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夏草のひとりごと #29 共振静止中天邪鬼

 振り子の共振。
 同じ長さの糸をピンと張って、並んで吊るす。

 Aの振り子は静止している。
 Bの振り子は動いている。
 
 やがてBの振り子の動きは小さくなって、反対にAが動き出す。
 振り子の共振現象だ。

 
 Aが動いてしばらく経つと、またBが動き出す。Aは止まる。
 以下、繰り返し。

 人の動きに前習えが出来ない奴みたいだ。
 動きべきところで止まって、止まるべきところで動く。

 AとBどちらの最初の状態が正しいかなんて知りはしないけれど、そういったことで揉めるのも人の特徴だ。
 始まりなんて誰が分かるの? 正しいかどうか決めてどうしたいの?
 ――というのは置いといて、単純に気になっているだけっていうのも分かる。

 人間一人一人が振り子だとして、81億1900万個。
 本当に同調して動いてるのだろうか?

 マジョリティ・マイノリティで何かが分かるのだろうか?
 自由に生きてると感じますか?なんて馬鹿げたアンケートを取ってみたい。

 少なくともこの振り子は隣と違う動きをしてしまう。
 強制してあげてもあら、いつのまにか元に戻ってるじゃないかと。

 でもそれが自然の摂理ならそれでいいじゃないかって思いたい。

 どうしてそんなはずないと騒ぐのか、僕はずっと不思議だ。


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