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野焼きの里 子どもの頃 山間の祖父母の家に行くと よく野焼きを目にした 夕暮れ時 畑の…
黄花秋桜の道で 夜中に雨が降って 今朝は静かに湿っている 虫の声もしとやかで 僕もゆっくり…
いつか見た空 いつか見た空を ぼくが ふたたび目にするとき 目覚めたばかりの草木はふるえ …
来てみれば 来てみれば 鎮守の森は 秋草の匂いに満ちていた 子供の頃に伯父伯母と 訪ね…
花のありか 花のなかに 埋もれているもの 昨夜ふりつづけた 雨のしずく 終わりを告げた 花…
高原の秋 霧が晴れると そこには 小さな停車場があって 小さな木の椅子がおかれていました …
ある日 河童が ある日 川辺りの道を歩いていたら 一匹の河童があらわれた 芥川の小説みたいに なにかしゃべるのだろう と期待していたが 河童は僕の顔をチラと見たきり 川に飛び込んでしまった しばらくすると 別の河童があらわれた こんどこそ何かしゃべるにちがいない と思っていたが 河童は僕を見ることもせず やはり川に飛び込んだ 河童も人生も 思うようにいかないものだ とつぶやき残して 僕は川沿いの道を去った (森雪拾)
ある予感 この部屋を 今日からは忘れなければならない 誓いにふさわしい青空だ わたしの意志…
遠野行 遠野はふしぎなところです 駅前には痩せた河童たちが遊んでいます 僕には彼らが見えま…
石の仏さまも 残暑をさけるように 日陰を歩いていた 草のなかでは虫の声 知らないあいだに秋…
ぼくときみのあいだ ぼくときみのあいだには 白い川が流れていて 遠くに橋が渡してある ぼ…
転びつづけて 七転八倒の人生 そんなことを口にしたら 七転八起でしょう とある人に忠告され…
だれもいない町 だれもいない道 毎日がつづく ただただ過ぎてゆく 大きな木のしたで 空を見…
さまよい 駅は 孤独な人びとが歩いていた 構内の灯りのさみしい青色 影ばかりが 通り過ぎていく わたしもまた 同じ群衆となって 歩いていくだろう 重い足取りで 階段を昇り降りして どこへいくのだろう どこへ行けばいいのだろう (森雪拾)