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EXPO2025 Color VariableとSDGs Color Font或いはフォントにおける形態心理

ほぼ同時期に流れたビッグニュースのせいでメディアでは盛り上がりがいまいちスルーされた感じになっているような気がするけれど、大阪万博の運営組織たる国際博覧会協会から先月の25日に万博のロゴマークが発表された。発表された瞬間から賛否両論でTwitterでは早速コロシテくんなどのニックネームを冠されてオモチャにされたり、デザインコンセプトがトレーディングカードのフレーバーテキスト並みだと、色々話題を博す事態となってはいるようだけれど、とはいっても別にそのデザイン的な賛否をここで論じるつもりは全くない。というかまぁ、そのあたりはわりとどうでもいいと思っている。この手のロゴタイプの良し悪しはデザインどうこうというよりも需要者のニーズにマッチできているかということのほうがより重要で、誰にどう支持されるかという、端的に言えば皆に愛されるモノになっているかどうかでしか評価のしようが無いと思うからだ。

まぁ、パワポでもレベル1の村人レベルな呪文……じゃなかった簡単なマクロでも召喚できてしまうので、ロゴを描くのにフォトショもイラレも必要なさそうな敷居の低さは良いところなのかもしれないけど、これを選んじゃうとパンフレットやチケット含め、端物の印刷物とかアイデンティティ管理やデザイン展開がいろいろ面倒くさくなりそうだなぁという気がしなくもないんだよなぁ……もっともこっちは実務には全く関わりそうにはないからシッタコッチャないけど。

でも、まぁ、個人的に言えば俺でも最終選考に残ったあの五つの中からどれか一つを選べといわれたら迷わずコレ一択だったろうとは思うのだけどね。まぁ、そのあたりもともかく、これが百年残るモノになるかどうかはみんなのLOVEにかかっているというわけだ。ここのところは本当に大切で、実際の話、愛が足らないと近年の国際運動会の東京大会のロゴタイプのゴタゴタような事態に陥ってしまうわけだからね。いや、ホント、マジで。

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そういうわけで、祭りにはやや出遅れ感はあるものの、ここでも何か作ってみようと言うことで制作したのがこのフォント。ロゴの作者シマダタモツはデザインコンセプトとして「細胞を組み替えて文字や数字を表現」可能…と主張しているので試しにトライしてみたものだが、まぁなるほどね……という結果にはなっているかな? 著作権や商標権等の問題はあるので作ったところでどうするつもりもないけど、まぁこんな感じで多軸のカラーバリアブルフォントは一丁上がりというわけ。単純にカラーフォントだけならイラレでセルを適当にならべかえたものをFontself Makerにドラッグ&ドロップすればあっという間に完成する。簡単。なので、調子に乗ってそれを多軸化したバリアブルフォントが上の文字というわけ、だけれどまぁ、他人の制作物に乗っかりすぎるのもアレなので適当に切り上げる……といいつつも、後で出てくるけど今回のテーマは、他人の褌で相撲を取るような話でもあるのだけれど。まぁ、ともかく、それで、こういう感じにガッツリとファンシーな書体を制作してみると、作り方にもよるけど大きく刷るよりは遠目にした方が何故か視認性が上がるという面白いことになる。拡大すると文字としてまとまった構造から目玉とか個々の構成部分を脳がバラバラに切り離して認識し直しそうとするから……。

