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SUICIDAL TENDENCIESのライブに行ってきました。
3/14(木)、大阪難波Yogibo META VALLEYで開催された、アメリカの元祖ハードコア/クロスオーバー・スラッシュバンド、SUICIDAL TENDENCIESの来日公演に行ってきました。
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SUICIDAL TENDENCIESが前回来日したのは2017年で、実に7年振りの来日になります。
前回は東京1公演(しかも何科のイベントのゲスト)のみだったこともあり、行きたい気持ちはありながらも、金銭的問題と、夜行バスに乗るのが嫌で諦めたのですが、まさかそこから7年も待つことになるとは思いませんでした。
今回のライブを逃したら、次は何年後になるのかわからないと思い、チケットの一般発売日に早起きして発売開始と同時に購入しましたが、結局チケットは売れ残り当日券が販売されていました…。
<ライブ会場>
ライブ会場は難波のYogibo META VALLEYでした。
去年BLACK FLAGのライブを観に行ったときに行ったので、今回が2回目になります。
キャパ公称600人、実際500人前後のやや狭めの会場ですが、やはりまだまだオープンしたてという事で、今回も全体的に綺麗という印象は変わりませんでした。
ただ、僕自分の中でSUICIDAL TENDENCIESは今でも↓の動画みたいな人気を誇っているバンド、という印象(妄想、幻想、錯覚、夢)があったので、少し寂しい気持ちになりました。
日本で特にこの手のジャンルの人気が無くなっている、という話なのかも知れませんが、世界的にももう全くそういう時代ではない、ということなんでしょう…。
<客層>
客層はやはりというべきか、全体的に年齢層が高く、30~50代が中心ではなかったかと思います。男女比は言わずもがなな感じで、BLACK FLAGの来日に来てたのと同じ人達が結構いました。(7 SECONDSのレザージャケット着た方とか)
外国の方も多く、GTAのサンアンドレアスに出てきそうなコテコテのチカーノ系ギャングっぽい恰好をした人(バンダナ+タンクトップ)がいて感動しました。
ただ、BLACK FLAGの時は一切いなかったのに、今回は家族連れで来られている方が何組かいて衝撃でした。(チケットは、子供料金とか特になし)
確かにBLACK FLAGと比べると、BLACK FLAGは精子臭い陰気なおっさんの毒吐きロックという感じで、アルバム『Family Man』など、子供に聴かせたくない要素山盛りな感じがしますが、そういう目線で見ると、SUICIDAL TENDENCIESはエネルギーが外向きというか、より元気でカリフォルニアの明るい太陽の下を感じさせるバンドではあると思います。
青少年の健全な発育のためにSUICIDAL TENDENCIESが必要と判断された親御さん達の慧眼をリスペクトします!
<演奏メンバー>
SUICIDAL TENDENCIESは死ぬ程メンバーチェンジが多いバンドですが、
現在のラインナップは、
・ボーカル:Mike Muir a.k.a. "CYCO MIKO"(創設者)
・ギター:Dean Pleasants(ずっといる人)
・ギター:Ben Weinman(最近入った元the Dillinger Escape Planの人)
・べース:Tye Trujillo(最近入ったメタリカのベースRobert Trujilloの息子 現在19歳くらい?)
・ドラム:Jay Weinberg(ライブ1週間前に加入した元Slipknotの人)
の5名になっています。
個人的にはベースのタイ君を見たい!と思っていたのですが、チケット買ってしばらく経ったある日、前ドラマーのGreyson Nekrutman氏がセパルトゥラのツアーに参加するから脱退。みたいなニュースが突然持ち上がり、
Bem vindo ao Sepultura Greyson Nekrutman! Greyson a partir de agora assume as baquetas da turnê "Celebrating life...
