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インパクトというフォントのインパクト

毎度々々適当なことしかしていないのにいろいろな方に見て貰っているようでそれ自体は感謝する次第であることではあるのですけれど、別に何か高尚な目的意識があってしているようなことでは無くて、精々酔っ払いが飲み屋のカウンターでするような内容なので、これに関しても前にも言ったかもしれないけれどオリジナルは保証するけど、そのため内容の正誤に関してはまったく保証できません。いつも言ってるけど、ちゃんとしたおはなしはちゃんとしたところへ、こちらは、まぁ余り褒められたようなアレでも無いので、何か期待させてしまっているようなら本当に些か申し訳ない。と、まぁ、そういうところが6年もやっているにも関わらずどうにも締まらない結果になっているところの根本原因ではあるのだけれど、それでも偶に何かのSNSに引っかかるようなことがあったりするのか急に接続が伸びるようなことがあって、こっちが恐縮するようなときもあることはあります。それで、前回もまぁ、そんな感じで、いつもの何倍ものアクセス数を稼ぐ事態となりましたのですが、まぁそのことについては素直に有難いことだとお礼申し上げるところではありますが、毎度見に来て下さる方には、あぁ〜またコイツいい加減なことしてるな〜程度のことはもうご理解頂けているとは思うのですが、初見の方が増加するとそのあたりの期待値について些か齟齬が発生するかも知れないということに思い至りましたので、そのあたりの事情を注意喚起しておきましょうというかたちで、いつもより堅苦しい雰囲気で冒頭始めさせて頂いているというわけなのですが、まぁはなしが面白くないと思ったらこの辺りのおはなしは全部飛ばして貰って結構です。

それで、まぁ前回の記事のアクセス数の増加は、記事のオマケで、アニメの感想文代わりに勢いだけで作ったフォントが、いくつかのアフィリエイト稼ぎのフリーフォント紹介サイトに見つかってしまったためにおかしな事になってしまっているというところなのだろうけど、これは別にこっちから是非にと頼んで載せてくれと言ったり、積極的に広報した覚えは一粍もないうえに、あっちからもなにか一言連絡があったり投げ銭を受け取ったりしたわけでもないので……え? リンクするなら金よこせ? まぁそういう貧乏くさいことを……言ってる? まぁ、そう聞こえたら申し訳ないけど、そういうことを言ってるわけではなくてね。まぁ、多分基本善意で行ってらっしゃる事ではあるのだろうから、そういうところへ水を差すのも野暮な上、面倒くさいと思われるのもイヤなので、あまりこういうことも言いたかないんだけど、オレのところに連絡の一つも無かったので、ということは基本他のもっとまともなフリーフォント制作者さんのところへも一切連絡もしていないのだろうなぁと勝手に想像して心配した次第でして、まぁ、連絡してくれなくても別に構わないのと、こっちの内容もnoteに無料でポストしているモノなので、リンクするなとか、勝手に紹介するなだとか、そういうけち臭い苦情を言ったりとか、青臭いはなしをする積もりも毛頭ございません。まぁ、そんなことはこんなチンケな虫けらごときが云うはなしでもないので、そこのところはどうぞ煮るなり焼くなり勝手に好きにして貰っても俺は別にいいのだけど、オレはいいけど、YAZAWAがなぁ……まぁ、オレは本当にいいんだけど。ただまぁ、またまた、そんなことも思ってはいないとは思いますが、アクセスも大したこともないオマエのところを俺様が紹介してやったんだから菓子折持って礼に来るのはてめぇのほうだ、感謝しやがれ……ぐらいにふんぞり返ったマスゴミ感が滲んでおられるのであれば、ホント注意した方が良いです。いや、まぁ勿論そんなことは微塵も思って無いだろうとは思いますが、ホントに。また、自分で作ったモノでも無いものを軒先に並べるだけの楽な商売しやがってなどということをどうこう云うつもりも全く無くて、軒先に並べるだけでも並べる並べ方にもそこにはそれなりに創意と工夫と手間隙が必要なことも重々承知してはいる積もりですので、そういうことを非難をするつもりもまったくありませんので誤解無きよう。あと、このおはなしはオレは京都の人ではないので、本音で言ってますよ。ええ、ホントに。