あ〜、そうだ、ちなみに先に説明しておくと、ご存知の方にはいまさらだけれど、ここでいうファンシーというのは所謂業界用語的な言い方で、サンリオやキティちゃんとは何の関係もない。フォントでファンシーといったら書体の大雑把なスタイル分類のことだからね。つまりゴシックとか明朝とかサンセリフとかスラブセリフとかって言っているような感じと同じで決してガーリーで夢クラスタな不思議ちゃん風な意味合いはない。装飾的なかんじのフォントの意味で、ニュアンスに違いがあることはあるが、一般にはディスプレイスタイルのような本文組みに使わない普通じゃ無い書体というような理解でまぁ充分だ。前回作ったフォントも大きく分けるとこのファンシーというスタイルの書体の仲間に分類される。ということで、英語では、日本語でいうピンクでお花畑に可愛いい感じなファンシーの意味でfancyなどという使い方をするとこれではまったく意味が通じないのと、実を言うと、このfancyという単語はイギリス英語とアメリカ英語でもその意味というか、使い方がかなり違うのであちこちで相互理解に支障をきたすためにだけ存在するんじゃないかと思えるほどの非常に厄介な単語なのだが、そういう意味でいうとフォント業界用語的に使うならば全世界で概念が同じになるので誤解の余地は……いや、まぁこの先のはなしは脱線しすぎるのであれだけど。

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それで、まぁ、小さくしたほうが視認性が上がるというのは上の図のような感じ。前段の説明はその視覚の生理現象や認知科学、形態心理学なんぞに係る小難しい理論の切れ端なんだけれど、その辺りは興味があるならばこんな場末のnoteのいい加減な話を聞くよりは、ちゃんとしたところで聴いたほうがいい。ホント。実際のところデジタル化で細かいところまで綺麗にラインが出るようになっているのに、活字の時代よりも本文文字が読みにくくなり、既存のデジタルフォントが全部ダメに見えるのも、昔は良かった的なジジイなノスタルジーとは無関係に、このあたりの難しい理屈に原因がないこともないのだが、そのあたりをキチンと理解しないままデジタルに再現しようとするとA1明朝では上手くいったことが、にじみ明朝では大失敗、基本的にこういうモノはデータを弄らずに出力表示側の機能に任せるべきなんだよ本当は……おぉっっと、まぁ、余計なことは言いませんって……注意書きが足らなかっただけですよね? 

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A1明朝とにじみ明朝 A1明朝は文字の線が交差する部分に写植特有の墨溜まりを、にじみ明朝は活版印刷時のインキのにじみという文字の表示に関わるある種のイレギュラーを再現したという書体。実は多少の不規則さは文字の読みやすさの困難どころか逆に利点にも繋がるのだけれど、この先の話は少しこみいった話になるので、また、そのうち。ただ、写植の不規則さはほぼ焼き付け時に発生するので、レンズの品質、光源の強さ、写植盤や感光紙の状態等により同じグリフは同じような感じで逸脱が起こるという可能性はあるが、インキにじみのランダムは紙やインキの物質的特性によりマクロではコントロール不可能な印刷の諸事情に拠るので、当然上の図のように同じ文字が細部で同じに再現される可能性はほぼゼロに等しい。なので、同じ字が同じ形に滲んでいるこのにじみ明朝で長文を組むと、これはもう違和感が半端ない。インキのにじみをシミュレーションするつもりならバリアブルにしてランダムに形を弄れるようにするか、出力表示側でインキのにじみをシミュレーションさせたほうがいいだろう……と、いうのは、まぁ、そういうことで、にじみを再現しているつもりで何か別のモノを召喚してしまっている。ということで、A1明朝なら本文組に使用しても全く違和感ないけど、にじみ明朝は名刺にエンボスして使う分にはともかく、本文やリードでこれは、どうなの? っていう……いや、まぁ、もう、本当に、ええ、これ以上は余計なことは言いませんって。

ホント……ただ、まぁ、なんというか、多くの真面目な関係者が関わるだけあって、この手の話はキチンとした教育現場でお願いしますよ。ここのところはマジで。こんな阿呆の話を真に受けちゃ駄目だぞ!

