いファイルを再利用する場合はフォントの置き換えが必用になる。あと注意が必要なのはフォントの置き換えが難しいType1が埋め込まれてしまっているPDFファイルで、グラフィックのエレメントとしての表示、印刷はOKだけどこのテキスト部分を修正再利用しようとする場合は編集に関してはPDF対応アプリの事情次第で、恐らくType1が絡む部分で問題が発生する。まぁ、修正や変更が不要ならば、イラレやインデザインのファイルに貼り込むなど要素として利用する場合のみ当面の利活用は保障されてはいるようだけど。

というわけで、まぁ、とにかく、書体というのはコンピュータシステムからすればある種の鬼門で、過去にもゼロデイで標的型攻撃が可能になるAdobe Type Managerの深刻なセキュリティホールが話題になったこともあるけど、基本的にフォント周りはセキュリティ面から見るだけでも実を言うと問題が大きい。言い方は不正確だけどOpentypeはデータ構造どころか方法次第で悪意の有るバイナリ実行ファイルを抱え込むことも可能なので、アプリと違ってこんなものがサンドボックスな保護の外で稼働するというのはセキュリティ屋さんにとっては悪夢以外の何者でも無い。予約サイトのセキュリティホールを事細かに解説して、攻撃を誘発してしまうというテロルを誘導するような阿呆な新聞社並みの露悪的趣味があるわけではないので詳細は語らないけど、こういうことでロハだからといって野良のフォントをインストールするというのは情報セキュリティ面からはあまりお薦めはしないんだよね。まぁ、この辺も自己責任ということで。このあたりの仕組みも本当は根本的に設計し直さないとあとあと大きな問題になるような気もするんだけどね。





まぁ、というわけで……前回の続きはまた次回。

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