さて、実際のトコロ、フォントのクオリティもクオリティなので、細部でいろいろ問題も抱えていてカッコいいデザインと評価されるのは有難いのだけれど、フォントデータとしてはいろいろヤバい点があるので、500文字しか入らないから、ぶっきら棒に読めたり、不機嫌そうに見えたりするかも知れないようなテキストを前回の頁のコメント欄にも書き込んだけど、まぁ、イラついているとかそんなことは全然無くてね。適当なことしかしてないからフォントのインストールの方法とか、初心者に向けた説明が全然出来てないんだなぁって、今更気づかされたりしたうえに、それと、noteがログインしないとコメントが書き込めないという炎上しにくいけど反応も見えづらいというシステムなために、いろいろとお手を煩わせもしたようなので、まぁ反省するしかないというところではあるのですよ。ホントに。そういうことで実用するのには注意が必要になるということを言いたかっただけなんだけど……ともかく、そんなこんなの事もあって、どうせなら紹介することを予め連絡貰えていればその旨色々と調整したり、さらには多少ご予算を頂ければそのあたりを修正したデータにしてお出しするなんてことも出来たのだけど……ということをちょっとだけ思っただけなんだけど、まぁ……コレばかりはしょうがないよね。ホントに。

と、まぁ、こういう感じで世の中フリーフォントに分類されるフォントは数多とあって、大企業があえて無償で提供しているものは別として、というか個人的にはこのレベルのものはフリーフォントとは呼びたくないのだけれど、まぁそこのところはともかく、オレの作ったこんな雑なフォントではなくて、個人の作るフリーフォントの中にはフリーといえども商用のものに比しても遥かにクオリティの高いものは幾つもあるから、プロのクリエイターもみんなフリーフォントをダウンロードして使っていますなどとプロのクセして道具の一つにも金を使いたがらねぇ……などとというようなコトを自慢げに臆面も無く言えて、平気な顔をしているようなところがあるということもあるのですが、まぁ安い仕事の場合や、駆け出しの若造や、或いはナンチャッテクリエイターならばそれで全然構わないのだけれど、社員を多数抱えてバジェットで大きなお金が動き、大勢の人間の関わるようなプロジェクトを任されているにも関わらず、そういうところでフリーフォントを……という選択になるのはちゃんとしたプロとしてはどうなのっていう……イヤ、まぁ、この話はアレなので、ちゃんと書かないと誤解が拗れるから……まぁ、その辺りはいいや……忘れて下さい。

ただ、まぁ、一般論としては、昔は大金払って外注するような作業やコントロールの難しかった作業が最近はAIとか機械のおかげで誰でも直ぐに簡単に出来るようにはなったので、ここからは個人的な見解なんだけど、誰でも簡単に出来ることならプロなら自分で全部やれ……とまではいわないけど、全部出来るようにはしておくぐらいのお気持ちは必要かとは思います。あんたクリエイティブ安売りしてどうするんだよ!……って感じです。手抜きを自慢されても聞かされるほうが恥ずかしくなるのでホント止めて欲しい。でも、まぁ逆にフリーフォントの制作者が、コレに使われてるあの文字は私の作ったこの書体ですって自慢するのはイイと思うのだけれど、その場合でも、あまりにビッグなプロジェクトのケースであれば可能ならキチンとなんかの要求はしたほうがいいと思います。クリエイターが他人のクリエイティブを安く扱ってリスペクトもないようだとクリエイターとしては終わってます。プロフェッショナルを自称するならホント、ソコはちゃんとしたほうがいいから、ロハで使えてラッキーですとか言ってる場合じゃないんだよ!! って書いてから思ったんだけど、クリエイティブって案外属人的だからクリエイティブ企業が大きくなってトップが関係ないところから来たその辺よくわからない人になったりするとすぐに駄目になるというのはそういう所も……え? いや、個別の事例じゃありませんよ! あくまで一般論ですから。

もっともデザインのやり口の一つに、たとえばコンビニのコラボ商品の広告に、ああ、またいつものヤツじゃん、アレがくる度にバイトのオペレーションが大変になるし、たった何週間かそこらのためにまたこの大騒ぎか……面倒だなぁオイ。ただまぁ、なんだかんだビジネスだけのドライな関係だけど、昨年好評だったことでもあるし今年もお互い渋々コラボします……っていう感じのデザインに見えるような仕事にして、ついでならウォーターマークもうっすら追加しておけば見付けて勘違いした馬鹿がネットで大騒ぎしてくれそうだから少しはバズって宣伝になるかも……ぐらいの感じに無料の素材や無料のソフトで渋々感を演出しようなどという本当に質の悪い悪質な表現の方法もないわけではないから、無料のモノを使うのがダメとか、そういうことをいいたいわけじゃあないんだけど……まぁ、そのあたりのおはなしも拗れるからいいや……あと、まぁ、云うまでもないだろうけど、このおはなしはプロフェッショナルなクリエイティブとの関わりあいとの問題で、そうでないというケースの場合に関しては、とくに何かを云うつもりもありませんので悪しからず。いやホントに。

