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詩ことばの森(229)「ぼくときみのあいだ」
ぼくときみのあいだ
ぼくときみのあいだには
白い川が流れていて
遠くに橋が渡してある
ぼくらはたがいの姿を
顔と顔でたしかめ合いながら
川のほとりを歩いていく
真夏の川べりに茂った
草木のすきまから
きみの青い服が見えかくれして
秋が深まるたびに
水辺にうつるきみの姿は
まるで青い空のようにきれいで
ぼくはただひたすらに
きみの姿を追いかけていって
それでも橋の袂にはたどりつけない
冬になると川の景色は広がり
小さなきみの姿は透明な空へと
いつのまにか消えてしまう
(森雪拾)