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つくづく自分自身の計画性のNASA、いやアメリカ航空宇宙局ではなくて、なさ、まぁいきあたりばったりさということなのだが、それに惘れはてている。前回は輪郭ツールを説明しようとしていたのだが説明しようとして結局何も説明していなかったというところまでしか記憶が無い。結局何も進んでいない。とにかく坦々と先へ進める努力をしよう。
ところで突然ですが、みなさん丸を描くときどうしていますか? ベクトル系のツールでは楕円ツールを選んで線を引くときに、Shiftキーを押しながら引っ張っていくと正円が描けるよね? ところがFontLabでは実はそうなっていないんだ、これが。まぁそれは、それなりの理由があるのだけれど。まず簡単に説明すると。
上の曲線は全てFontLabが丸だと言い張る図形。すなわち、楕円ツールをシフト押しっぱで引ける線のほんの一部だ。なぜ、こんなことになるのかというと、いちおうCurvatureとAll nodesの表示をONにしておいたので察しのいい人は気付いたと思うけど、ご明察。前々々回…でいいんだっけ、FontInfoの中を解説したときに長くなるからといって説明を端折った曲線の張力ってヤツに従属するというわけだ。文字通り引っ張られているわけなのだが。で、今回神棚に上げておいたその部分を、少し解説してから先へ進もうという趣旨だ。
Fontのプレファレンスに張力設定がある。つまりテンションの設定がフォント全体にかかるようになっているのは、フォントというのは「カーブのテンションを安定させることによって一貫性を保つ」と、まぁこうあるべきというFontLabの設計思想なんだろうなぁ……とは思う。Glyphsの場合はこれの調整を自動カーブのところでチマチマする体になっていたので、そこまで設定ギチギチ感はなかったのだが、そのあたりのゆるゆる加減はGlyphsのほうが好き。……ただ、Glyphsではデフォルトのままではツンニー線の編集ができない。まぁなにかプラグインをいれればいいんだけど、最初から全部入りのFontLabとそこを比べても……ただ、まぁ、これは設計思想の差というか、好みによります。はい。
で、上の図はもちろんその張力ってやつがどう働くかをわかりやすいように円でやっただけなので、正円に限らず当然、テンションの設定は全てのカーブに影響する。円も楕円もこの件に関しては差別はされない。なので初期設定のままだと当然Ovalも正楕円にはならない。
あぁ〜そうだ、まぁ楕円の定義の問題もあるけど。うん、ここも説明する必要があるのか?ここで僕がいっている正楕円ってのは幾何的楕円のこと。二焦点距離の合計が一定な点によって輪郭が形成される……って、つまりまぁ楕円呼びされているのに全然幾何的じゃない楕円とか、それを楕円と呼ぶのはどうよ、とかまぁ楕円にもいろいろあって正円じゃない丸いものが全部正楕円どころか楕円ですらないってこともあるので、スーパー楕円も勝手に楕円をなのってるけど、そもそもお前楕円じゃないよねっていう……う〜ん、この話も長くなりそうだなぁ……それはあとにするか。
それで前の話の続きだけど、FontLabはデフォルトではここ、つまりFontInfoの中のtensionの設定が60になっている。いわゆる正円や正楕円にするためにはここが55になっていなければならない……というのも、実はぜんぜん嘘で、って、嘘なのかよ……。そう、まぁお察しのとおり、誰も真実の正円にはたどり着くことはできない。デジタルで、曲がったものや斜めってるものを表示させるには、どんなに細かく分割しても無理。更に哲学的に言えば真円なぞこの世界のどこにも存在しないっいっいっ……! いや、今、そういうのいいから……。
ベクトルグラフィックスというのは、まぁ、考えかたは色々あるけど単純には直線なら二点の座標 (x0,y0,x1,y1) この4つのデータさえあればいくらでも遠くまで無限に伸ばしていける。じゃあ円は? (x,y,r)でOK? かというと、プログラムの種類によってはそうなっているものもあるんだけど、内部の処理的にはちょっと上手くない。コレだと正円しかかけないからだ。楕円や、他の曲線を表示するときはまた別の仕組みをつくらないといけない。できれば、あらゆる曲線を同じように処理してしまえれば都合がいいし、合理的だよね? そこで誰かが点に座標とアンカーがあれば2点を結ぶどんな線でも書けなくない? これなら処理1つでなんでもいけるよね。ってなことを思いついたというわけ。そう、今ではイラレなんかでお馴染みのベジエ曲線ってやつ、つまりノードとアンカーの組み合わせで線をコントロールする仕組みだ。ところで、あのアンカーの棒の長さを気にした人いない? 僕は気になった。まぁ、ゆるゆるな感覚で半径のちょうど半分の長さで正円だと思ってる人もいるみたいだけど、よく見ると微妙に据わりが悪い。まぁ下の図の右を見て貰えば一目瞭然なのだが半分より若干長くなっている。なんでこうなっているかというと、まぁ、いろいろ理由はあるのだけれど、そもそも論として、この仕組みで円弧を近似するのはいささか問題がある。というかそもそもノードとアンカーのデータだけで全ての曲線を描くことができるなどと嘯くのはもはや神をも恐れぬ所業。曲線舐めるなという話なのだ。あぁ〜まずい、これ、また話が終わらなくなるパターンだ…いや、また、話がずれて……。
