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F.U.’sの来日公演に行ってきました。


 9月22日、大阪・難波ベアーズで開催された、「F.U.'S JAPAN TOUR 2024」に行ってきました。
 ライブは18:30開始の18:00開場で、料金はDOORのみの¥3,000でした。
 
 僕は18:10頃に会場に到着しました。

<バンドについて>

 F.U.’sは、アメリカ/ボストン出身のハードコア・パンクバンドで、80~90年代に一世を風靡した、所謂「アメハー」のバンドの1つです。
 特にボストン界隈では、最も有名なバンドと言っても過言ではないかもしれません。「Fck You」の略と思われるバンド名も、潔さが”オリジネイター”感あって良いです。


<会場・客層>

 会場は全体的に年齢層高めで、男女比はほぼほぼ男性でした。

 音楽ヲタクみたいな若者は少なく、昔からずっとパンクが好きでずっとライブハウスに行ってる的な、40代後半から50代くらいの方が多かったように思います。(調べたところ、今回の大阪公演の主催である「DRUNKEN INTERSPECIES SEX」というイベントじたいが、もうずっと長い間定期的に開催されているイベントのようでした。)

 若者と言えば、フラッと観に来たっぽい音楽ヲタクっぽい外人2人組(親子?)がちょっと若いかなというくらいで、日本人の若者はほぼ0でした。30代の僕でちょっと若いかなくらいの感じでした。F.U.’sの全盛期はおそらく80年代初頭から中頃くらいまでだと思うので、それを思えば妥当な客層なのかもしれませんが、そんなにF.U.'sって若者(10代とか、20代とか)に聴かれてないのか・・と少しショックでした。

 お客さんの中には杖をついておられる方もおられ、パンクやハードコア界隈も過疎化と高齢化が進んでいるんだなと、一抹の寂しさを感じました。


 ライブは日本バンド3組→F.U.’sという構成でした。日本バンドの演奏時間は各30分ほどで、F.U.'sは40分以上やっていたと思います。


<‪感想>

・SCREWBALL

 1バンド目は、「DRUNKEN INTERSPECIES SEX」主催の方のバンド、SCREWBALLでした。
 SCREWBALLというバンド名から、(F.U.'sの来日ということもあって)勝手にMADBALLを連想していましたが、音楽性にはNYHC要素は少なく、というかほぼ無く、どちらかというと2000年代初頭の日本のパンクやメロコアが好きそうな、むしろ”洋”よりはそっちの”和”のテイストが強い、雑食系のサウンドでした。

 また、勝手に「パンク」と思い込んでいた頭で聴いていたのでアレだったのですが、結構オルタナというか、中村一義の金字塔というと違うんですが、(この辺全然知らないのであまり例えが出ない)なんかそういうあの時期あったよね、という音をハードコア路線でブラッシュアップしつつそのブラッシュアップが個性になっているような、そういう感じの音楽でした。

 ライブに来ているお客さんも顔なじみの方が多かったようで、音楽性の激しさのわりに、非常にホーム感のある良い雰囲気のライブでした。1曲ミスがあったのか、途中で演奏が飛ばされるなどした曲がありました。



WARHEAD

 WARHEADはバキバキのハードコア、これぞ国産ハードコア、という感じの音楽で、MCで最近のイスラエル批判などを交えつつ、終始高強度の演奏でライブが進んで行きました。80年代のジャパニーズ・ハードコアが現在に蘇った・・のではなく、死なずにそのまま鳴っているような感じでした。


・DIRTY IS GOD

 最後のバンドはボーカルの人がお客さんから結構いじられていました。僕は最後尾にいたのでどんな方が演奏されていたのか全然見えなかったのですが、もしかすると最年少バンドだったのかもしれません。
 音楽的には先に演奏したバンド2つを足して、ちょっと若々しくしたような感じで、しかしこのバンドもまた、一筋縄ではいかないオリジナリティある音楽でした。

