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DEFEATED SANITYのライブに行ってきました。

 8/2(金)、大阪 心斎橋CLAPPERで開催されたドイツのテクニカル・ブルータル・デス・メタルバンド、Defeated Sanityの来日公演、『DEFEATED SANITY JAPAN TOUR 2024』に行ってきました。




 出演バンドは

Subconscious Terror
Hostile Eyes
Defeated Sanity

の3組でした。

僕はHostile Eyesの途中で会場に到着しました。
(Subconscious Terrorは観れませんでした。)

会場はゆったり6~7割ほど埋まっており、この手のジャンルが好きそうな男性で埋まっていました。男女比は99:1くらいでした。

<Hostile Eyes>

Hostile Eyesは三重県のバンドで、10年以上活動されているらしいのですが、僕は全く知りませんでした。

ブルータル・デスメタルの人達はファッションもあまりメタルらしくないというか、スケート・パンクみたいな半袖短パンでゴリゴリのヘヴィーな音を出すというイメージがありますが、このHostile Eyesもそういう感じのテイストがあるバンドでした。

音楽はパワー重視で、非常に凶暴なリフが多く、わかりやすさもあってライブが進むにつれ、フロアの治安がどんどん悪化していきました。僕が知らないだけで界隈では結構ファンも多そうな、そんなフロアの反応でした。
正直今まで生で観た日本のブルータル系のバンドでは1番良かったかもしれません。

4月にステージダイブしてきたマイケル・ムーア似の白人に眼鏡を破壊されて以来のライブだったので、フロアの狂騒に内心冷や冷やしました。

YouTubeにPVが上がっていましたが正直ライブの方がカッコよかったです!


<Defeated Sanity>

Defeated Sanityは、このライブの告知を見てから初めて聴いたのですが、久しぶりに自分の「これ系」のバンドに対するツボすべてにハマるバンドとの出会いでした。


最新作のこの曲などにも顕著ですが、

1.一聴して、何をしているのか(したいのか)わからない
2.それでいて、完成度の高さだけは滅茶苦茶伝わる
3.理解するために何度も再生するが、理解できない
4.何度も再生するうちに、理解する必要がないこと、この状態が「完成」であることがわかる
5.それでも意味がわからない

という、僕がこの手のバンドに求める物がすべて詰まっています。

不可解なものを、不可解なまま放置してくれる奥ゆかしさ、みたいなのが良いんですね。

スタジオアルバムの完璧な、ベルリンフィルハーモニーオーケストラのような録音が、ライブだとどうなるかという点も非常に興味深い所でした。オリジナルアルバム8周くらいしてライブ当日を迎えました。


 ライブは不穏なSEの中、Lille Gruber氏のドラムの音から始まりました。
張り詰めた緊張感のある間合いが続いていく中、ステージに他のメンバーがゆっくりと姿を表し、各々が楽器を持つと、一気に演奏が始まりました。

 前のHostile Eyesでフロアの治安は非常に悪化しており、演奏が始まるまではその名残のような熱気が残っていたのですが、Defeated Sanityの演奏は最初からフルスロットルで明後日の方向に突き進んでおり、平和な駅のホームで突然変なおじさんが大声で叫び始めた時みたいに、フロアの熱気は「スン・・」と一瞬で鎮静化されました。

 最初の数曲は、演奏もまだ助走と言うか、巧く演奏が噛み合っていないような、手探りに見える状態が続いていたのですが(僕の脳が大量のインプットを処理しきれなかっただけの気もしますが)、何回か休憩をはさんで、30分ほど経過したあたりから演奏はどんどんまとまっていき、眼前にベルリンフィルハーモニーオーケストラが広がってきました。


 ある楽器の何がしたいのか全くわからないフレーズが、別の楽器の何がしたいのか全くわからないフレーズと絡まり、絡まることで増幅され、何がしたいか全く分からないまま、時間経過とともに奇妙な建築物として積み重なっていく。その工程を生で聴けたことに大変なスリルを感じました。

 ただ、そんな感じでしみじみ聴いている人が多かったせいかは定かではありませんが、会場の「ノリ」は、前のHostile Eyesと比較して、正直終始弱かったように思います。


 ボーカルの人が積極的にモッシュを煽り、MCで会場を盛り上げようとはしていましたが、会場のノリとしては、終始「そういう音楽と思ってないんだよな~。」みたいな雰囲気だったと思います。

 また、Hostile Eyesを目当てに来た、凶暴なリフでグイグイ行く系の音楽が好きな人にとっては、曲が明後日の方向に走りすぎに聴こえてしまったのかもしれません。

 ライブは途中でベースとドラムのおしゃれなジャムセッション的な奴(これ系のバンドってライブで絶対これやるよね,といういつもの奴)、11月頃に出るらしい新アルバムからの曲(これは特に目新しいことは無く、今までの音楽性をさらにブラッシュアップしているような曲でした)などを挟みつつ、何のブレもないまま、つつがなく終了しました。

<総評>
よかったです。

こういうバカテク系のバンドって、ライブを観るとき若干バカテクじゃなかったらどうしようと不安になりますが、その不安を芯から吹き飛ばすバカテクに満ちていました。

次出るアルバムも楽しみですし、また、もっとHostile Eyesの様な国内バンドを検知できるようアンテナを張らなければと思いました。

Defeated Sanityはテクニカル・ブルータル・デスメタルという友達がいない人のオリンピックみたいなジャンルのバンドですが、クラシックやジャズが好きだったり、オウテカみたいな友達が少なそうなテクノが好きな人にも刺さる音楽と思いますので、友達が少ない自覚がある方はぜひ一度聴いてみてください。ますます友達がいなくなると思います。

おわり。







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