ビギナーズラックという沼。
コロナ禍で不要不急の外出はなるべくしないでください!って報道ばかりの日常を送る日々の中、お先真っ暗って心境になっていた時期があった。
私の場合で言うと。
コロナ禍になるまでコンスタントに書作品の制作、販売をしていた。
特に需要があったのは、海外の方からのカスタムオーダーであった。
様々なご希望を伺いながら作品を作る楽しみ。
その作業は自分自身の支えでもあり、書道家として精進していく張り合いにも繋がっていて、ともかく大切な私の日常であった。
しかし、出口が見えない疫病の蔓延は世界中に不安をもたらし、経済活動も破綻させていったわけで、そんな状況下でアートを求める人がいるわけもなく、作品を依頼される機会がパッタリと無くなってしまった。
そんな中、私以外の家族はそれぞれリモートワークやリモート授業となり、夏休みが一生続くんかい!ってほど家族がベッタリと家に張り付いている生活が始まったのである。
家族それぞれが仕事や学校へと朝出かけて行き、夜に帰ってくる。
この当たり前だった暮らしが消えた。
友人と飲みに行くことも、ランチに行くことも一切なくなり、書道の稽古場も閉鎖し、書道展も全て白紙になった。
やることと言えば、週に3回のパート先への出勤と
家に閉じ込められ、ストレスを溜めこんだ家族への3度の飯炊だけ。
やっとれん!!
気が狂いそうや。
そんな爆発寸前の精神状態だったある日の日曜日ふとテレビをつけてみると、競馬がやっていたのだ。
聞いたことがあるレースが始まるところだった。
東京優駿日本ダービー。
チャーンチャカチャチャチャチャチャ〜♪
自衛隊の方が演奏するファンファーレが流れはじめたのであるが、音楽に合わせての手拍子もなく、演奏後に盛り上がるあの「オォ〜!!」という地鳴りのような声援もない。
え、なんで?
そんな疑問に返事をしてくれるようにアナウンサーの方はこう言ったのだ。
「今年はファンの大歓声がありません。76年ぶりにファンのいない競馬場で日本ダービーが行われます。」
あぁ、競馬もそうなのか。
え、でもやってるってことは販売してるんよね。
どこもかしこも閉鎖しているこの状況。
いったい何処で販売してるの?
これがビギナーズラックの沼のきっかけになるなんてこの時は全く気づいていなかったわけであるが…。
⭐︎長くなりそうなので、続きは何回かに分けて書いていこうと思います。