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効率よくお金を貯めるには?
投資と保険で賢く増やす
支出を減らして貯金をしても、それだけで万全じゃない
万が一の事態が起こっても家族の生活を継続していくための守りを固めながら、将来必要になるお金を増やしていく!
お金を貯めるカギは「攻め」と「守り」
「攻め」は、必要なお金を安全な預貯金だけでなくリスクのある投資も活用すること
教育費や住宅にかかる費用、将来の老後資金もとなると、預貯金だけでは追いつかない
日本では長く低金利が続いていて、銀行に預けてもお金はほとんど増えない
多少リスクを取ってでも積極的に増やす選択も必要になる
「守り」は、ケガや病気など予期せぬ事態に備えるリスク管理です
投資を続けていくには、この元手となる収入が安定確保される必要があります
急に病気やケガで働けなくなって、収入が途絶えてしまえば、日々の生活が立ちいかなくなり、投資どころではなくってしまいます
まさかの事態が起こっても、生活を続けていける備えである「守り」を固めてこそ、安心して「攻め」の投資を実行できます
家計を守る仕組みは、公的な保険制度の社会保険と、自分で補う民間の保険の2つに分けられます
これらを上手に組み合わせて、家計の攻めと守りの体制を構築していきましょう
資産運用で豊かになる
「老後2000万円問題」とは
2019年に金融庁の金融審議会が、老後の家計は2000万円程度不足するという報告書を公表したことを機に巻き起こった議論です
この2000万円という金額は、高齢夫婦無職世帯では、収入(主に年金)よりも支出が月5万ほど上回って赤字になっているという平均値をもとに、その生活が30年継続すると仮定して導かれた金額です
実際には、老後の生活に必要な金額はその人のライフスタイルによって大きく異なるので、すべての世帯で一律に2000万円必要になるわけではありませんが、まずは2000万円を用意するには毎月いくらの貯金が必要かを計算してみましょう
老後に2000万円を預貯金で用意するには、20歳だと毎月3.7万円、30歳だと4.8万円、40歳で6.7万円の積立貯蓄が必要になります
これは、実際の平均的な貯蓄額と比較しても、現実的でないことがわかります
一方、積立投資を利回り6.0%で運用できれば、成果は大きく変わります
20歳スタートの場合は月々7,000円投資に回していけば十分に資金を貯めることができます
30歳スタートなら14,000円、40歳スタートなら29,000円で老後資金が作れて、差額は教育費など別貯蓄に回すことができるようになる
※37,000円→7,000円(20歳スタート)
48,000円→14,000円(30歳スタート)
67,000円→29,000円(40歳スタート)
積立投資で利回りよく運用できれば、ただ貯金するよりも少額でより効果的に資金を貯めることができる
預貯金だけではインフレからお金を守れない
資産運用は貯蓄と異なり、お金が増えることもあれば減ることもあるため、怖いと感じる人も多くいます
しかし、ほとんど利息のつかない日本の預貯金は、もう100%安全なお金の置き場とは言えなくなっています
積極的に資産を増やすという目的だけでなく、インフレから大切なお金を守るためにも、資産運用の必要性は高まっています
そもそも、投資のリターンはお金が減るかもしれないリスクを受け入れるからこそ得られるものです
「ハイリスクハイリターン」という言葉があるように、大きな利益が期待できるものは損失のリスクも非常に高くなります
暗号資産のように一晩でお金が大きく増えたり減ったりするものは、ハイリスクハイリターンの典型例です
逆に、「ローリスクローリターン」の筆頭名は、預貯金です
預けたお金が減る心配はありませんが、得られる利息もごくわずか
ローリスクを重視するなら、ローリターンは受け入れなければならないです
リスクとリターンは背中合わせなので、「ローリスクハイリターン」という都合の良い投資対象は存在しません
リスクなしで大きく増やせるということはあり得ないので、そんな金融商品を勧められても信用してはいけません
資産運用のリスクを抑える方法
