ニベアとアロマ。
『ドカちゃんデートなの?これ、いい香りがするよ。』
JSちゃっかりが姉のJKドカ弁に、自分のお小遣いで買ったお気に入りのアロマリゾートハンドクリームを持ってきて言った。
ドカ弁はというと。
寝癖で髪の毛ははねているし、よく見ると私のジーンズを履いているではないか‼︎
『ちょっとさぁ、ママのジーンズにそのパーカーで行くの?』
ファッションリーダーちゃっかりとしては許せない姉のセンスに苦言したいようである。
『うるさいなぁ〜。別にみんなでカラオケ行くんやしさ、なんでもいいねん。いい匂いのハンドクリームなんか塗っても手洗ったら香り消えるし一緒やん!』
およそ年頃の女の子の発言とは思えないJKドカ弁。
『これだからニベア派はイヤだわ。』
首をブンブン振って苦い表情を浮かべるJSちゃっかり。
ドカ弁は手にも顔にもニベア。
これ1本でやり過ごすニベア愛用者である。
『ニベアいいやん!ニベアファンに謝りよ‼︎』
『うーん。ニベアはおばさんって感じの香りだよね……。』
ニベアはおばさんって感じの香りなのか⁉︎ちゃっかりよ。
『失礼なっ‼︎ニベアの良さをわからんなんてまだまだ子どもやな!』
負けじと反撃するドカ弁。
『ちょっと、おしゃれデブ!靴下持ってきて!』
『おしゃれはいいけどデブじゃないっていつも言ってるでしょ‼︎』
いつも決まりの何が何やらのオチでようやく静かな日曜日が訪れると思っていたら。
『ちょっ!ちゃっかりー‼︎この靴下おばあちゃんの忘れていった靴下やんか‼︎嫌がらせか‼︎』
JKドカ弁がJSちゃっかりに反撃した。
『いいじゃない、ニベア派には似合うと思うの……。』
低音の響きが悪いオンナの表情とぴったりマッチしているちゃっかり。
『くっそ!オナラブーッ‼︎っだ‼︎』
小学生の男子みたいな言葉とジェスチャーを残してJKドカ弁はようやく遊びに出かけていった。
対するJSちゃっかりは。
お昼からやってくるお友達のために部屋を可愛い女子部屋にするべく、猛烈な勢いで片付け中である。
よくよく見てみると。
本棚の手前に置かれた愛読書『こち亀』を棚の後ろ側に隠し、『12歳』なる乙女な少女マンガをズラリと前面に並べているではないか‼︎
姉妹共々やれやれな日曜日である。
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