ちゃっかりの秋祭り。
年間行事の中で我が家のJSちゃっかりの全力がMAXになる日。それは地元の秋祭りである。
昨年も書いたと思うが、『どんばな』と呼ばれる天狗を子どもたちが追いかけ、お菓子や果物をもらうために一日中、町を練り歩くのである。
黒天、赤天、青天、朱天と様々なキャラクターの天狗がいて『かっこいい!優しい!面白い!怖い!』など子どもなりに自分のお気に入りの天狗に熱を上げ、付いて回る姿は、芸能人の追っ掛け並みの迫力である。
どんばなは、地元の子どもたちにとってはどんな戦隊モノのヒーローよりもかっこいい存在のようである。
昨日は昼から出かけて夕方5時半過ぎに帰宅したちゃっかり。
戦利品のお菓子やら柿や餅をリュックからバラバラ取り出し興奮している。
『あのね!朱天は優しいの‼︎柿くださいって言ったら優しく渡してくれたの!』
まるで優しい恋人の惚気話を聞かされているようである。
『でもね、黒天も気になるの。怖いんだけどね、たまに優しいの‼︎』
おいおい。気が多いのはいいが、怖いけどたまに優しい男とかリスキーなタイプにも心惹かれるって?大丈夫か⁉︎
どんばな熱に浮かされたちゃっかりの様子を見ていたJKドカ弁が戦利品を見ながら言った。
『なぁ、この真空パックに入ったお餅、これはあかんやん!』
『え?どうして?なんでダメなの?』
ポカンとした顔で姉に問い返すちゃっかり。
『あのさ、お餅はね、真空パックじゃなくてラップに包まれたやつを狙わんと‼︎ラップのお餅の中には500円玉が入ってるねんよ!』
『えーっ‼︎そうなの⁉︎でもちゃっかりはそんなん狙うの無理〜‼︎』
『頭使えよ、ちゃっかり!あんたさ、背が高くなってるんやしもう6年生やろ?小さい子たちはなんでもいいからもらったお菓子の数を増やしたいんよ。だからさ、ラップ餅を狙う時はしょぼい割れたおかきとかを何個かその辺に投げて人の注意をそらすねん。その隙にラップ餅をゲットすること‼︎』
『ドカちゃんすご〜い‼︎頭いい‼︎やってみるー‼︎』
何が何やらなバカ姉妹の会話であるが、ドカ弁はJS時代そんなことして500円玉入りラップ餅をゲットしていたのか!
こういう目上の者からの体験談をもとに知恵をつけ、年下の者は一つ賢くなる。
古くから続く秋祭りのどんばなは、子どもたちにとって恐怖であり、憧れであると同時に、様々なことを教えてくれる町のヒーローなのだ。