さて、まぁ、あと、そういうクリエイティブ絡みの話とは別にフォントといえどもある種プログラムということにはなるので、プリントされて紙などに定着してしまう場合はともかく、何らかのシステムに組み込んだりして利用される場合には出所不明のフォントが思わぬバックドアになったりすることもあるので、まぁそういう場合はそういうところにも注意は必要です。フォントが起こすトラブルというのは……これは商用の既製品でも免責事項が予め明記されてはいるけれど、企業内部の犯罪者や海外からの工作員による悪質な仕掛けが見つかれば……まぁ、これは犯罪なので免責事項に関わらず製造物責任法やらなんやらで損害賠償を求めることは可能になるから、不幸中の幸いぐらいにはなるだろうから良いことは無いだろうけど、まぁ良いと言えば良いけど、フリーフォントを使っていてはそれが出来るかどうかもホントに怪しいところなのでね……で、最近では特殊詐欺関連でも年々手口が巧妙化していて、末尾が110番の電話を取ったら警察を騙って金銭を要求する……なんていうなんか電話番号を偽装するアプリで詐欺を行う的なアレとかもあるらしいけど、イヤイヤ、そんなアプリあります? これ、もう絶対電話会社の関係者が何かやらかしてますよね?……って思ってしまうくらいのコトも出来る世の中にもなっているそうなので……危機管理にはそういったところにも頭を使った方が良いです。なにしろ普通の人間では手品同様、どんなに血眼で気をつけようが種を見破るどころか騙されないことの方が難しいぐらいにこのあたりの技術も日々日々日進月歩で、いまや特殊詐欺も一兆円産業と言われるほどに経済規模が膨れ上がっているそうだから、いやもうホントに、すごいんだから……。


さて、まぁ前置きも長くなったけど今回の本題。さっきも言ったけどなんと6周年ということらしいので、何をしようかと思ったのだけれど今回はコレ。いつもテキストばっかり長くなって肝心なところはさっぱりなのと今回も冒頭にどうでもいい話が長く続いたのでこれ以降はなるべく画像多めにしてあります。ベースはみんなもご存知のあのフォントで、このフォントはデフォルトで附いてくるものなので誰でも持っているだろうから特に用事も無いとは思いますが、データー自体はゼロから起こしているので多分そっちの問題は無いはず。しいて言うならフォント名には問題がありそうだけど、こちらも一般名詞だし、そこは大丈夫だよね? まぁ、多分だけど。

で、このフォント。これはGeoffrey Leeのデザインでスティーブンソン・ブレークという今は無き英国の鋳造所から1965年に活字の形で制作されたモノがその最初のオリジナルになる。今から60年ほど前の頃というと、時代は既にもう活字が写植に取って代わられるというような時期だったので、活字としてはその鋳造所が作った最後の作品となった。写植の時代を経てデジタル時代にはもう完全にモノタイプに権利が移行しているのだがデジタル化に際してはタイトル画像にもあるようなオリジナルにあったオルタネイトのJとターミナルのrがなくなり、ストロークのフレアも削られてしまっている。フォルムはカウンタースペースとインタースペースの巾がほぼ同じというスタイルなうえxハイトとキャプハイトの比がだいたい6:7くらいなのでほとんど差がないから大文字だけで組んでも小文字を混ぜても印象が殆ど変わらないというタイトル向きのコンデンスグロテスクスタイルのサンセリフの代表選手。特徴を羅列してナロー・ファット・グロテクスとも呼ばれるこのスタイルのフォントだけれど何故かバンドルされているデジタル書体に関しては他の書体との印象差を作るためなのかもしれないのだけれど、サイズが他のフォントより10%近く大きく設計されてしまっていたりもする。つまり、同じポイントで打ち出すと他の書体より大きく印字されるようになっている。後にLee自身が自己で再リリースするというかたちでBold、Bold Condensed、Wideというスタイルを打ち出しファミリー化されてもいるのだが、これは個人的にはあまりピンとこなかったのでオリジナルのインパクトには届かなかったかなという感じ。まぁ、悪口云っているわけではまったくないのだけれど、印象としてはそんな印象。他にもいろいろあるけど、まぁそこはともかく、それで、この書体はもともとはtwenという1960年代当時西独で発行されていたリベラルよりの内容の若者向けモード誌で使用されていたWalter Haettenshweilerの作ったナローでファットなグロテクスのHaettenschweilerことSchmalfette Groteskのタイポグラフィに影響を受けて制作された……とされている。そもそもナローファットグロテクスという字形はコンデンスなサンセリフ……というわけなのだけれど、実際はそういうルーツなわけではなくてドイツ伝統のブラックレターという、保守的なタイポグラフィの権威からは「非道く醜くゲルマン的に退化した汚物」呼ばわりされるようなスタイルの活字を、なるべくそういう差別主義者どもに気づかれないようサンセリフでウオッシングしているというスタイルの文字なのでローマンな書体と比較するとxハイトが高すぎてデセンダも殆ど無いという人文主義者が積み上げてきたタイポグラフィのルールを嘲笑うかのような……みたいな話をだらだらと、さらにコンテクストを下げてはじめると、ここだけでも、もうあと10倍はテキスト量が必要になるうえに、とても有名な書体なのでほかではちゃんとした解説をエコーチェンバーしてくれているところはいくらでも見つかるから、こんないい加減な話よりフォントの説明はそっちを見て貰った方が手っ取り早いのでいいのだけれど、まぁ、ともかく、そういうわけで今回はこのフォント。