って、いや、いつもこんな注意をしてるけど、まぁ実際の話、こんな場末のnoteでも誰が何処で見てるかわからないという真夏の怪談みたいな話があって、まえに日本語wikiを検索したときにイチミリも引っかからなかったので、どうせ適当なことを言っても誰も気にしないだろうとおもって、前回Ambigrams Italianで逆コントラスト書体の話をグダグダダラダラといつもの如く調子に乗って話を盛りつつこんなかんじに書いてしまっていたのだけれど、noteにアップした後に、しばらくして日本語wikiでフォントの項目を覗いてみたら、以前は存在していなかった「コントラストを逆に付けた逆コントラスト書体という欧文書体も存在する」という一文が「一般的なコンピュータ用フォントの分類」という項目の中に化けて出て……じゃない追記されていて、いや、まぁ偶然だろうけど「ミ・テ・ル・ゾ」みたいな、あんまり適当なこと書いてるとオシオキしちゃうぞ的な感じで、ちょっと背筋が寒くなったんだよね。イヤ、ホント。

だいたい、日本語活字の分類を云々するなら、国内随一といわれるほどの品揃えを誇ったかの青山進行堂の活字見本からわざわざフワンテールだけ取り出して……あぁ、フワンテールっていうのは、これ、昔の任天堂の漢字のロゴなどで使われていた逆コントラスト書体なので覚えている人がいればだけど、あんな感じの文字。それで、扇尾體……って中国語ではこれでいいんだっけ? まぁ適当。そんなふうなスタイルの中文デジタルフォントには印象的なデザインのものがいくらかはあるんだけど、和文ではこのスタイルの活字はフリーフォントを含めても片手ほどもデジタル化されていない。まぁこれはゴナ同様に石井のファンテールやファン蘭抱え込んでる写研が悪いとは思うのだけど、そういえば写研のロゴもフワンテルだったな……いやまぁ、そういう話をするとまた無駄に長くなるのでそこのところはともかく、PC用のフォントとしては殆どデジタル化されていないそのファンテールに言及する前に、百科事典なら一般的には宋朝、江戸文字、金篆隷……あたりから先に押さえておくのが本来だろう、欧文書体区分で見たってファンシー説明せずにいきなり逆コントラストの話をしているとかって、項目の重要度がわからない……っていう感じなんだよね、個人的には。

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まぁ、このあたりの脈絡の無さが流石Wikipediaというべきなんだろうけど、そんなこんなで、実を言うと今回は前回の続きでその日本語Italianなファン体のネタで引っ張っておこうかなどとよからぬことを考えていたので鼻面をへし折られた気分にもなる。というかホント怖い……それで、なんというか……偶然だよね? まぁ、誰に見られているのだかわからないのだからいつもちゃんとしていなさいっていうお母さんの説教みたいなオチなんだけれども、そういう感じで身バレをしたらいろいろなところで人格を疑われるうえに信用をなくしてしまうような酷い行いにはこのことで多少なりとも懲りはしたので此れからはやっと一己の人として反省もして心を入れ替え涙ながらに謝罪して「出所しましたら真面で立派な行いをして一生を償って生きていきたいと思います」ということになったりするのかといえば、まぁ、そういうことにはならないので相も変わらずこんな感じではあるのだけれどね。

というわけで、ビビリなのでファンテールな話はほとぼりがさめてからということで、今回は以下のようなおはなし。





SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS

EXPO25もどうせ何年も先のイベントのことなんで、感染症の広がり具合ではこの先どうなることかもわからないけれど、案外そこのところは心配してはいなかったりするんだよね。というのは運動会と違って万博なんて所詮は展示会に毛が生えた程度のものだと考えれば、最悪全部バーチャルで開催しても何の問題もないだろうし、なんだったら、高い入場料と保証金でグラボのRTX3090並みにクソデカな最新鋭のVRゴーグルみたいなものを世界中の入園者に貸し出してやれば、わざわざ大坂へゴーツートラベルする必要も無いだろうということで、これはこれでついでに商売にでもできれば経済的にも潤うってモンだ。まぁこの程度のアイデアならばすぐに思いつくだろうし、このあたりはすっ転んでも只では起きない浪速商人の独擅場だろうからね。ま、そのあたりは幾らでもいろんな仕込みはあるはず……だよね? いやまぁわからんけど。

