ビギナーズラックという沼③
コロナ禍の中行われていた競馬のG1レース「日本ダービー」を偶然目にしたのが2020年5月。
家に居ながら馬券が購入できる仕組みがあることを知り、登録を済ませた「JRA即パット」。
そこから初めてネット投票したのが宝塚記念,。
結果はまさかの万馬券。
ビギナーズラックという沼にようこそである。
深く考えることなく無欲で選んだら特大の大当たりというのは初心者だからこそなんだと今なら本当によく理解できる。
それと同時に熱心に勉強すれば結果が必ずついてくるという訳ではないということも。
雨で馬場が渋れば、能力を発揮するいわゆる大穴と言われる馬がいたりする。
天気の良い日の良馬場で結果を残すジョッキーもいれば、道悪と呼ばれる不良馬場の中恐れることなくガシガシと馬を走らせるのが上手なジョッキーもいる。
競馬は血統も重要であるが、特に結果を残したというわけではない馬から誕生した馬がチャンピオンに輝くことだってある。
人馬一体とは本当にその通りとしか言いようがない世界。
知れば知るほど複雑なのだ。
されどそれらのデータを分析し、読みが当たった時の爽快感と達成感がたまらない。
コレがどんどん深みにハマっていく底なし沼の仕組みなんだと思う。
予想がハマらない時は大損し、ハマった時は大勝する。この段階だとまだ傷は浅い方だ。
その先を更に進んで行くと。
「絶対に負けた分を取り返そう!」
この発想が生まれてくる状況になると、軽く100円で投票ね!などと可愛い言葉など出てくるわけもなく、1000円、3000円、5000円へと掛け金が上がっていくのであるが、張った金額に比例して勝つより、負ける確率の方が急上昇していく。
それはなぜか?
一丁前にデータ分析しているつもりの素人の考える小賢しい欲が溢れて止まらなくなるからだ。
土砂降りならこのジョッキーしか勝たん!
不良馬場ならこの血統で決まりや!
そう。
わざわざ買わなくてもよい土砂降りのレースを選び、オッズが50倍、70倍、100倍の不人気馬を狙い始めたりするわけでまさに何が何やらな思考になっていくのだ。
勝てるレースだけ狙っていく。
勝てばすぐにやめる。
いわゆる勝ち逃げすることがなかなか出来なくなっていく。
何故なら。
「負けたから取り返したい!」という時ばかりでなく、ただひたすらに「楽しい!」の気持ちが止まらないから。
「ギャンブル中毒症」
これまた聞いたことはあるが自分とは無縁の世界だと思っていた。
初めてネット投票をしたあの宝塚記念に始まり、勝ったり負けたりを繰り返しながら、その魅力は尽きることなく感情を昂らせる麻薬のようだ。
麻薬をやったことは勿論ないのだけど。
ちょっとヤバイかもしれないという自覚は薄々ありながら、競馬が頭から離れなくなっていくまでわずか一年足らずだった。
⭐︎冷静になった今、客観的に自分を振り返る作業として書いていますが、とてもしんどいものです。
適度なギャンブルは娯楽、行き過ぎると苦しみが始まってしまいます。