このフォント、魔改造のための素材として使えるフリーなソースデータも探せば出てこないこともないのだけれど、そのあたりはなんとなく怪しかったので、今回もデータはゼロベースから起こしている。で、今回はxハイトとアセンダハイトの比を6:7に近い素数同士の値をとって59:73に決め、そこからマイナス1した72をキャップハイトに決定したのだけれど、これはまぁ、云ってみれば計算のし易さ優先なので、この数値に特に厳密な根拠があるというわけではない。そのうち気が変わるかも……ぐらいの感じ。実際かなり作業が進んだ後で気が付いたんだけど、よくよく考えたらImpactのキャップハイトとアセンダハイトって同じで良かったんじゃない? ということで、もう、すでにこの時点でグダグダになっている……とにかくなんだかんだでいろいろあって、完成したのが下の書体。いつも云うけど自己責任でお願いしますねホント……といっても世の中にはちゃんと純正付属品使えって言われてるのに百均の充電器使って自分で電池を爆発させて文句だけはいう人だっているから、前回みたいに不親切にファイル置いておくだけだとどうなるかわからないので前回の反省を含め、ある程度はちゃんと説明しておこう。人として何でも反省点は踏まえて行動するということも大事だからね。といってもフォントビューアーだのフォントブックだのバリアブルフォントの使い方だのOpentypeが何か? だの……の説明まではしないけど……まぁインストールにおける注意点くらいは……ただ、でも実際こういうふうに気を使っても前回とは違って今回の記事に前回並みにはアクセスがあるようには思えないのだけれど……まぁいいや。一応ね。

それで、フォントのライセンスはSIL OPEN FONT LICENSE Version 1.1に設定してあるので、利用使用に関しては商用非商用問わずというところ……ではあるのだけれど、今回のモノはUnits  Per eMが4000と馬鹿デカい上にグリフ数が1500を軽くオーバーしているという多言語対応の多軸のバリアブルフォントで、内挿されているOpentypeFeatureも天こ盛り、そのプログラムに至ってはアプリから触れる部分だけでも3000行を超えるという一般販売されている商用のフォントと比較しても遥かにオーバースペックなので、それに対応していないノンデザイナー向けデザインアプリとか、ノーコード系のWeb制作アプリでの使用は非常に大変厳しいです。まぁ無駄にデカいうえ自作してるところが多いのでコードにも結構怪しい部分があるとは思うからWebでの利用はサイトのパフォーマンスにも影響を与えかねないということを注意しておくのだけれど……でも、まぁ、それだけだと一般向けにはあまりにも間口が狭くて不親切かもしれないと……これは前回のコメントのこともあり多少反省も致しましたので、一応解像度を落としたTrueTypeフォーマットのバリアブルでないフォントもオマケに付けておいたから、こちらであればWixとかへ直接インストールしても大丈夫かも……検証はしていないけど……で、コンプレスされたファイルを解凍すると、開いたフォルダの直下にVF-PSとOTF-TTのフォルダができて、VF-PSのほうには迷惑なバリアブルフォントが、OTF-TTのほうにはそのバリアブルフォントのバリエーションの一部がUPM2048のTrueTypeフォーマットで保存されているので、まぁお好みで……と、注意書きとしてはこんな感じでOKだよね? それから、説明したことを全部分かれなんてことは言いませんし、決して言いたくもありませんが、少なくともこの段落のテキストが僧侶の念仏か狂人の戯言にしか聞こえない場合には絶対インストールしてはいけません。