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まぁ、ともかく。それで、2025年の関西万博の大きなテーマの一つに国連のいう「持続可能な開発目標」が達成される社会という、まぁご大層なお題目が掲げられているのだが、これ最近あちこちでアナウンスされるようになってきているので、南無阿弥陀仏みたいに中身は何のことだかよくわからなくても、その念仏をまったく聞いたことがないという人は少ないと思う。

所謂SDGsなどと言われる国際的な取り組みに関連するあれのことだ。あと10年後までによりよい社会に世界全体を導くための普遍的な行動計画という指標であり念仏だけを聞くだけなら立派で御利益のある17の目標と169の対象を定義している。これまで国連がいろいろと乱発していたわりには役に立ったことがあったという記憶があまりない各種のアジェンダと違うというところは、これが先進国、途上国関わらず地球上に生きる全ての人類の守るべき決まり事である……というか、まぁ、全ての人類の義務みたいなそういう主張をしているわけなのだけれど、地球にはいくらそういったってちょっとの時間ですらマスク一つまともに着けられず、あまつさえ航空機を臨時着陸させたり、着用拒否のデモ行進に参加して気勢を上げてしまうという人間は大勢いるので、10年後のゴールにむけての「持続可能な開発目標」というきまりを守れない集団や邪魔する国家が存在するときにどう強制力を発揮するつもりなのか……。

こういった誰も反対できないような立派なアジェンダで実行力を発揮するなら、掲げる大義のためなら手段は正当化されるという怖い発想にすぐになりやすいので、SDGsしていないという理由だけでも立派に介入すら可能になるし、逆に実行力が伴わなければ壁の模造紙にお花紙を貼ってるだけの痛い人だ。さらにはその理念で危機をあおるだけになってしまうとSDGsテロ組織や自警団による社会分断や混乱の引き金とその免罪符となり、最終的には暴動で法と治安の機能停止といった破滅的状況を招いて自分自身の立派な理念や見事な看板すらぶち壊して歩くという、そんな最近どこかで聞いたことのあるような事態に到達するまでは一直線なんだけど、この決め事については世界中の国々も一応同意しているという、全人類の知らんうちに勝手に国連で決定されてしまっていることでもあるので、ある意味国際社会の本気度が試されてもいるとも言える……え? このことの内容? う〜んっと、まぁ、その念仏の中身は賛否含めてここでは問わないけど……っていうか、まぁ説教臭くて気に食わないとか個々の具体的事柄については色々あるかも知れないけど総論でこのことに反対っていう人はいないよね? いや、まぁ世の中には志らく師匠の言い分じゃあないが面倒くせえ人はいるもんなので、ゼロだとはいわないけど……ただ、いかにも理解ある風を装いつつ、だけど阿呆が大義名分を利用して略奪や破壊行為や偽善や逆差別を繰り返すからその意見には賛同できないなどという言い分は、いくらなんでもそんな反対理由はないだろうと個人的には思うんだけどね……まぁ。


さて、そういうことで、2030年にむけて全人類が合意したとみなされているその素晴らしい目標をめざす奮闘努力のためにも旗印というものは必要なので、それを周知するための素材とロゴ・アイコンの仕様規定がガイドラインとして国連により定められている。上のリンクからダウンロードして、誰でも自由に使えるようになっている。使用基準は情報・資金調達・商業用途で下の2つは国連の許可がいるけど情報目的、つまりSDGs普及のための認知目的であれば勝手に使用して構わないというわけで、極端な話、仮に商品のパッケージにプリントされていても企業が消費者にSDGsの取り組みをアピールしているだけですと言い逃れできれば好きなように使っても全然OKというわけだ。

