10話【秋の実り、樹の恵み。】『樹々は唄い、風に舞う』第一部~樹々の恵み編~
10話【秋の実り、樹の恵み。】
まだ残暑きびしい壱乃峰の森の樹々は、太陽の恵みと、恵みの雨の恩恵を受けて、濃い緑色の枝葉を存分に伸ばし広げていた。
高台の高木たちも、同じく存分に枝葉を伸ばし広げて、新緑の季節には日向だった、切り株と倒木の処は、木陰になって。
そこでは、涼しげな表情の峰乃 赤松と、この暑さをものともしない屈強な身体を持つ ツキノワグマの長が、今秋の木の実の豊凶について、話し合っている。
「~で、そちらは どうだい? 樹の巫女さんよ。
わしら獣衆は…… 小鳥達もそうだが、有難いことに いつも充分な木の実を頂いてるんだが――。
そうさなぁ――。 この秋は、ドングリを ちょっと多めに振舞っちゃぁくれねぇか?」
「うむ。 それならば こちらも頃合い善く、コナラの娘が初結実を迎えましてね。
ドングリ類を豊作とし、皆様のご要望に お応え出来るような、『木の実の振舞い』と致しましょう。」
「ほぅ! そりゃぁ、めでてぇな!
んじゃ、ひとつ宜しく お頼みしますわ。
獣衆には、わしから伝えとくんで――。
そうさな、コナラの娘にも、宜しく言っといて下せぇ。」
この話し合いで、今秋の樹々の実りの目処をつけた峰乃 赤松は、鏑鈴を鳴らすのを合図に、すぐさま山の神に その判断を仰ぐ。
山の神は、峰乃 赤松の想いそのままの、今秋の実りについての言の葉を、雷雲と夕立ちに乗せて、下された。
「これで今秋も、樹々の実りは、豊かとなりますね。。。」
少し嬉しそうに そう独り言ちると、峰乃 赤松は、〝記憶の種子『今秋の実り』〟 ●9 を結実した。
それには、実りある樹々の それぞれの豊凶や、壱乃峰の森全体としての実りの総量。
さらに、木の実を食糧とする動物達の個体数調整については もちろん、ドングリ類を豊作とすることなどの情報を、いっぱいに詰め込んで。
自身の まつぼっくりに、それらを項目ごとに整理して詰め終えると、峰乃 赤松は、高台の木陰に瑞貴を呼び出した。
「……瑞貴。
今秋も、実りの采配と、木の実の振舞いを、宜しくお願いしますね。
先ずは其方に、これを託します。」
そう言うと、峰乃 赤松は より穏やかな表情で、記憶の種子『今秋の実り』が詰まった まつぼっくりを、瑞貴に手渡した。
瑞貴は、すぐに その場で記憶の種子を紐解き、実りの采配を行う。
……壱乃峰の森全体としての実りの総量は―― 樹種ごとに増減はありますが、ドングリ類を多く実らせて、木の実の振舞いにも発芽用にも過不足が無いようにする、という事ですね。
では、樹種ごとの、実りの采配は――。
まず、私のブナの実は、いつも通りで善いですね。
同様に、トチノキ・ホオノキ・イチョウ・アカマツなども、いつも通りの実りとしますと――。
……そうですね、これでは振舞う分が少し足りなくなりますので、ドングリ類を―― やはり、コナラを はじめとしまして、クヌギ・アベマキ・シイ・カシ・ヤマグリにも、少しずつ頑張ってもらって、多くの実をつけて頂く事としましょうか。
こうすれば、次世代の良木と成るための発芽用の種子も、獣衆に振舞う分量も、充分に確保 出来るでしょう。
また、味わい深い木の実も、今秋は多く振舞いたいと考えておりますので、ヤマボウシ・クルミ・ツノハシバミ――。
それと…… ツル性の、ヤマブドウ・アケビ・マタタビ・サルナシも、多めに実って頂きましょう。。。
「……うむ。 山の神様より賜った、言の葉の通り。
そして、私の想い そのままに。
瑞貴。 今秋も、善い采配です。」
「〝森の語り部〟たる、其方だからこそ、記憶の種子を紐解き、正確な解釈をし、森の調和を保ち、理想的な采配が出来る。
山の神様も、そう仰っておりましたよ。」
「はい、とても光栄に思います!