This is an OpenType/CFF variable font with 1206 characters. 1915 Glyphs It has 3 axes and 24 named instances. It has 45 layout features.  SIL OPEN FONT LICENSE Version 1.1 Filename: 2nd-Impact_VF4000.otf Version 1.465 and Others… .Language support is Afrikaans, Albanian, Armenian, Azerbaijani, Basque, Belarusian, Bosnian, Bulgarian, Catalan, Croatian, Czech, Danish, Dutch, English, Estonian, Faroese, Filipino, Finnish, French, Galician, German, Greek, Hungarian, Icelandic, Indonesian, Irish, Italian, Latvian, Lithuanian, Macedonian, Malay, Norwegian Bokmål, Polish, Portuguese, Romanian, Russian, Serbian, Slovak, Slovenian, Spanish, Swahili, Swedish, Turkish, Vietnamese, Welsh, Zulu…etc.


さて、で、このフォント、さっき話が長くなるので要点だけでぶった切ったナローファットグロテクス偽装ブラックレター仮説というものを勝手にでっち上げて作業しているので、オレの頭が悪いから説明すると長くなって収拾つかなくなるので細かくは説明しないけどナローファットグロテクスという書体は簡単に言えばかつてはブラックレターが主流だったドイツにおいてローマン体が普及していく過程においてザッハプラカットの人たちによって「魔改造されたローマン体」の文字なので、つまり、作業中どうすればいいかを迷った場合はこの文字にインターナショナル化され洗練されたモダンなデザインのサンセリフからのルールのほうをなるべく適応しない……というような屁理屈を立てて作業している。といっても、まぁ、オレがあちこちで駄目なことをしている所為でいろいろオリジナルとはどんどんかけ離れていってしまっているから言い訳してもしょうがないけど……出来上がった物を遠目に見ればたいした違いは見つからないだろうからそのあたりはいいよね? で、その辺りを含めて言い訳を……じゃなかった、解説ですよ解説! あくまでもね。

ダイヤクリティカルマークに関してはデフォルトのImpactに比べると相当変わっているから分かりやすいと思うけど、65年のものに関してそのあたりの資料が少ないのを良いことに勝手に変更したりオリジナルにない要素をぶち込んでいたりしている。他にも個人的趣味の問題でPのボウルのサイズなど、見た目で判断できるほどオリジナルから大きく変えてしまっている部分は多い。特に曲線のテンションなどは普通のサンセリフを偽装するためという屁理屈でかなり緩くなってしまっているからどこをどう重ねても一致はしないので、Impactと互換するというわけではない。Impactと呼べるかどうかも怪しい。フォントの強姦とかオリジナルへの冒涜と言われれば釈明のしようもないけどただまぁ、ホンモノのImpactを現代に復元しようなどというような大逸れて肩肘張った野望を目的で作っているわけでも無いので、実を言うとそこはどうでもよかったりもしている。

細部のデザインの違いというと、一般的にImpactの細部は錯視対策やらなんやらでデータ上でもかなり細かい調整がされていて……まぁ今回こっちでもまったくしていないということでもないのだけれど、そのあたりの加減はそこまでゴリゴリにやっているワケではない。これは、よく知られている話を例にとると、下の図のようにAの文字の細部に現れている。

ちゃんとしているほうのImpactの図。直線に見えるところも微妙にカーブを描いて傾いている、左はそれを分かりやすく派手に図示したもの。勿論当然のこととして左右の傾きを同じにみえるようにするためにデータ上の傾きは同じではない。

まぁ、こういう細部への気遣いを「さすがプロのクリエイター」などと有り難がるむきもあるのは理解しないわけではないのだけれど、こちらではこういうことはあまりやらない方向だ。手抜きと言われれば返す言葉も無いのだが、一般でも、最近のデジタルフォントではそういった傾向がわりと顕著になってきていて、これは最近のクリエイターたちの能力がみんなだらしなくなっている……というワケではなくて、印刷物が主流だった時代とは違って、デジタルデバイスでの表示が多くなってきている現代ではそうした対策が過剰に見えてしまい、かえってマイナスになることが増えてきたのでそういうことにもなっているというケースもあるというような感じだ。読者の読書の理解と集中を妨げないように普通の人では誰も気づかないようなことに影でコツコツ見えない努力と配慮と工夫をするのがタイポグラフィの神髄と信じているような昔気質には気に入らないこともあるかも知れないのだけれど、ただ伝統芸能のようなテクニックより最終的には見た目が大事なのは当然昔も今も変わらない。それに技術面で言えば、今の方が昔より大分出来ることも増えていたりもする。まぁ、その分喪失した技術も多いのだけど、ともかく、こういうものも単に一文字一文字を見ているだけでは全然ダメで隣に並ぶ図形の組み合わせとか左右上下それこそ条件もいろいろケースバイケースなのでいくら偉い先達の話だからと云っても、具体的なやりかたみたいなことに関してはあまり無条件に信用しない方がいいということもある。というか、まぁ、一番信用してはいけないのは俺の話のほうなのだが。