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ただ、どこかの知事が言いそうな寒い駄洒落風にいえば「エいきょうをシっかりカんがえル」消費こと消費者が環境保全や社会貢献にたいして倫理的な規範により行動するというような、そういうエシカルな消費行動を促すエコマークみたいな感じで勝手にSDGs商品です! ってパッケージに表示すると、そういう場合はいかにも詐欺や営利に見えるので駄目そうに見えるけれど、なんとSDGs mediaによると今年の3月の時点でも商業用途でマーク使用の認可を受けた日本企業はゼロだということなので、商用での使用認可のハードルは意外に高いようだ。

ということは、逆に言えば、結構いろいろなところで見かけるので、商品にペタって貼ってあっても用途が情報目的だと論理立てて説明がつけば使用許可を取る必要はないので勝手に使うことができているのではないか……と考えられる。多分。

但し、こういったエシカルな情報を商品パッケージに表示するJASマークみたいなこの手の認証ラベルも今ではいろいろとあって、それらと意図的に混同するような詐欺を働いたとみなされるといろいろ面倒なことになる可能性も捨てきれない。なにしろ、MSCエコラベル、ASC認証、FSC認証、 国際フェアトレード、OCS認証、オーガニックテキスタイル世界基準、熱帯雨林アライアンス、サスティナブルパームオイルにエコファーマーにバイオインキにと、あとまだ他にもいっぱいあるだろうけど、これらの表示は国連の考える情報表示というよりはどちらかというと消費行動を喚起するような、風の、ため……エシカル消費目的というのもあったりするとみなされたりしちゃったりすると思うので、忖度すればパッケージでそれらと同列に並べるのは色々と面倒くさそうなことになりそうなので避けた方がいいような気がする……というようなことなんだけれど。

だいたい、言っちゃあなんだけど、この手のものは種類も分類もやたらと細かく増えすぎていて、大豆インキと植物油インキみたいになんか被っている感じだとどれをどうしたらいいかも微妙だし、VOC、つまり植物由来のインキ以外で使われる揮発性有機化合物のことね。それが使われていないことを示すVOCフリーというマークも存在していて、これはインキに含まれる以外にも機械の洗浄なんかでも使うから印刷工程全てで揮発性有機化合物を使っていないとか、多分そういうことなんだろうけど、まぁ、なんやかんやでそれぞれに認証基準もいろいろある。ともかくその辺りも含めて考えるといろいろと気を配るところが数々あって、本当になにをどうすればいいんだかよくわからなくなってくるんですよ! フライヤーひとつ作るのでも、これにあと種類がいろいろある再生紙マークを選んで追加して地球に優しくしたら商品を確認してなんか付けなきゃいけないものいちいち判断したらそれらもそれぞれ追加して……って、もう会社の法務関係の業務を増やすためにわざとやっているようにしか見えない! おまけに、あまりにもたくさんの認証マークをぶら下げると飾緒勲章軍服姿のコスプレ老人並みに痛ましいパッケージが出来上がり、なかにはUTZ認証みたいに団体そのものがなくなっちゃうケースもあるから……え? マークは2023年までは使えるの? まぁともかくそんな感じなので、認証マークをマシマシの全部のせにすると、仮に自分で吸うために所持していても現行犯逮捕されたりしない国が許可した合法ドラッグのパッケージ並みに箱のデザインより注意書きが勝り、かえってなにがなんだか、本当に、社会や環境に配慮しているようには見えなくなってくるんだよね。少なくともこういったことで現在ではパッケージデザイナーの忍耐もチャレンジされるという事態になってきて……って、いや怒りの矛先が変な方向に飛んでいきそうになったので元に戻すと、そういうわけで企業、団体、組織でもSDGsに取り組む意義や目標などにきちんとコミットできていれば、まぁ、これ自体は情報目的とみなせるので、自由に利用してもとくに問題は無かろうと、そういうことらしい。国連もロゴやアイコンをオープンにしている手前、これで詐欺に遭っても責任は取らないよ、みたいなことを使用のための注意書きに書いてはあるし、あれやこれやと解釈しだいなところでもあるので、まぁ、いろいろ書いたけど使用に関してはそこまで忖度する必要もないのかもしれない……多分。


