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詩ことばの森 森 雪拾(もり ゆきひろ)

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複雑で変化の激しい時代ゆえに 優しさと癒やしの詩の世界を伝えていければと思います
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2024年9月の記事一覧

詩ことばの森(237)「野焼きの里」

野焼きの里 子どもの頃 山間の祖父母の家に行くと よく野焼きを目にした 夕暮れ時   畑の…

UNWIND&KOMOREBI
5か月前
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詩ことばの森(236)「黄花秋桜の道で」

黄花秋桜の道で 夜中に雨が降って 今朝は静かに湿っている 虫の声もしとやかで 僕もゆっくり…

UNWIND&KOMOREBI
5か月前
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詩ことばの森(235)「いつか見た空」

いつか見た空 いつか見た空を ぼくが ふたたび目にするとき 目覚めたばかりの草木はふるえ …

UNWIND&KOMOREBI
5か月前
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詩ことばの森(234)「来てみれば」

来てみれば 来てみれば   鎮守の森は 秋草の匂いに満ちていた 子供の頃に伯父伯母と 訪ね…

UNWIND&KOMOREBI
5か月前
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詩ことばの森(233)「花のありか」

花のありか 花のなかに 埋もれているもの 昨夜ふりつづけた 雨のしずく 終わりを告げた 花…

UNWIND&KOMOREBI
5か月前
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詩ことばの森(234)「高原の秋」

高原の秋 霧が晴れると そこには 小さな停車場があって 小さな木の椅子がおかれていました …

UNWIND&KOMOREBI
5か月前
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詩ことばの森(233)「ある日 河童が」

ある日   河童が ある日   川辺りの道を歩いていたら 一匹の河童があらわれた 芥川の小説みたいに なにかしゃべるのだろう と期待していたが 河童は僕の顔をチラと見たきり 川に飛び込んでしまった しばらくすると 別の河童があらわれた こんどこそ何かしゃべるにちがいない と思っていたが 河童は僕を見ることもせず やはり川に飛び込んだ 河童も人生も 思うようにいかないものだ とつぶやき残して 僕は川沿いの道を去った (森雪拾)

詩ことばの森(232)「ある予感」

ある予感 この部屋を 今日からは忘れなければならない 誓いにふさわしい青空だ わたしの意志…

UNWIND&KOMOREBI
5か月前
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詩ことばの森(231)「遠野行」

遠野行 遠野はふしぎなところです 駅前には痩せた河童たちが遊んでいます 僕には彼らが見えま…

UNWIND&KOMOREBI
5か月前
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詩ことばの森(230)「石の仏さまも」

石の仏さまも 残暑をさけるように 日陰を歩いていた 草のなかでは虫の声 知らないあいだに秋…

UNWIND&KOMOREBI
5か月前
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詩ことばの森(229)「ぼくときみのあいだ」

ぼくときみのあいだ ぼくときみのあいだには 白い川が流れていて 遠くに橋が渡してある   ぼ…

UNWIND&KOMOREBI
5か月前
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詩ことばの森(228)「転びつづけて」

転びつづけて 七転八倒の人生 そんなことを口にしたら 七転八起でしょう とある人に忠告され…

UNWIND&KOMOREBI
5か月前
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詩ことばの森(227)「だれもいない町」

だれもいない町 だれもいない道 毎日がつづく ただただ過ぎてゆく 大きな木のしたで 空を見…

UNWIND&KOMOREBI
5か月前
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詩ことばの森(226)「さまよい」

さまよい 駅は 孤独な人びとが歩いていた 構内の灯りのさみしい青色 影ばかりが 通り過ぎていく わたしもまた 同じ群衆となって 歩いていくだろう 重い足取りで 階段を昇り降りして どこへいくのだろう どこへ行けばいいのだろう (森雪拾)