錯視の影響で垂直に引いた赤のラインが垂直に見えずバラバラな方向に傾いているように見える。気になるようなら現代では組み合わせを拾って逐一調整する方法もないわけではないのだが……

今回の目玉のひとつはなんといっても軸が3つもあるというバリアブル化で傾斜軸とコーナーを削るためのGrade軸と、光学サイズによって字間等の微調整をおこなうオプティカルサイズのための軸が設定されているところ。そもそも本文書体ではないのでイタリックを作る必要もないのと、オレが勝手にフォントのルーツに推定しているブラックレターにもイタリック字形は存在しないので、そこから発展したナロー・ファット・グロテクスにも傾斜は必要無いといえば必要ないといえるのかも知れないのだけれど、あったほうが便利なのと単純に剪断変形をかけるだけならば面倒もないので、容易にスタイルを追加出来るからこうしている。

勿論本来はここから細部の調整が必要なんだけど、まぁ、シアーかけても思ったよりは崩れなかったので、これはこれでいいかな? という判断。剪断応力傾斜角は$${1:5}$$。つまり$${y = \frac{1}{5}x}$$に設定したので角度は$${θ=arctan( \frac{1}{5})}$$になるから計算すると$${θ=11.30993247402…}$$ で合ってるよね? まぁ、そんな感じ。数値がかなり中途半端な値に見えるかも知れないけどデジタルの斜線はこうしておくと理屈の上では$${y =\frac{1}{a}x}$$は$${\frac{1}{a}}$$の確立で斜線上の点が水平垂直線と整数値のところで必ず交差するように線が引けるからデータとしてはクリアで扱いやすくなるので都合が良い。まぁ、dpiが低いとそうも言ってられなくはなるけど。

Gradeは数値が高い方がコーナーエッジがきつく、低い方が緩くなっていて数字は逆の方が良かったかも知れないけど、イメージ的に数値が大きい方が高品質という気分もあるのでこうしている。光学サイズもグレードもやってることにたいして差はないのだけれど、グレードだけで調整する場合字間を変えずにコーナーを削れるのでそれも便利な気がしたからこうしている。


まぁ、いくら小さくできるからとは言っても、スタイルがスタイルなので視力検査並みに読みにくくはなるから光学サイズにも限度はある……一応サイズを下げれば字間が開いていって視認性を上げようとするのだけれど、オプティカルサイズに設定された数値にあまり意味は無いので数値イコール推奨級数というわけではない。

さて、さっきも言ったけど、グリフをかなり手術してしまっているためもはやこれをImpactと呼べるかどうかも怪しいのだけれど、まぁそのあたりのおおまかな設計方針も言い訳……じゃない、説明しておく。デザインコンセプトはさっき説明したとおりなんだけど、それを多軸化してなるべくノイズの発生しにくいバリアブルフォントを作ろうと思ったということもあって、そのためにはUPMも大きくとったほうがいいのだけれど、あまり大きすぎても普通のアプリで扱えなくなるので通常のTrueTypeフォントの2倍程度、つまり2048の倍の4096で設計しておけば、後からのサイズ変更はなんとかなるだろうという感じ……で、そういう感じに始めたのだけれど、2進法ではキッチリでも十進法で算盤を弾くのが正直面倒になってきたのでサイズを4000にして設計している。多分後で何処かで皺寄せが来る。