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そういうわけで、そういうことなら、世界を変えるためのその壮大な目標の実現のための情報の訴求に一役買おうという、そういう事情に配慮して作られたのがこのフォントというわけ。と、やってることが、あいかわらずめちゃめちゃなので、いつものごとく疎明弁解がやたらと長くなっているわけなのだけど。

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という感じで、SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS の 17 のアイコンを適当に並べて変えアルファベット等のグリフの形状に合わせて再構成しなおした文字がこれ。とりあえず仮で SDGs Color Font と名付けた。アイコンを何も考えずに並べただけなので、一時間足らずでセットが完成……なのだが、アルファベット全てのグリフで17色のオブジェクトを使い切ろうとしているため、IはギュウギュウWはスカスカという実に酷いことになっている。

というか真面目にやるなら、本来はここからがスタートで、グリフを構成するギャザリングアートをちゃんと微調整していく必要がある。これは、それぞれのグリフ一つ一つで、おのおの 17 のアイコンを使い切るというそういうルールというかコンセプトを定めたため、文字がおかしくならないようにオブジェクトに拡大縮小回転等を施してジャンブルスタイルフォトモザイク調に細かく手作業で調整と整理整頓をするといったような地味で退屈な作業を行わないとならない。で、まぁ、そうやって多少なりともコツコツと時間と手間をかけて真面に見えるよう努力を傾けるべきなんだろうけど、今回は他人の褌ということもあり、そこまでするモチベーションはでてこない。モチベーションの持続不可能な開発という如何ともしがたい下手くそな駄洒落。さらには、SDGsアイコンの使用ルールにのっとってさえも、どう言い繕っても間違った使い方ではあるので、そうして丁寧に仕上げたとしてもその努力が報われる気がしないというのも、まぁ、別の理由の一端でもある。

さらに言ったらロゴ使用のためのデザイン的なガイドラインでも、アイコンを拡張したり、押しつぶしたり、歪めたりしない。要素の位置を変えない。陰を付けない。トリミングしない。四角以外の背景に収めない。アイコンの色のRED、MUSTARD、KELLY GREEN、DARK RED、RED ORANGE、BRIGHT BLUE、YELLOW、BURGUNDY RED、ORANGE、MAGENTA、GOLDEN YELLOW、DARK MUSTARD、DARK GREEN、BLUE、LIME GREEN、ROYAL BLUE、NAVY BLUEにLOGOのBLUEと薄い背景のLIGHT GREYの20色を変更しない。アイコン間で色を交換しない。突き出したり、斜角を付けたりしない。アイコンの混合、対比、グループ分けで、恣意的な類型を作らない。アイコンのグラフィックを当該アイコンから取り出して使わない。およびSDGsの活字書体、これはアイコンにOswaldと本文、追加的情報用にRobotoが使われているけれど、これを変えてはいけないというルールが定められているので、まぁ、あきらかに禁止事項のかなりの部分に該当する。

只、開き直るつもりはないが、言っちゃあ何だが国連の出版物を見ても全てが全てのルールを厳格に守っているのかというと、そういうわけでもなさそう……というか、ないので、やり方しだいなところもある。この手のガイドライン規則はあくまでガイドラインですので、実状と合わなければ幾らでもゴニョゴニョと……いや、まぁ、汚い大人の言い訳といわれれば幾らでもそういうことなんですけど。極端なことを言えばガイドラインを馬鹿丁寧に守らなければいけない法的根拠はない……ない……よね?

