親が子を叱ったあと。
「uniちゃん。お母さん今も忘れられへんことあるねん。」
なんやの。お母さんよ。
「あのね、小学生の頃お母さんが怒って朝ごはんを食べさせないで学校に行かせたこと覚えてる?」
いや、急にそんなこと言われても。
まったく記憶にない。
「なんかね、uniちゃんが口答えして言うこと聞かへんかったんよ。それでね、もうさっさと出ていき!って朝ごはんを食べさせずに登校させたんよね。」
私が小学生の頃、朝ごはんを食べずに学校に行ったことなんてなかったと思っていたが、あったのか。そんなことが。
「いやぁ、全然覚えてないけど。何?謝りたいとか⁈」
笑いながら母に問い返した。
「その日ね、マラソン大会やったんよ。それがわかってたから朝ごはんはきちんと食べさせてあげなって思ってたのに。それでね、◯(妹)を幼稚園に送って行ったらちょうどマラソン大会が始まる時で。」
「ふんふん。で、可哀想になったわけ?私が。」
「そうなんよ。だってuniちゃん何にもなかったみたいな顔して“お母さん!”って笑って手をふってきてんよ。」
「ほー。怒られてもこたえてなかったんかな、私。」
「いや。そんなことないと思う。ちょうど今頃の寒い時期に半袖半パン姿で。ごはんも食べてないのに走るんやわって思ったら可哀想で可哀想で。怒ったらんかったらよかった、ごはん食べさせてやりたかったって後悔したんよ。」
「まぁ私も忘れてるくらいやからもういいやん。」
母があまりにもザンゲするのでおかしくなってきてそう返事をした。
「それがね、“uniちゃん、今から走るの?”って聞いたら、ものすごい元気に“うん!お母さん、頑張ってくるわ!“って笑って言ったんよ。もう可愛くて可哀想で泣けて泣けてね〜。」
あらまぁ。
私にもそんな時期があったらしい。
叱られた私が忘れていることを母はいつまでも覚えていて、「あの時だけは私が間違ってた。」と子育てを振り返って娘に謝っているのだ。
こういう子どもを叱ったことでの深い後悔って私にもあるかと今振り返ってみても、ちょっとすぐには思いだせない。
日々なんやかんやとやらかすJKとJSだから、やいやい言うことに感覚が麻痺しているのだろうか。
年を経て子が巣立ったあとで。
「あれは私があかんかったなぁ。あの時はドカ弁やちゃっかりに可哀想なことした。怒ったらんかったらよかった。」
母のように振り返ってザンゲしたくなるようなことが出てくるのかもしれない。
子育ての真っ只中の時期にはいろんなことに余裕もなくて、振り返りをその都度している時間がない。
そうだ。この「夕刊UNI」は私の今を切り取り、何が何やらな日々の暮らしを記しているじゃないか!
ドカ弁とちゃっかりが巣立ったあと、「夕刊UNI」を読み返しながら、私も後悔の涙を流す日がくるのかもしれない。
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