……それでは、今お話しした通りの実りの采配にて、今秋も、木の実の振舞いを行う事と致しますね。」
「うむ。 宜しく頼む。」
やがて、盛夏の暑さも和らぎ、秋の虫達が引き継いだ虫の唄を奏で始める頃には、実りある樹々も花の季節を終えて、秋の実りの準備を進めていた。
ブナの実や、コナラ類のドングリ、イチョウも銀杏を、まだ青いそれらの実を たわわに実らせて。
そして ホオノキも、大きな花の跡に、たくさんの実を つけ始めていた。
その ホオノキ巨樹の樹洞、カフェ『nolia』では、瑞貴が こなた達に、木の実の振舞いや摘果 ★8 について、説明をしている。
「~まだ青いけど、ドングリを いっぱい、つけたのれす!
……でも、このあとは、どうしたら いいんれすか?」
「まぁ! ほんとに沢山のドングリを つけましたね!!
このあとは、摘果して良質なドングリを実らせ、木の実の振舞いで動物さんたちに…… という流れになります。。。」
まずは、最も重要な目的の『次世代を担う、発芽用の実を、育てる。』事から。
こなたさんが大きく成長する頃には、次の世代となる、元気なコナラの若木が必要となります。
そのために、こなたさんは、すごく元気に発芽が出来るドングリを、しっかりと育てて実らせて下さいね。
発芽用のものは、そんなに多くは要りませんので、たくさん つけたドングリの中でも、最も成長が良く、しっかりと実が詰まり、根となる部分も良く育ったものを、選ぶと良いでしょう。
なお、これらは、最後まで地面に落とさずに育てて、のちに 種子貯蔵庫 ★9 に貯蔵する事となります。
次に大切なことは、動物さんたちに振舞うドングリを、たくさん実らせること。
私達の木の実を食べて生きている、この森の動物さんたちは、私達の木の実の振舞いが無いと…… とても困りますよね?
今秋は、特に ツキノワグマさんが、美味しいドングリが たくさん欲しいと仰っていますので、こなたさんにも多く実らせてもらい、多く振舞って頂こうと考えています。
それと、これは、動物さんたちへの お礼でもあります。
例えば…… リスさんが、その樹から遠く離れたところに持ち帰ったドングリは、その樹の木陰を離れて より太陽の恵みを頂ける処で、発芽できるかもしれません。
このように、木の実の振舞いは、私達の種子の発芽を手助けしてくれている動物さんたちへの お礼の品でもあるのですから、美味しくて実の詰まった、渋味も少なめにしたドングリを、選びましょうね。
「ここで、〝選ぶ〟をいう表現をしたのは、摘果が……。」
「瑞貴~! 居る!?
今秋の摘果のこと、聞きたいんだけどー。」
いつも通りの賑やかさで、とっち社長、ご来店!
こなた達の様子を一目見て気付いた とっちは、瑞貴に代わって説明を。
「いっぱいドングリを、つけたね!
こなちゃん、えらい えらい。」
……と、かいがいしく こなたの頭を撫でながら。
「……摘果ってのは、ね。
いま瑞貴が お話ししたように、発芽用とか振舞い用とかに、実った木の実を…… こなちゃんなら ドングリを、まずは選ぶのね。
んで、それぞれに栄養の送り方を変えて、実らせるの。 これが、ひとつ。」
「もうひとつは、育ちが悪そうなドングリは、すぐに栄養を送るのを止めて、地面に落としちゃってね。
それと、こなちゃんなら、虫さんが…… ゾウムシさんが入っちゃったの、あるでしょ?
それは、そのままゾウムシさんに、振舞い。 栄養は、少しだけ送れば良いわ。」
「瑞貴さん、とっちさん。 おかげで、このドングリを どう実らせれば良いか、よく わかったのれす!