まぁ、そこのところはともかく、それで、作業にあたってアイコンをバラバラにしてみてわかったことは、配布されているアイコンのデータは結構雑な仕上がりだということだ。

内部でコピーされているうちにズレてしまったんだか、クライアントからの修正要求が朝令暮改すぎて途中でやる気をなくしてしまったのか、そもそも普段から日本人ほどにはそういう処に気を使ったりはしないためなのか、そのあたりの事情はTrollbäckではないのでよくわからないけど、国連からダウンロードしてきたファイルはテーパーの取り方が揃ってなかったり無駄なアンカーが残っていたり後から追加したオブジェクトが合成されていなかったり、グループ化が適当だったりしているので、ロゴの作者のスウェーデン人  Trollbäckがもし昭和のクリエイターなら、入社二年目ぐらいの新人に「シェイプを結合してオブジェクトごとに複合パスかけたらコーナーの角丸を全て整えて、最後にそのPSデータのソースを触って小数点以下全部削って精度を揃えて納品データ作っておけ」っていう徹夜したって終わりそうのない理不尽な指示を出した後に自分は新宿のオネーちゃんの店に飲みに行こうとしているという、まさにその時点。その面倒な作業の始まる前のデータぐらいの完成度。え? わかりづらい? なんかイヤなことでも思いだしてる?

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ともかく、それでも、まぁ、もしかしたら、視覚調整や後の作業効率のためにこうなっているのかもしれないなんて思ったりもしたけど……実際、ロゴのGOALSのOの17色のリングは色膨張……単純にいうと同じ面積を占めていても明るい色は大きく見えて暗い色は小さく見えるという話。目の生理的特質と脳の心理的要因が絡むので理屈はいろいろ面倒くさい……まぁ、でも、普通、いきなり「色には距離と温度と重さと大きさがあるのです」などという話を真顔で始められたら変な宗教に勧誘されそうでちょっと怖いけど。でも、あるんですよ、っていうかあるように感じるだけだけど、まぁ、そういう、その、色の性質とかに配慮したような形跡は微塵もないので、なんかはしているのかもしれないけれど……なにをしているのかはわからない。

ただ、色覚は人種や民族なんかによっても感じ方に大きく違いが出るという説もあるので、グローバルに使用が想定されるデザインものはかえって下手に配慮しない方が正解だったりするのかもしれないってことなのかね? わからんけど。まぁ、それはともかく、そんな感じでデジタルデータの品質としては精度があまり良くないので、この手の作業をすると如実に問題が発生する。だから他人の作ったデータで作業するのは嫌なんだよ……って、自分で勝手に酷いことをしておいて言えた義理も人情も何にもないんだが。

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作ったフォントはスタイル分類的にいえばセグメントフォントに近いけどセグメントの位置の固定がなされていないので、どちらかというと不定型なタイルを並べ直したというデザインで、あえて名前を付けるとしたらモザイクスタイルというべきだろう。文字の出力が小さいと、どう光学補正をかけたところでアイコンの形が認識出来なくなって、ただ色紙ちぎって並べ直しただけのように見えるし、逆にサイズを大きくすると個々の構成部品……SDGsのアイコンを脳が勝手に意味づけしようと働き出すので文字に見えなくなってくる。ということで、そうだなぁ、もう、作り直すならコンセプトから見直して、山下清でやりなおした方がよっぽどまともなデザインになりそうな気がするよ。イヤ、ホント。まぁ、実をいうとちぎり絵とモザイクに関しては他にもイロイロとあるので、日を改めてまた別の機会にでもします。

と、いうわけで、最終的に、タイトル画像のカラーフォントは、もはや夜の海に浮いている海洋を汚染しているプラスチックゴミと成り果ててしまっているので、これをSDGsだと言い張るのはもはや嫌がらせにも等しいということになってしまっていてね……イヤ、ホントに酷い。

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さてさて、そんな感じに今回も、脈絡もなく話があちこち跳びまくっているように見えるけど、全体としてはプレグナンツ法則に基づいたフォントの作成というゲシュタルト要因の話を、テキスト全部でゲシュタルトしようとした結果、見事にゲシュタルト崩壊しましたというオチなんだけれど……オチもわかりづらい上に、思いつきでいろいろやるから、上手く出来ている気がしない……何やってるんだろうね? 文字における認知科学と形態心理的影響に関してはなすなら……本当はもうちょっとわかりやすくて丁寧な説明の方法もあるんだろうけど……。





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