変更可能な異体字は可能な限りダイヤクリティカルマーク付きのモノも含め作成してはいるけれど、グリフ数が無駄に多いのできっと何処かに見落としはある

さて、いつもの調子でアプロプリエーションしているのだけれど、たぁ言っても自称専門家に監修して貰ったりはしていないし、トットリトーマス准教授でもないのでこれが正しいといい張ったり、ポリコレ棒を振り回す積もりも全くないので、ホント……止めて下さいね。まぁハッキリ言ってアルメニア人でもスラブ人でもギリシャ人でもベトナム人でもないのでこの理解で正しいのかどうかもよく分からないので相当やらかしチャイナ〜♪ している可能性はかなり高い。まぁ、それを言ったらアルファベットですらそうなんだけど。え? 日本語も怪しい? うん、まぁ、そうなるよね。とにかくこんなことをしているせいで無駄にキャラ数が多い。ただ、ここまでしても必要なキャラクターに届いてる気はまったくしないのだけれど。

まだちょっと細かいトコロが詰め切れていないので問題は多い。アルメニア文字のシュマルフェット化というもののイメージがちょっと掴みきれなかったので一旦装飾過多のサンセリフを設計してそれをモダンなサンセリフに偽装するという手順を踏んでからデザインを起こしている。まぁせっかく作った字形を捨てるのももったいないので、こちらもそのまま遺しているからこういう酷いことになってはいるのだけど。
特筆することは特にない。
おなじく
強いて言えばオプチカルサイズが大きいときはこれでもいいのだけれど、サイズが小さいときのアンダードットはもう一回り小さくしたほうが良かったかも知れない
日本語フォントの制作ルールを無視しているので縦組は無理。ひらがなを追加することを含めそのあたりは検討中だけど、何時になるかはわからない。

まぁ、こんな感じで基本的に必要なグリフの確認と、デザインの一貫性の検討のためにやっていると言えれば格好は良いけど、実体は趣味のほうをを優先させているため残念なことにはなっている。とにかくグリフが多すぎてプログラムの整合性から細部の調整やらカーニングやらといろんなところに問題山積みなうえ余計なことだけは色々してるので質が悪い……のだけれど今回のはなしのメインはソコではないので、今はまぁいいよね? ということで利用可能な機能に関しては以下のとおり。見落としも相当あるはずなので、例の如く苦情、ご意見、ご希望はコメント欄へお気軽に。出来ればなるべく具体的にしてもらえると助かります……さて、今回はTrueTypeも出力したのでそちらはどんな環境でも動作だけは可能になっているハズ……だとは思いますので、今回は勝手にご自由に紹介して頂いても構いません……多分。


あまり役に立たない用語解説

OpentypeFeature Opentypeフォントに内挿されているOpentypeの誇る高度組版テーブルのための一連の処理を記述するプログラム。これらにより文脈依存の合字やら文脈依存のカーニング、グリフ置換などの処理を実現することができるのだがプログラムがバグっていたりアプリがそもそも対応していなかったり等の事情で思っているようには機能しない。

Units  Per eM UPM。eM平方の一辺の長さを最小単位ユニットで分割した値……と言うと、なんのこっちゃとなるかも知れないけど、まぁ雑に言えば一文字の中の高さを何分割できるかというおはなし。PSで1000、TrueTypeの場合通常は1024または2048の値が使われる。UPM1000のフォントでxハイトが500ならば12ポイントの活字は文字の高さが6ポイントになり、12Qなら1.5ミリになる計算……であってるよね? で、UPMスクエアからはみ出す文字を作って作れないこともないのだが、そういうことをすると後で必ずとても面倒なことになる。仕様の上では最大で$${{2^{15}} -1}$$の値まではOKのはずなんだけど、つい最近までは5000を超えると殆どのアプリで支障をきたしていた。まぁ、いまでも問題はあるんだけど。

xハイトとキャプハイト ベースラインという黄緑色の線のところから小文字xの高さ……といっても下のようになっていても水色の線の辺りが一応xハイトにはなる。要は小文字のxの高さが小文字の大きさの目安となり、しいては欧文のアルファベット全体の基準値となっているというようなことで、大文字の上の藤色のところ辺りがキャップハイトになって、このxハイトとキャプハイトの差がフォントの性格に反映する。一般的には古いものほどその差は大きいけどこの辺も話せばいろいろと長くなるのでまたそのうち。その他、dとかhとか文字の上が大文字の高さより上にエクステンドするところがアセンダでgのようにベースラインより下に文字の形がエクステンドするところがデセンダになる。両方のラインをまとめてエクステンドラインと呼ぶ場合もある。まぁ下の文字を説明に使うのは実はいささか不適切なところがあるのだけれど。