……あれ? そういえば とっちさん、お急ぎみたいれしたけど?」
「あ! いっけね……。 『もみじがり』の、リハに行くんだった!
瑞貴、瑞貴! 今秋の私のトチの実って、どうなったの?」
「あらまぁ! お急ぎなら、簡潔に。
いつも通りの実りで、結構ですよ。」
「うん、わかった! ありがとね。
じゃ、またね! みんなも。」
そう言い残すと とっちは、カフェ『nolia』を後にして、森に吹く一陣の風のように、東谷街道を駆けて行った。
その様子に呆気に取られている こなたに、瑞貴は、
「紅葉さんと楓さんの、秋のライブツアー『もみじがり』のリハーサルや打合せに合流するために、壱乃峰の森の端の、弐乃峰との境にある高台まで行く必要があるので、あんなに急いでいたのですよ。」
と、補足説明を。
カウンター席の隅で、同じくポカーンとしている一葉には、のりあが、
「うふふ。 とっちさん、いつも あんな感じなんですよ。
……でも、あのバイタリティーがあるからこそ、みんなを楽しい気持ちにさせてくれるんじゃないかしら。
私は いつも、そう思ってるのよ?」
と、普段通りの のんびりとした口調で、フォローを入れる。
その一言でカフェの店内は、いつもの のんびりムードを取り戻し、同じく のんびりとした口調で、瑞貴は、一葉と のりあに、今秋の実りの采配を伝達した。
「一葉さんと、のりあさんも。
今秋も、いつも通りの実りで、お願いしますね。
ふたばさんにも お伝えしようと思っていたのですけれど――。
今日は、舞いの お稽古でしたね。。。」
「一葉さん。
この後、山桜師匠の処に寄ってから、『銀杏屋 ひがしたに』の おかみさんに、摘果の お話をさせて頂こうと思うのですが。
……ご一緒に、如何かしら?」
「はい! ぜひ、そうさせて下さい!」
「わたしも…… いっしょに行っても、いいれすか?
ぎんなんの収穫を お手伝いすることになったので、どんなふうにするか、聞いておきたいのれす。
あと…… ふたばさんのアカマツの実も、木の実の振舞いに なるんれすか?」
「もちろん、良いですよ!
……こなたさん、アカマツの実が振舞われる様子、ご存じなかったかしら?
では、善い機会ですので、『木の実が、どう振舞われるのか』の一例を、ご紹介いたしましょう。。。」
瑞貴は、峰乃 赤松から託されて その情報を紐解き終えた、アカマツの記憶の種子をテーブルに並べると、
「こんなふうに、振舞われるのですよ。」
と、説明を始めた。
「主に、ネズミさんや リスさんに、多く振舞われるのですけれど。
リスさんの食べた跡を例に、お話ししますね。
左側の まつぼっくりが、振舞う前の状態とします。
松かさの間には、栄養のあるアカマツの実が入っています。
リスさんは手が器用なので、この松かさを一枚一枚 丁寧に剥がして、その間に挟まっている種を取り出して、食べます。」
「右側のものが、リスさんが食べた、つまり、アカマツの実が振舞われた跡となります。
まつぼっくりの軸となる部分の周りには、剥がされた 松かさが。
なお、これは、森の中の開けた処で、見ることが出来ます。
なぜなら、リスさんは、その天敵が周囲に居ないか気を付けながら、これを食べるからです。」
「あとは―― のりあさん。
クッキーや お菓子の材料としても、この松の実は使われますよね?」
「うふふ。 そうですよ、瑞貴さん。
炒って香ばしさを出したり、そのままでも、果実とは違った甘みを味わうことも できますね。」
「美味しそう! なのれす!!」
「ふふっ。 実は、このカフェでも、味わうことが出来るのですよ。」
「うふふ。 お二人には、まだ お出ししてなかったかしら?