一旦落ち着こうか。というわけで、この仕組みだとまぁ、いろんな曲線が作れる代わりに、今自分が何をやっているかは理解は出来ていない……人間にとって正円とか、そういうのは名前が付けられているだけあって、こう、ある種特殊な位置にある形になるのだけれど、ただの方程式やプログラムにそれを求めるのは不毛だ。こいつらにとってはいろいろ計算して引っ張ったりなんかした揚げ句になんか中途半端な位置にアンカーがとまったときに出来上がる曲線がたまたま円弧に近似しているとか、なんとか、そんな意識だ。いや、まぁ、意識がアレば、ですけど。
で、まぁ御託は良いから、じゃあ幾つだったら正円なのかというと、その数学的な定義は……ここも説明始めると長くなるんで、途中を色々端折ってから図にしていうとベジエ曲線によって円を近似するためのノードのアンカーの位置、すなわち下の図の点pの位置が求める価になります。と、そういうことなので、その数学的定義を色々むにゅむにゅするとだいたい次の図の左上のようなことになって。あれ、また途中どっか計算違ってるような気がするぞ、まぁいいや、これ、答えだけはわかってるから、で、いろいろ式を変形して出てきた答えを呪文にすれば二の平方根の小数点以下を三分割して四倍した百分比という感じになると、こういうわけ。
計算すると55.228474983079......%って今回は計算間違ってないよな……って。まぁ、知ってはいても生涯決してつかう機会は表れないという呪文なので忘れたとしてもいっこうに構わない。まぁ手品の種なんでね、もっとも手品師が全員確率論とかを知っていなければ観客も騙せないとかそういうわけではないのと同様で……まぁ、でも、ん〜、そうだな、こうやって計算した結果は十分大きな無意味な数の羅列になるので、何かのパスワードに記憶しておくというのはあるかなぁ? それもともかく、そういうわけだから、だいたい55でOKだ。正確ではないが、問題ない。このへんが適当でも円のサイズが充分小さければ50でも60でもたいした違いはでない。むしろそこまで行くと錯視や、精度不足でのエラーのほうに引っ張られる。あ〜、錯視や精度不足っていうのは、って、う〜ん、それも後回しかなぁ……ん〜、そうだ、こうやって、いろいろ意識がいろいろ飛び飛びになるのがよくないのか……それに、だが、なんだかんだ、そもそも、ごちゃごちゃ、いろいろ、言ってからのことで、ホント、申し訳ないというか、なんなんだけど……ぶっちゃけ正円や正楕円が必要なだけなら実はもっと簡単な方法はある。
楕円ツールを選んだときに出てくるプロパティバーの丸が二つ並んでいるところの左。もしくはクリック1つで出現するダイアログボックスのShapeで左を選択しておけばこんなことにはならない。
なんだよ、最初に言えよって話なんだけど、FontLabでは右がデフォルトになっているので、念のため。
それで、そういうわけなのだけれど、上の上の図のようにまぁだいたいテンションの揃った丸を書いてその線にブラシを適用してからすぐ上の図の左上のように何てこたぁ無いブラシを設定しての、アウトラインを取ってから、左下の太極アイコン、FontAudit、まぁつまりフォントエラーとかいろいろ駄目なところを指摘してくれる表示のことね。そこの所をONにしただけでこの有様。自分のところでAutoで作ったアウトラインを自分でこんなに駄目出しするのはどうかと思うということはさておいたとしても、とても曲線自慢のFontLabからの自動出力とは思えないくらいの精度の出なさに、ちょっとがっかりさんだよ……って感じ。
なにしろGlyphsで似たようなことした結果がこうだから、まぁこうなる理由はそれなりにはあると思うんだけど。こちらの思惑には合致しない。というわけでスケルトン輪郭のデータでなんとか手抜きをしようという、しょうもない方向からのアプローチはさっさと諦めて王道へ戻る必要がある。そんな感じなのでContour-toolの項でも説明したとおり。輪郭ツールをつかって、チマチマと仕上げていく過程をご覧いただくことになるのだけれど……。
まぁでも本格的にカリグラフィーを始めようというわけではないので、Lesson6thまでをすっとばしていきなり最初に小文字のOをから始める。とはいってもフォント全体のフォルムの一貫性としてはここ一番大事。前にパーツを組み合わせれば出来上がり的なコトを書いたのだけれど、そのときに出したヴィトーロ先生の図版でも最初のヒゲの次に並んでいる最も重要なパーツ、というわけで、このOvalがこの書体の全ての基礎になる。
こんな感じ。
なので、ここをしくじるとやり直し……というか、何回やり直したかわかんなくなってるんだけど、まぁそれはどうでもいい。いよいよちゃんと真面目に本格的スクリプト書体制作記……みたいになっていく予定。乞うご期待。何ちゃって、予告して予定通り出来た記憶が無い。またろくでもないことになる予感しかしないのだが……その辺ホント大丈夫?