 F.U.'sの前座ということで、もっと地を這いのたうつような「何コレ?」みたいな一筆書きパンク・一発芸的なバンドが多いのかな、と勝手に思っていましたが(すぐ勝手に思ってしまう)実に独自の、ここだけにしかないサウンドのバンドばかりでした。

・F.U.'s

 日本側バンドの演奏が終わり、20時半過ぎ頃からF.U.'sのライブが始まり ました。

 僕はF.U.'sはアルバムと初期音源集ちょろっと聴いて、最近出たEP聴いて、後は「Kill for Christ」のジャケっていいよね、と一生思っているだけで、あまりバンドのバイオグラフィーには興味が向かず、今回の来日もそもそも再結成なのか、一度も解散してないのか、再結成としてオリジナルメンバーなのか、何もわからず観に行ったのですが、出てきたメンバーを見た感じ、オリジナルメンバーで再結成してる感、が強かったです。(今に至っても調べる気がないので、調べてません。)

 ボーカルの人はダイナソーJrのJ.マスシス(最近のJ.マスシス)みたいなファッションで、20年後のJ.マスシスみたいな出で立ちでした。
 ドラムの人はイングリッシュマンの風情がありました。

 バンドはギターのセッティングにトラブルがあり、その間おそらくバンドのマネージャーと思われる、「ラリーさん」という方がステージに上がって、たどたどしくも非常に流暢な日本語でバンドの紹介や、日本に来れて嬉しいみたいな話をされていました。
 場内はなんば花月でオール巨人の漫談聞いてる時みたいな盛り上がりとともに、同時にその裏で「えっコイツがボーカルなの?」みたいな不安がせめぎあう独特の緊張感に包まれました。(ラリーさんの柔和で市役所の窓口にいそうな顔つきと、肩にかけていたショルダーバッグが不安に拍車をかけていました。)

 しかしギターのセッティングが無事終わり、ラリーさんの声掛けでボーカルの方(偽J.マスシス)が登壇すると、ライブは年齢を感じさせない、フルパワー100%みたいな演奏で始まりました。

 僕はライブに来たものの、上で少し書いたように、良いリスナーではなく、今回もいつもの癖でライブ前に予習もしなかったので、演奏された曲で聞き覚えを感じた曲ほとんど無かったです。いや、無かったです。

 しかし、バンドの演奏は、80年代の全盛期の「アメハー」の熱量が、今まで録音物を通してしか触れることしかできなかったその熱量が、そのまま目の前にまだ生きている、再現されていると言う感じがして、難波ベアーズという会場の雰囲気も相まって、「F.U.'sが最初期にライブをしたときはこんな所でもやったのかな?」とか観ながら色んなことを考えてしまい、目の前のおじさん達が繰り広げる音楽から、その向こうにある歴史を感じて感動しました。

 ライブは帯同されていた「ステファニーさん」と言う、おそらくメンバー誰かの奥様の誕生日をみんなでお祝いしたり、そんな緩やかな一幕を交えながらも、つつがなく終わりました。

 お客さんにあまり若い人がいなかったので、特にこれといった激しいモッシュやサークルピットなどもなく、ライブが見やすかったのもよかったです。

 F.U.'sの来日公演は、今回が1回目なのか何回目なのか分かりませんが、おそらく次は無いかと思われます。(年齢的に)
 そんな貴重な公演を当日のみ3000円と言う価格でやってくださった主催の方には感謝しかありません。

 こういったバンドの来日は一度見逃すと本当に後悔しかないので、これからも情報をしっかりアンテナ貼ってキャッチして、いろんなライブを観に行きたいと思いました。


<総評>

 よかったです。

 なんだかんだ、去年からBlack Flagの来日しかり、Suicidal Tendenciesしかり、この辺の「歴史」を作ったオリジネイターの方々のライブをずっと観続けられていてありがたい限りなのですが、F.U.'sのライブは、バンドとの距離が近かったことも相まって、一番”アメリカン・ハードコア”の「空気」を感じることが出来たように思いました。

 また、機会あれば行きたいです。

おわり

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