オルタネイトのJとターミナルのr ともに異体字。Opentypeが高度組み版機能を実装する以前のデジタルのフォントはグリフのデータを一つにまとめ、そのまとめられたグリフと文字を対応表を使って一対一対応することしかできなかったので異体字の扱いに難があり、これは今でもそうかも知れないけど古典的書体をデータ化するにあたってその一対一対応表から外れるグリフを抱える書体の取り扱いが困難で、メジャーな書体でもそれらの再現はされない傾向にあり、それができるようになった現代では、逆に過去のデジタル資産のアップデートの面倒さからそれらの字形がなかったことにされてしまっているケースも多い。まぁ、いいとか悪いとかの話ではないのでそれだから駄目とかどうとかそういうことを言いたいわけではないんだけど、多少残念な感じはある。

カウンタースペースとインタースペース カウンタースペースは文字の中の閉じている空間、逆にインタースペースは文字の外側の空間のこと、ちょっと考えればわかると思うけど視認性の問題で、一般的には痩せて小さい文字の場合インタースペースは広くする必要があり、文字が太って大きくなるとインタースペースは狭くても大丈夫ということにはなっている。視認性の問題さえ無ければインタースペースは0でもマイナスでも構わないのだけれど、通常のフォントは活字由来のテクノロジーなため、ひとつの字形で大量の組み合わせをこなさないといけないので、こういうところは全ての文字でキチンと揃うように設計しないといけないと言うことにはなっている。まぁ、ここら辺の話もいろいろ話し出すと長くなるのでまたそのうち。

グロテスク Grotesque。19世紀末20世紀初頭に流行した初期のサンセリフのスタイル。まぁ、細かい事をいうといろいろあるんだけど、前にもさわりだけ話したと思うのでそのあたりはいいよね?

コンデンス condensed。今回のような巾の狭いフォントスタイル。フォントの水平比率を無理矢理変形した長体と違って予め縮めてデザインされている。欧文書体ではフォントの水平比率を弄るのがタブーとされることからまともな書体では予めこのスタイルがフォントファミリーの中にキチンと用意される必要がある……とも言われてもいるのだが、向こうの出版物を見ると当の欧米人も案外そんなことは気にしないでガンガンプレスしてしまっているケースも多い。また、やたら家族の多い子沢山な書体のケースではめっちゃ縮めたものをCompressedちょっとだけ縮めたモノをNarrowと呼んで区別する場合もあるのだが名前付けに厳格な基準があるのかというと、厳密化が好きな人にはあったほうがいいのだろうけど、まぁ、そういうほどでもない。和文の組み版の場合ではそもそも日本語の文字数の多さの所為でファミリーの中にそういう専用フォントをなかなか用意できない……というか、まったくしていないこともあってどんなにオーソドックスでキチンとしている書体に対しても必要があればそういうところには渋々長体が使われることになるのだが、そういうコトをするとどこかで罪悪感が刺激されるためか使うべきではないとか絶対やっちゃ駄目と主張するクリエイターも多い。

写植 フォトタイプセッティング。知らない人もいないとは思うけど印刷の仕組みが金属を組んでスタンプをつくるというハーフミレニアムも続く基本文字しか扱えないくせに、多くの種類やサイズの活字にどんどん大袈裟な装置が必要となっていくという面倒なシステムに変わって、でっかいゴムのスタンプを作って印刷するというさらに大袈裟な装置に変わっていく過程で普及していく。日本では二人の日本人によって、アメリカではマサチューセッツの二人のフランス人によって発明されたことになっていて、イギリスとドイツでもまぁそれぞれ自国の発明品と言うことになっていたりもする。さすがにフランス人が何といってるかは知らないけどまぁそんな感じ。ただフォトタイプセッティングの特許自体は19世紀には存在していて、装置自体も「え〜、思ってたのと違う」みたいなものは19世紀には存在していたのだけれど商品化や実用化は第二次大戦を挟んでいて、本格的に普及したのは5〜60年前。その後隆盛を極めるが現代ではほぼDTPに駆逐されている。

ブラックレター black letter。中世の写本をもとにした書体で、最初の活字書体で80年くらい前までは普通に使われていたのだが、いろいろな事情もあって現代ではほとんど用事が無くなってしまった。そのあたりの事情は非常に込み入っていて、説明すると長くなるのと、まぁブラックレターについては以前にも話をしたので、これも、まぁいいよね?

ザッハプラカット プラカットシュテイル。ポスター様式。これが無ければドイツは未だにブラックレターな国で、モダンデザインすら誕生しなかった可能性もある……といったら、まぁ大袈裟かもしれないけど、それについても前にもはなししたからいいよね? 

絶対インストールしてはいけません。 勿論、当然、文字通りの意味で、決して「押すなよ、押すなよ……」という意味ではありません。



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