『木の実たっぷりのパンケーキ』に、松の実が入ってるんですよ。
瑞貴さんの ブナの実や、他のナッツ系の木の実も、一緒にね。」
「……今すぐ食べてみたくなったのは、私も同じですが。
今の季節は、振舞いの前で木の実が少ないので――。
そうですね、木の実の振舞いが終わってからの お楽しみ、という事にしまして。
そろそろ、山桜師匠の処と、『銀杏屋 ひがしたに』に向かうと しましょうか。」
「はぁ~い、わかりましたぁ~。 なのれすぅ~。」
「うふふ。 またのご来店を、お待ちしております。。。」
爽やかな秋晴れの下、高台には、涼やかな風が吹いて。
木陰の倒木に腰掛けて待っている瑞貴のところには、実りある樹々に宿る精霊たちが、今秋の摘果についての話を聞くため、続々と集まって来ている。
「~実りある樹々の皆様は、概要は何となく ご存知かと思いますが。
このたび、峰乃 赤松様を介して、山の神様より、今秋の実りについての言の葉を賜りましたので、詳しく お話しさせて頂きますね。」
「まずは―― ドングリをつける、皆様から。
ツキノワグマの長より、ドングリ類を多く振舞って欲しいとの ご要望がありましたので、今秋は、木の実の振舞いの分を、多く実らせて頂きたいのです。
コナラ・クヌギ・アベマキ・ヤマグリさんは、この事を、皆様に お伝え下さい。
シイ・カシ類の代表の方は、それぞれの樹種への伝達を、お願いします。
なお、今秋は、『振舞う分を多く』との ご要望ですので、渋味は少なめにして下さいね。」
「続きまして、味わい深い木の実をつける、皆様は――。
ヤマボウシ・クルミ・ツノハシバミさんたちには、多く振舞って頂きたいと考えておりますので、多めに実らせて頂くよう、お願い致します。
具体的には、クルミさんは殻を柔らかめにして割れやすくして頂き、ツノハシバミさんはトゲを少なくして、獣衆の皆様が食べやすくなるよう、実らせて下さいね。
「樹々の枝を お借りして木の実をつける、ツル性の皆様に つきましては――。
ヤマブドウ・アケビ・マタタビ・サルナシさんも同様に、今秋は多く振舞って頂きたいと考えておりますので、摘果は少なく、木の実を多くつけて頂くよう、お願い致します。」
「なお、これは、サルの群れが大きくなるので、食糧となる木の実が多く必要となるため、と伺っております。
……それでは皆様。 善き実りを、宜しくお願い致します。。。」
これを受けて、実りある樹々に宿る精霊たちは、各々の摘果や実りを進める。
やがて 東谷街道にある街路樹のカツラの葉が ほんのり黄葉し、香ばしい匂いを漂わせる頃には、樹々は、森の語り部 瑞貴の采配の通りに、秋の実りを完了していた。
壱乃峰の頂上付近に生立している、その実を良く実らせたブナの大木に登った ツキノワグマは、太枝に座ってブナの実を頬張る。
その、実を食べ終えた小枝を腰下に敷き、また次のブナの実が実った小枝に、手を伸ばして……。
ツキノワグマが木の実を食べ終えた、ブナの樹の太枝には、クマ棚と呼ばれる小枝が堆積していた。
それを合図に、今秋の木の実の振舞いが始まると、木の実を食糧とする獣衆は、壱乃峰の頂上付近のブナやトチの実から順に、コナラやシイの実も。。。
ドングリが実る樹に登ったついでに、アケビやサルナシも味わって、箸休め。
リス達は、器用にクルミやツノハシバミの実を ほじり出しては食べ、甘いヤマボウシの実にも、舌鼓。
こうして、木の実の振舞いを お腹いっぱい頂いた獣衆は、今日のところは天然林の中にある ねぐら へと。
明日は、高台の方まで下りて、ヤマブドウを頂こうか。
ホオノキの実も、そろそろ食べ頃らしいよ。
もっと下ったら、この秋に初めてドングリを振舞ってくれる、コナラの樹があるそうだ。。。
連日、木の実の振舞いで賑わう、壱乃峰の樹々や獣衆の様子を、瑞貴と ツキノワグマの長は、高台から見ていた。
「~いつも、すまないねぇ。
こちらも、食わねぇと やってけないんでね。
じゃが、お陰さんで わしら獣衆は、ここんとこ壱乃峰じゃ飢えること無く、皆 生きて行けている。
本当に、ありがとうな。」
「どういたしまして。
でも、私達 実りある樹々も、振舞った木の実を皆さんが美味しそうに食べてくれる事が、嬉しいのですよ。」
そこへ とっちが、大きく丸く、艶やかに黒光りする、トチの実を持って来た。
「クマ長さん! これ、仕込みの済んだ、私のトチの実です。
……味見して もらえませんか?」
「あぁ、良いとも。
……いつもながら、旨い トチの実だなぁ。
栃実さんや。 何か、仕込みの秘訣でも あるんかなぁ?」
「ありがとうございます!