Posted by Sepultura on Tuesday, February 27, 2024
「じゃあ日本でのライブが最後なのかな・・」と思っていたら、今度は3月6日(ライブ前週・・)になって、元Slipknotのドラマー、Jay Weinberg氏がSUICIDAL TENDENCIESに加入する、というニュースが入ってきました。
まあでも、さすがに日本でのライブは前ドラマーが最後にやるだろうな‥と思っていたら、最終的にJay Weinberg氏のSNSに「Osakaでのライブを楽しみにしてるぜ!」みたいな投稿があり、3月14日は突如、Jay Weinberg氏のお披露目ライブというとてもレアなライブになりました。
また、この日はボーカルMike Muir氏の61歳?の誕生日でもあり、二重にレアなライブでした。Muir氏にも、どうせなら誕生日を機に何かを一新したかったのかもしれません。
<セットリスト>
setlist.fmに、有志の方によってセットリストがアップされていました。
最近のライブは大体こんな感じのセットのようですが、見比べると「Lovely」が少し珍しい選曲だったようです。
勝手にアルバム『Freedumb』あたりの曲は黒歴史になっているのでは・・と思っていたので、意外と演奏されて嬉しかったです。
<レポート>
SUICIDAL TENDENCIESのライブはお約束があり、1曲目は必ず「You Can't Bring Me Down」と決まっています。
なので、1曲目が始まる前から、フロアではモッシュの準備のような空気感が醸成されていました。
そして暗転の中、Mike Muir氏以外のメンバーがステージにぞろぞろ現れ、ローディー(マネージャー?)のスペイン系のお兄ちゃんのがなり後(一瞬、「ボーカルも変わった?」と思って震えました)、「You Can't Bring Me Down」の長いイントロが始まりました。
メンバーが登場してまず目が行ったのは、新ドラマーのJay Weinberg氏より、ベーシストのTye Trujilloでした。
「若い」という話は聞いており、年齢がまだ10代ということも知っていたので、「若いだろうな。」とは思っていましたが、想像の何十倍も若く、若いというよりもはや「高校3年生」くらいの感じだったのが衝撃でした。
ファッションもイオンで売ってそうなジミヘンの七分袖ロンTという、「高1の私服」みたいな感じで、それが一層若さを引き立てていました。
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この若さで自分でバンドやったり、KORNのサポートメンバーやったりしているのだから本当に凄いです。
面立ちもどこかお父さんの面影があるイケメンで、ベースプレイはお父さんみたいに変な恰好で弾いたりしないものの、年齢を感じさせない場数を踏んだバキバキさがありました。
「You Can't Bring Me Down」のイントロが終わり、爆音とともに飛び出してきたMike Muir氏は、YouTubeの動画などで見る通りの、高齢者とは思えない機敏な動きでした。動画で見ていつもワクワクするMuir氏特有の変な動き(ダンス?)ですが、生で観るとちいかわみたいな変な可愛さもあって、とても良かったです。
あまりにもバンドに溶け込んで違和感が無さ過ぎて気付かなかったJay Weinberg氏のドラムもバキバキでした。
Slipknotは『Iowa』以外あまり聴いていないので、Jay Weinberg氏もどういう人なのかよくわかっていなかったのですが、終始笑顔で楽しそうに演奏していたのが印象的でした。
初ライブとは思えない、1年以上一緒にツアーしているみたいな一体感を感じました。
ライブを観ている間は、元the Dillinger Escape Planの人だと知らなかったギターのBen Weinman氏は、最初真面目そうな顔で黙々とギターを弾いておられたので、この人は普通の人なのかな?と思っていたら、突然クラウドサーフの上に立って(観客に足を支えさせて)ギターを弾きだしたり、アンプの上によじ登り始めたりと、顔色一つ変えずに一番問題児行動をしていて面白かったです。
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ベテランギタリストのDean Pleasants氏は「みんなのお父さん」みたいな感じでマトモに淡々と仕事をこなしている感じだったのですが、Mike Muir氏にMCで何度もテキサス生まれであることをいじられていました。
ライブは途中子供を見つけたMike Muir氏が子供をステージに上げ、名前を聞いた後、「オレはサイコ・マイコ。」みたいに自己紹介する一幕があったり、観客がJay Weinberg氏に「ようこそスイサイダルテンデンシーズへ!」みたいなことを書いた旗を手渡したり、Mike Muir氏へのハッピーバースデーコールがあったりと、ハードコアのライブですが、終始和やかなムードに包まれていました。
Mike氏が何曲かガッと全力投球して、疲れたらMCで「SUICIDAL TENDENCIES哲学」みたいなのを喋る、みたいなペースでライブは進み、曲が進むにつれ、フロアの外国人兄貴の方たちがどんどん楽しくなってモッシュが激しくなっていき、運動会みたいになっていきました。
最終的にはMike Muir氏が客をどんどんステージに上げ始め、「S!T!」コールが吹き荒れる中、Mike Muir氏がステージに上がった一番小さな子供を肩車しながら、「Pledge Your Allegiance」が演奏されました。
「Pledge Your Allegiance」が子供を肩車しながら歌う曲だったなんて思いもしませんでした。
そして、ステージ上でスイサイダル女子とスイサイダル子供が踊る中、「Institutionalized」がサクッと演奏されてライブは終了しました。
アンコール等余計な飾りはありませんでした。
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<総評>
良かったです。
何より、キャパ500人程度の会場で、SUICIDAL TENDENCIESほどのバンドを間近で観れたのが感激でした。
また、バンドは度重なるメンバーチェンジ(新陳代謝)によってマッスル化しており、Mike Muir氏こそ避けられない老いとの闘いに直面しているものの、演奏は今が全盛期では?と思わせるほどバキバキで、それも最高でした。
SUICIDAL TENDENCIESはこのままいくとMike Muir氏が引退しようと思ったときに終了すると思われますが、個人的には、こんなに良いメンバーが揃っているのだから、どうせならボーカルを代えてNAPALM DEATH方式で続けていってもいいのでは?と感じました。
そして何より、このメンバーで録音されたアルバムを聴いてみたいです。
前回の来日から今回の来日までの間隔が7年だったので、次の来日はMike Muir氏が70歳を超えた後かもしれませんが、できればまた次の機会も行きたいです。(その時はもう、今のメンバーはメンバーチェンジで全員いなくなってるかもしれませんが・・)
おわり
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