資産運用はお金が減るかもしれないリスクを受け入れることで、お金を大きく増やせるので、リスクをゼロにすることはできません
それでも、リスクを抑え、許容できるようにする方法はあります
それが【 長期・分散・積立 】という3つのキーワードです
リスクを抑える方法 1.長期
短期間で資産を増やそうと思えば、高いリスクを取る必要があります
しかし、途中経過で元本割れすることも受け入れながら、長い時間をかけて資産を育てる覚悟があれば、最終的に資産を大きく増やせる期待が高まります
一時的な元本割れにも焦らず、長期間じっくり運用を続けることで総合的に見るとリスクを抑え、資産を増やすことができるのです
リスクを抑える方法 2.分散
有名な投資格言に、「卵は一つのカゴに盛るな」という教えがあります
同じ投資対象に資金を集中させてしまうと、それが下落した時のダメージが大きくなってしまうので、投資対象は分散させておくほうがダメージを抑えられるという意味です
投資をする場合、特定の企業の株式に資金を集中して投じると、うまくいった場合の利益が大きくなる半面、倒産や業績悪化などの悪材料が出た際の損失も大きくなってしまいます
リスクを抑えることを優先するのであれば、投資先は分散するのが賢い選択になります
リスクを抑える方法 3.積立
投資は対象だけでなくタイミングも分散することで、よりリスクを抑えることができます
一括投資の場合は、投資した直後に下落相場に見舞われると大きな損失を抱えるので、投資をするタイミングを慎重に見極める必要があります
しかし積立投資なら、投資した直後に暴落相場が来ても心配いりません
投資は安い時に買って高い時に売れば利益が出るので、むしろ目の前の暴落相場は格安で投資できるチャンスです
積立投資をする場合、どんな相場でも過剰に一喜一憂する必要はありません
株式と債券はどちらがいい?
資産運用をするうえでオーソドックスな投資先は、株式と債券です
株式とは、株式会社が資金を得るために発行する有価証券です
投資家は株を買うことで、その企業の一部を保有するオーナーになることができます
上場企業の株式は株式市場で自由に売買できるので、企業の業績や投資家からの人気によって株価は変動します
安い時に株を買って企業の株価が上昇すれば、それを株式市場で売却して利益を得ることができます
また、売らなくても保有している間は、利益の一部を配当金として受け取ることができるほか、株主優待を贈る企業もあります
ただし、業績悪化や不祥事、倒産などの理由で株価が大きく下がることもあり、そうなると損失を出すことになってしまいます
日本の株式だけでなく、海外の株式にも投資はできますが、海外の株式の場合、為替変動の影響も受けるため、日本の株よりもハイリスクハイリターンになります
一方債券は、国や企業などの発行体が、投資家から資金を借りるために発行する有価証券です
満期がくれば金額の全額が投資家に払い戻されます
利付きの債券であれば、満期まで定期的に利息も支払われます
株式のように期待を上回る利益をもたらすことはありませんが、リスクは株式よりも低く、元本を守りながら利息収入を得られる点が大きなメリットです
ただし、日本のほかの金利と同様に債券の金利も低く抑えられており、「攻め」の投資運用には向きません
金利収入を狙うなら、金利の高い海外の債券などを買う必要があります
株式と債券のメリット・デメリット
株式
仕組み→会社のオーナーになる
利益→配当、売買益
リターン→無制限
リスク→高め
満期→なし
好景気の時→家格上昇
不景気の時→家格下落
債券
仕組み→会社にお金を貸す
利益→利子、売買益、償還差益
リターン→限定的
リスク→低め
満期→あり
好景気の時→価格下落(金利上昇)
不景気の時→価格上昇(金利低下)
低コストの投資信託を選ぼう
投資初心者におすすめの金融商品は、投資信託(ファンド、投信)です
投資信託とは、投資家から集めたお金をまとめて専門家が運用してくれる金融商品のことです
市場平均以上の収益を目指して株式や債権を投資家が選んで投資する商品(アクティブファンド)や、投資成果が日経平均株価などの指数に機械的に連動する商品(インデックスファンド)もあります
投資信託は、投資する際に「販売手数料」や保有している間に「信託報酬(運用管理費用)」などのコストがかかります
