夏草のひとりごと #17 他と違うことはただ生きにくいだけなのに
ハムスターが見たくてペットショップに行ったらアルビノのジャンガリアンがとても安い値段で売られていた。
アルビノというのは遺伝的に通常の色素とは異なり毛並みが真っ白だったり眼が赤かったりする生物の個体のことだ。
ハムスターに限らず、ウサギとかヘビにも表れる。
アルビノの個体は通常と異なる遺伝的性質を内包していることが多く、生存的に不利なことが多い。
パッとwikiレベルで調べても皮膚がんにかかりやすいといったデメリットがあるとか。
話戻って、そういう事情があってそのペットショップのハムスターは安いのだ。命に値段付けるとか、みたいな点は指摘するつもりはない。
飼い主との時間が他より短い可能性があるのは自明なのだから仕方ない。
ごはんをモリモリ食べたり、滑車を元気に回して、水もごくごく飲んで忙しない子だった。
にしても、生まれつきの差でその自由が短い可能性があるというのはどうにも悲しく思うところがあった。
飼ったら他の子と同じだったらとか、きっと思ってしまう。
ただ、見た目は飛びぬけて綺麗で目も赤くてかわいらしかった。
刹那的な素敵さと引き換えと言っていいのか?
人間で言えば美人薄命って奴?
アルビノとはちょっと違うかもしれないけれど、人より目を惹く人は何か思い込みとかでは済まされないコンプレックスや重病を抱えてる。
それが外見でなくても、内面や発想力の優秀さに対して何か代償的な形で割りを食っている。
その才を伸ばして、駆け抜けるように、誰にも追いつかれないような力で世界を生きることの方が有意義なのか。
はたまた、その他大勢と一緒に同じような時間を過ごして静かに終える方が有意義なのか。
そんなのは気の持ちようだし、自分が歩んできた道を肯定できるように尽くす方がいいとか、綺麗な言葉はいくらだって出てくる。
けれど、やっぱり割り切れない。
自分は本当にちょっとだけ人と違う。
もう認めざる得ない。変だ。
特別だと思い込むのはしないと決めていても、特別とかいいニュアンスを含めなくて、よく考えても変なのだ。
それがとてつもなく苦しい時があって。
でも羨ましいと言う人も居て。
いくつになっても、これからも答えは出そうもない。