DAOは現代版オンライン評価経済社会 〜DAOがもたらす「新しい経済社会」の在り方 vol.2 〜
DAO運用をサポートするスタートアップUnyteです。
この記事では、前回考察した評価経済社会がどのように「DAO」に作用していくのかを考察していきたいと思います。
<こんな方に読んでいただけると嬉しいです>
DAO運営やコミュニティ事業に興味のある方
DAOという文脈で「評価経済社会」について理解したい方
新しい価値観に興味のある人
前のnote記事、評価経済社会ってなに? 〜DAOがもたらす「新しい経済社会」の在り方 vol.1 〜は、以下からご覧いただけます!
(この記事は約10分で読めます)
1. 評価経済社会としての「DAO」
1-1. DAOと評価経済社会の関係性
「DAO」と「評価経済社会」には、どのような繋がりがあるのでしょうか。結論から述べると、形態にもよりますがDAOは、新しい評価経済社会のあり方といえるでしょう。
1-2. なぜ、DAOは評価経済社会だとのいえるのか
DAOが評価経済社会であるということは、DAOで「トークン」が発行・利用される仕組みを知ることで理解できます。
DAOにおいてはトークンという通貨が発行され、DAO独自の評価基準により、参加者の貢献度に応じて各々に配布されます。
DAOでは、これまでの貨幣通貨では測ることのできなかった貢献(地域コミュニティやボランティア団体での活動・メンバー同士の教え合いなど)に対してトークンを付与することにより、貨幣経済では評価されなかった人々の活動や貢献に新たな価値が与えられます。
DAOの仕組みについては、以前の記事で紹介させていただきました。詳しく知りたい方は、ぜひこちらもご参考にしていただければと思います。
2. DAOでトークンが扱われることの意義
さて、DAOのエコノミクスについてより詳細な説明を始める前に、DAOが評価経済社会と考えられる根拠について振り返っておきます。
以降をご理解いただく上で非常に重要なポイントとなりますので、まだ読まれてない方は、ぜひ前回の記事「評価経済社会ってなに?」をお読みください。
この評価経済社会のシステムを踏まえて、改めてDAOについて考えてみましょう。
前回の記事で述べたように、DAOには自分が大切にする価値観を、様々な人と共感しあえる場所としての魅力があります。特に注目すべきは、各々のDAOが発行する独自のトークンです。その仕組みは後ほど詳しく述べますが、トークンは透明性を担保しながら人々が共有する価値を可視化します。
DAOは評価経済社会の特質、つまり「自分の価値観が尊重される」ことを具現化しています。この特徴こそがトークン所有の魅力であり、持続可能性を確保し、その存在価値を高めている要因です。
次章では、トークンの価値決定プロセスと配布メカニズムについて掘り下げていきます。
3. DAOにおける評価の仕組み
3-1. トークンにより「価値」が生まれるのはなぜ ?
ここからは、DAOにおける評価の仕組みについて説明していきます。
先にも述べた通り、DAOの活動は参加者各々の貢献により進められ、その対価としてトークンが付与されます。しかし「私はこのDAOのために〇〇をした」と単に宣言されたからといって、そのまま全てがDAOへの貢献としてカウントされるとは限りません。
この点は、多くの組織と同様です。なんらかの活動を通して評価を得ようとする場合、他者の目線から見ても「その貢献には価値がある」と思われるものでなければなりません。
即ち、トークンを分配するに値する活動とは、DAOの目的やビジョンと合致しており、DAOメンバーがその価値基準に照らし合わせて評価に値すると意思決定したものに対する報酬なのです。
また、DAOは管理者不在という特性ゆえに、具体的なタスクがトップダウンで与えられるのではなく、メンバーが自発的に動くことが前提とされたボトムアップ型の組織形態です。
能動的に多様なタスクが発生し、貢献活動が発達していくことが想定されるからこそ、「その中でも価値がある活動はどれか」を決めトークンを付与する評価プロセスがキモとなります。
3-2. 受け取った「トークン」は自己の証
先述したようにトークンはDAOの目的に合致し、他のメンバーから評価された活動の結果として付与されます。
トークンの付与プロセスやルールはDAOによって異なりますが、それらは他のDAOメンバーによる承認を受けた活動や貢献に基づいています。この仕組みにより、トークンには単なる貨幣交換を超えた価値が加わり、DAO参加者の貢献に対する公正な評価を示す証となります。
参加者は自身の貢献を通じて活動目的や価値観をDAOメンバーと共有することができるのです。
また、トークンは貨幣の代替手段として機能するものである一方で、そのトークンが発行されているコミュニティに所属している・貢献してきたという証でもあります。トークンにより可視化された取引(トランザクション)の履歴は、そのDAOが目指すビジョンに賛同しているという自身のアイデンティティを表現する一部ともなるのです。
これが、貨幣価値がないものに独自の価値が生まれるメカニズムです。
4. DAOとは自分らしく過ごせる居場所
最後に、評価経済の視点に立ち、DAOと評価経済社会の関係性を改めてまとめます。
今日、DAOはブロックチェーン技術を用いた分散型の非中央集権型組織という文脈で、次世代の全く新しいシステムとして広く知られています。この「DAO」を評価という切り口で分解して見た時、そこではトークンを核とした新たな価値観が支持されていることが見えてきます。
トークンは、貨幣では測りきれなかった人々の実に定性的な貢献活動を価値へと置き換えられる非常に便利なツールです。またDAOの数だけ存在する実に多種多様な目的に合わせた基準を定められ、トークンを活用したエコノミクスはその自由度の高さから革新的な手法となり得ると考えられます。
自己のアイデンティティを表するトークンを保有し、自分の価値観に共感しあえる信頼できる人たちと繋がれる。どんな人でも自分の居場所を見出せるDAOで、より活躍していこうと意欲的に活動できる。
そんな「DAO」に関わることで、個人の可能性をもっと広げることができるのではないか、と考え、DAOを社会に広めるための活動を私たちも行っています。
さて、ここまで見つめてきたDAOでは、どのような人々が活躍できるのでしょうか。そしてDAOという組織形態には果たしてどのようなメリットや強みがあるのでしょうか。
これらの点に関しては、次回以降さらに具体的に解説していきます!!!お楽しみに!!!
5. 参考資料:評価経済社会を、もっと深く知るために
「評価経済社会」を理解する上で参考になるコンテンツをご紹介します。DAO視点で理解しやすいものを2つ、そして前回と今回の重要なテーマとなっている「評価経済社会」の仕組みがわかりやすいものを1つ、ピックアップしました。
◾️DAO視点で評価経済社会を理解したい方へ
1つ目にご紹介するのは、岡田斗司夫氏の「【入門編】わかりやすい「評価経済社会」」です。YouTubeでサクッと見られる動画なので、ぜひご覧ください。
2つ目にご紹介するのは、ハヤカワカズキ氏のnote記事です。前述の岡田斗司夫氏の書籍を元に、価値観の変化やこれからの評価経済社会についてを深く考察されています。
■「評価経済社会」の仕組みを、さらに理解したい人へ
最後にご紹介するのは、深井貴明氏のコラム、「評価経済社会を、映画『この世界の片隅に』の成功から読み解く」です。 映画「この世界の片隅に」の周辺で観測された社会事例を元に、評価について考察されています。
以上の3つをご覧いただくと、「評価経済社会」という言葉の大意は掴めると思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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