夏草のひとりごと #13 毒という機能はたくましい
毒を持つ生物。
動物植物問わず、色鮮やかなものが多い。
考察として、あえて目につきやすくアピールし、天敵を迎え撃つ等。
生存を有利に働かせるうえで様々な意味合いをもっているだろう。
するどい爪、牙、筋力、脚力といった強さではなく、相手を誘惑したり知らずに触れるあるいは食べることで発揮する強さというのは卑怯っぽい。
しかし、僕はしたたかでかっこよく感じてしまう。
なんとなく動物園や水族館といった場所で毒をもつ生き物を見ていると、小さくて可愛らしい生き物が多い気がしていて。
噛みつぶせばいつだって死んでしまうような姿で生まれたのにも関わらず、生き延びてやろうという、そんなたくましさがある。
毒を獲得した過程は多分偶発的なものなんだろうけど。
天敵に対する毒を持ってたやつがたまたま生き残っている的な。
そのことを踏まえると、有毒生物は危うい橋を何度も渡って現代に繋がっているんじゃないかと思う。
武器として爪や牙は非常に優秀だ。対象が幅広い。だから生き残りやすい。
勿論毒だって広範囲にダメージを与えるけれど、効かない奴には本当に効かない。抗体すら持っていることがあるから窮鼠猫を噛むにもならないだろう。
別に毒になぞらえなくったっていいけれど、人間の社会でも学校や会社に所属するも勉強が苦手、運動が下手、機転が利きにくいとか、上記で言うところの爪や牙が無い人は沢山いる。
それがコンプレックスにさえなる。
少なくとも僕はそうだ。頑張って克服できることがあるのは人間の学習システムが他種よりよくできているからだろう。
けれども一筋縄ではいかない訳で、毒みたいな能が欲しくなる。
でもその毒は先述した通り、たまたま持っていたから生き残れた要因であっても、積極的に得られるような代物ではない可能性がある。
だから人間は追い詰められたとき抗う術がないなんて状態も簡単に出来上がる。
そんな時、人間の世界じゃリーダーシップをとれる人間が現れて導いてくれる場合がある。
僕はそれはライオンみたいな人より、毒を持ってしてスマートに……クレバーに事を進める人にちょっと惹かれてしまう。
薄暗いが、目には見えない爪痕を残すたくましさ。推したい。