特に信託報酬は保有している間はずっと資産から差し引かれるコストなので、長期で保有するほど運用実績に影響してきます
インデックスファンドの場合、指数が同じなら運用実績もほぼ同じなので、なるべくコストの低い商品を選ぶことが重要です
インデックス運用とアクティブ運用
インデック運用
株価指数などのベンチマークに連動する運用成果をめざす
・対象ベンチマークとの連動を目指すため値動きがわかりやすい
・運用にあたり分析を必要としないため、一般的に低コスト
・運用成果は運用会社の力量に左右されにくい
アクティブ運用
株価指数などのベンチマークを上回る運用成果をめざす
・対象ベンチマークと連動しないため値動きの理由が複雑
・情報収集、分析に基づいた運用を行うため、一般的に高コスト
・運用成果は運用会社の力量に左右される
現実の金融商品は値動きが不安定
積立投資を一定の利回りで何年続ければいくらぐらいになる、という資産は、金融庁のサイトをはじめ、ネット上にシミュレーションサイトがたくさんあるので簡単に試算できます
ただし、実際の金融商品は必ずしも一定の利回りで成長するわけではありません
長期では大きな成果を上げても、途中は激しい値動きをしています
積立投資は相場が良くない時でも、決してやめずに継続することが重要です
老後資金をつくり、現役時代も節税できるiDeCo
本来、投資で得た利益は、課税の影響を受けて80%ほどしか受け取ることができません
しかし、老後を見据えた資産形成をサポートするために、一定額までは課税されない投資制度として、iDeCo(個人型確定拠出年金)とNISAが設けられています
iDeCoは現役時代から投資信託などにお金を積み立てる私的な年金制度です
会社員や公務員の場合、65歳まで加入(積立)でき、最長で75歳まで運用できます
また、積み立てた掛金は所得控除の対象になります
ただし、原則60歳まで換金できず、積立金額にも上限があります
また、勤務先に退職金制度があったり、年金受け取りを選んだりした場合は、受け取り時に課税される可能性があります
確定拠出年金には個人型のiDeCoのほかに企業型確定拠出年金(企業型DC)という企業が社員のために掛金を支払ってくれる仕組みもあります
企業型DCや企業型年金に加入する人はその分のiDeCoに積立られる掛金が少なくなります
1800万円が非課税で投資できるNISA
もうひとつ注目したい仕組みが、NISAです
NISAは利益に課税されずに投資ができる仕組みで、2024年に新しい制度が刷新されたことで使い勝手やメリットが大幅に向上しました
NISAは無期限で非課税投資を続けられます
老後を待たずに換金も可能です
年間で360万円まで、生涯だと1800万円までの非課税投資ができます
しかも、投資した商品を売却した場合、翌年にはその枠が復活して再度非課税投資が可能になるので、事実上1800万円を超える投資が可能です
非課税投資枠は個人単位で、夫婦であれば3600万円になるので、一般的な収入の世帯であればNISAの範囲だけで、一度も税金を払わずに投資できる家計も多いと考えられます
NISAは積立投資専用の「つみたて投資家枠」と個別株などへの一括投資できる「成長投資枠」に分かれており、成長投資枠は1200万円までとされてきますが、積立投資であればこうした制限なく、1800万円すべてを積立投資に使っても構いません
対象商品は「つみたて投資枠」の投資信託と、
「成長投資枠」の株式、投資信託、ETF、REITになります
預貯金の全額を投資に回してはいけない
投資は長期で継続してこそ、リスクを抑えて大きく育てることが可能になります
短期的には損失を抱えてしまうリスクは許容しなければなりません
今使わないからといって、全額を投資に回してしまうといざ必要なタイミングで元本割れしている可能性があるのです
このため、10年以内に使うことが決まっているようなお金は、極力元本が守られる形でお金を置いておく必要があります
直近で必要なお金は、積立投資とは別に貯蓄をしておくことが必要です
毎月の収入は、普段使うお金である生活費、将来使う予定のあるお金、そして10年先に使うお金(積立投資)の3つに分けて運用していきましょう