「Summitar」ってどう発音するんだ!?!?
皆さまごきげんよう、うにょーん(@giondoll)です。さて今回はLeitzの大口径標準レンズ「Summitar」の写り…でもなく、作りの良さ…でもなく、発音に注目していきます。読者の皆様はSummitarってどう読んでますか⁉
「ズミター」?「ズミタール」?
Summitarを英語風に発音するなら「ズミター」でしょう。この発音はTwitt…、Xでのtwee…ポストでも「ズミター」と表記されているのをよく見かけますし、三宝カメラやマップカメラでも「ズミター」と表記されます。
一方、ドイツ語発音である「ズミタール」派も多く確認できます。ナニワグループやステレオカメラが「ズミタール」と表記しています。
ここで聡明なる読者様は思った筈です。
ドイツ語でもSummitarをズミタールとは読まねぇよ!
そう、多くの資料は「ズミターは英語読み、ズミタールは独語読み」というのですが、独語のSummitarをカタカナにするなら「スミター」といったところ。どう考えても「ズミタール」となんて読まないのです。
Summitarを紹介するドイツ人Youtuber、Sven Klügl氏の動画。1分13秒付近を聞いて頂くと分かるが、発音は「スミター」である。
Q.となると、ズミタールって何読みだ?
A.ドイツ語読みです。
さて、読者の頭が??????????となっているでしょうから解説していきます。
実は「ズミタール」読みは国立国会図書館デジタルコレクションに収蔵されている様な古い資料でも確認出来る読み方です。
Summitarに関する資料だと、最も古い資料は1952年に出版されています。
しかし、同コレクションに所蔵されている書物には「ズミター」読みの資料も存在します。それも、より古い1943年のものです。
国立国会図書館デジタルコレクションで確認することの出来た最も古い読み方は「ズミター」、これが本当の読み方なのか…と思うのはまだ早いです。
語尾にRが付くドイツ語をカタカナにした際の表記を他の単語も含めて探っていきましょう。
すると興味深いことに、「Summitar」の様に「r」をはっきりと「ル」と表す資料はより古い時代にも存在します。
ここでは「Voigtländer」を「ホクトレンデル」と記してあります。おや?
こちらは「Schneider」を「シュナイデル」と表記してあります。何やら法則性が見えてきましたね。
実はこのような現代ドイツ語とは異なる発音の事を「舞台ドイツ語」(Bühnendeutsch)といいます。元々はどの地域で舞台の講演を行っても聞き取り易い発音として考案され、19世紀後半に体系化されたこの発音は20世紀前半までは標準的かつ模範的なドイツ語の発音とされていました。
この舞台ドイツ語の発音の特徴はずばり「r」なのです。現代のドイツ語と異なり舞台ドイツ語のrは語末や音節末の場合でも母音化しません。
しかしながら、舞台ドイツ語は時間の経過、方言の統一、文学による新しい表現の開発などの自然な理由により現代の標準ドイツ語へ変わっていきました。その過渡期とも言えるのが20世紀の中頃です。
そしてLeitz Summiter 5cm F/2が発売されたのは1939年から1955年の間。つまり20世紀の中頃で、ちょうどこのドイツ語の変化の過渡期なのです。
このことが日本語訳に大きな影響を与えたことは確実でしょう。「ズミター」と「ズミタール」同じレンズを表わす2つの名はこの時代のドイツ語の流れを示す時代の証人なのです。
結論
「ズミター」も「ズミタール」どちらも正しい読み方なので好きな方を選ぶがよろし!