みんないってらっしゃい。
今日はお弁当を四人分作った。
私は稽古場へ、ドカ弁は部活へ、ちゃっかりはお友達と遊びに、スナフキンは普通に出勤。
春休みになったが、それぞれ向かう場所があり、家族で過ごす時間は少なくなってきたことを実感している。
卵焼き、コロッケ、いかなごのくぎ煮に肉団子。
ある物を詰めて持たせるお弁当であるが、出かけていく場所は違っても家族が同じものをお昼に食べるのって面白いなと思う。
いつもと変わらぬありきたりなごはんを食べながら、呑気にお昼を過ごすことができる幸せは、何より貴重な気もする。
災害になればたちまちこの当たり前が当たり前でなくなることを阪神淡路大震災の時に経験してから、水や食料、ガスや電気のある生活を改めて嬉しいことなんだと思うようになった。
今ある当たり前に感謝し、各々が別の場所にいたとしても、お弁当で繋がる日もたまにはいい。
そうそう。
わが家の卵焼きは甘くない味付けであるが、手巻き寿司の時に作る卵焼きは、出汁と醤油に味醂を加えたほんのり甘い卵焼きになる。
普段は甘い卵焼きは食べないのに、手巻き寿司の時だけは甘い卵焼きをみんな喜んで食べる。
スナフキンが子どもの頃から営業している神戸のお寿司屋さんのたまご巻きは、ほんのり甘いのだ。
スナフキンにとってはお寿司のたまごといえば甘い卵焼きだと頭と舌にインプットされているようなのである。
「ええっ!卵焼き甘くするの⁉︎」などと言っていた私だったが、結婚してそこのお寿司屋さんに行くようになってからは、お寿司のたまごはやっぱ甘くなきゃ!ってくらい、ほんのり甘い優しい味の虜になった。
ドカ弁もちゃっかりもお寿司の甘いたまごは大好きである。
育ってきた環境が違う者同士が一緒に暮らしはじめるということは。
食習慣の違いに戸惑うこともあるかもしれない。どこかで相手に合わせていくことで、違う味覚も刺激され、そしてそれがまた新しい家族の味になっていくんじゃないかと思っている。
先日ちゃっかりの卒業祝いをわが家でしたとき、手巻き寿司にしたのであるが、母が甘い卵焼きを酢飯と一緒に海苔で巻いて食べて言ったのだ。
「なぁに⁉︎この卵焼きすごく美味しい!」
母も甘い卵焼きは食べないのに、酢飯と一緒に食べる甘いたまごの虜になったようである。わさび醤油をつけて食べると最高なのだ。
お寿司の時だけは甘い卵焼き。
わが家のこの食習慣は、将来ドカ弁ファミリーやちゃっかりファミリーに浸透していく日がくるのだろうか?それとも新しい家族の味覚を取り入れて新たな味の卵焼きの虜になっていくのだろうか?
今ある家族の当たり前もいつの日か変わる日がくるのかもしれないが、それまではわが家の味を家族で共有していこう。
お揃いのお弁当を食べて始まる月曜日である。
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