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grunge

バブルに湧いた狂乱の80年代が終わり、それまで輝いて見えたファッションが急激に色褪せていき、何か得体の知れない危うい雰囲気が社会を覆いつつあった時代。まだまだ陽気な西海岸から遠く離れたシアトルの街を中心に起こったオルタナの潮流がグランジだった。ラウドなギター、パンクなビート、暴力的なまでのオスティナートが纏うそのパワーは音楽のみならずファッション、カルチャーをまきこんで全世界を席巻していった……なんて、すいません少し盛りすぎました。いや、好きなんですよ。まぁ、それはともかく今回はそんな感じのお話です。

なんか、もうちゃんとしたモノをつくるっていうのはいろいろ大変なので、いっそのこと逆方向からアプローチしたほうがいいんじゃないのってなってなった結果、思いついたのでやってみたという話。名付けてグランジアプローチバリアブルフォント。略してgrungeだ! それはそうなんだけど今回枕が短いところで察して貰えると思うのだけど、いや、体力消耗しますホント。はじめてみると案外大変だったのでそれも含めて。

軸の多いバリアブルフォントを作ろうとするとグリフのレイヤーが1軸なら2枚、2軸なら4枚、3軸なら8枚、4軸なら16枚となんか倍々で大変さが増していくというのは理屈なんだけど実は1軸を1レイヤーづつでもなんとかなってしまうというアプローチ。それがこのgrunge fontだ。

考え方は単純で一旦完成したフォントをタイトルの図のようにナイフで適当に切れ目をいれてズタズタにする。この時点ではフォントはまだもとの形状を保っているのでコレをオリジナルとしてコピーしたフォントに裂け目を入れたり、潰し、破壊を施してこの変化を抽出するという方法だ。

基本ちゃんとしたモノをぶち壊す方向にしか変化が働かないので軸の両端を考える必要がないのだ。パンク精神で、大人がしっかりつくったモノをガキがぶち壊しにかかっていくっていうイメージだ。汚しの入ったその手のフォントは結構フリーでもいっぱい転がっていると思うのだけど、手書き風にしろなんにせよ所詮フォントデータなのでなんか整っていってしまう。つまりグランジフォントが必要なのに1文字目のCと3文字目のCが同じ汚れ方になっているのはどうなの…という話だ。

3軸のバリアブルフォントが、ご覧の通り4つのレイヤーでできてしまう。だから、各軸なるべくおかしな方向へすっとんで行ってくれた方がOK。作るより壊すって楽しい……って、ええ、そう思ってた時期もありましたよ……だけど、あんがい、ちゃんと壊すって大変なんだよね。

変化量をすべて最大に振り切ると上の図の右下の文字のように、もはや何をやりたかったのかよくわからなくなる。適度さって大事なんだよねコレが。
大文字を総て破壊し終わったところで力尽きました……。壊すにもしっかりとしたアプローチと体力が必要ということで……。

ええ、今回は、反省しかありません。ホント。



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