◯◯恐怖症。
「ドカちゃん!ドカちゃんの怖がるものって世にも珍しい恐怖症に入ってる!」
ネットを見ながらちゃっかりが言った。
JKドカ弁は、ボタンが怖いのである。
ボタン恐怖症は世界中で見て、1/75000の確率らしい。
ボタンを見ると気持ち悪くなったり、吐き気がしたりと症状は様々らしいが、ドカ弁は制服のブラウスの小さな白いボタンだけはなんとか触れるらしく、その点だけでもまだ良かったと言っている。
なんでも恐怖症になるきっかけは色々あるらしいが、ドカ弁になぜボタンが嫌いになったのかを訊ねてみると。
保育園の頃、お昼寝から起きておやつを食べ終わると、先生がお迎えの時間にさっと帰れるようにと、「早くお着替えしましょう!」と急かされていたそうだ。
急かされると、ボタンを段違いにはめてしまい、さらに焦るという悪循環になり、周りのお友達がさっさと着替える中で自分が取り残される気持ちが辛かったという。
これは私にも責任があるかもしれない。
毎朝出勤前は忙しく、私か夫スナフキンがドカ弁の着替えをすべて手伝っていたので、ドカ弁は一人でボタンをはめる練習をする機会があまりなかったのだ。
ちゃっかりも同じ保育園に通っていたが、ボタン恐怖症ではない。
ちゃっかりが2歳の頃には私はフルタイムの仕事を退職し、家での仕事に切り替えたので、時間的に余裕ができたのもあって、ちゃっかりは朝急かされることもなく、ゆっくり一人で制服に着替えていた。
「ボタンが怖い。」
そう言いながらも学校の制服だけは我慢して着替えられるだけよかった。
やらねばならない義務として、嫌なものから逃げずに済んでいるだけ、頑張っているんだろう。
症状が酷い人は、薬を飲んで恐怖症と闘っているそうだ。
きっかけは些細なことでも、小さな頃に受けた挫折感や焦燥感は後を引くことがある。
わが子の子育てで失敗したというこの事例は、将来ドカ弁かちゃっかりが子宝に恵まれて、私がおばあちゃんになった時には「注意してあげて!」と言うこと第1位になりそうだ。
実母が子育てに口を出すことで娘がイライラさせられることは、私自身も数えきれないほどあった。
自分が祖母の立場になった時はなるべく口出ししないでおこうと何度も思っていたが、この事は別物だということを忘れずに記しておこう。
こうして将来口うるさい婆さんになる可能性は日々高まっていくのだろうか。
子から見れば要らぬお世話の「転ばぬ先の杖」なのに違いないが。
親はいつまで経っても親のままなのだろう。
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