仕込みの秘訣は―― たぶん、水が良いんだと思います。
いつも私の実を振舞ってる場所、つまり、天然林の中を流れる小川の水源の、伏流水が湧き出す小さな滝壺で、川の水に さらして、渋味を抜くんですよ。」
「ほぅ…… そうか。
〝樹々が育んだ、良い水で仕込んだ、旨い木の実!〟という訳じゃな。
なるほど――。
よし! 皆には、わしから伝えておくとしよう。
『他のとは、一味違うトチの実だ。 一度は 食っとけ!』……ってなぁ。」
「はい、宜しくお願いします!
それと―― しばらく留守にしますけど、滝壺にある分は全部食べて頂いて構いませんので、その旨 宜しくお伝え下さい。」
「……あら。 『もみじがり』、もう始まるのね。」
「うん、そう!
だからね…… クマ長さんも、今日は これで失礼しますね。」
「ほぉ…… もう、そんな季節か。
まぁ頑張って、愉しんで来ると良ぇ。」
「はい!
じゃぁ瑞貴、またね。」
「うん、またね!」
壱乃峰の、頂上付近の樹々の葉が、色づき始める頃。
瑞貴は、木の実の振舞いを終えた周囲の樹々に、
「~葉に送る、栄養や水分は、もう止めて頂いて結構です。
こうすると 葉が色づき始め、動物たちに 木の実の振舞いが終了した事の、合図となります。」
と、説明していた。
高台では、峰乃 赤松が、壱乃峰の中腹での木の実の振舞いの様子を、見守っている。
中でも、今秋に初結実を迎えた まだ小さなコナラの樹に、リスが多く集まっているのを眺めている処へ、サルの群れの長がやって来て、まずは木の実の振舞いの礼を述べた。
樹の巫女さん。 今秋も、多くの振舞いを、ありがとう。
おかげで子は育ち、群れも すっかり大きくなってしまったよ。
でもね。 これだけ群れが大きくなってしまうと、もはや壱乃峰の樹々の振舞いだけでは、足りなくなってしまう。
だからね。 冬が来る前に群れを分かち、我々は、参乃峰まで行くことにしたよ。
この事を、知ってか知らずか…… 『また、旅ができる』よう、マタタビを多く振舞ってくれたのは、本当に ありがたい。
……いろいろ良くしてもらったのに、もう会えなくなるのは、寂しいけれど。
樹の巫女さん。 我々の群れとは、これで お別れです。
今まで本当に、ありがとう。
そうですか――。 私も淋しく思いますが、どうか お達者で。
弐乃峰と、参乃峰の樹の巫女にも、どうか宜しく お伝え下さいませ。。。
実りある樹々の葉の色づきは、今では この高台の少し下まで進んで、大きなブナの樹の あちこちに、クマ棚を見ることができる。
それを眺めながら ツキノワグマの長は、申し訳なさそうに瑞貴に話しかけた。
「……本当に、いつも すまないねぇ。
枝を折って、クマ棚にして。 木登りの爪跡まで、付けちまって……。
あんたらは、大丈夫なのかい?」
「えぇ。 このくらいでしたら、問題ありません。
……力枝が、傷付かなければ。」
「それに、伸び過ぎた小枝を折って下さることで、地表にまで陽光が届き、育みの座にも成るのですから、私達にとっても好都合なのですよ。
幹の爪跡も、このくらいでしたら すぐに巻き込んでしまいますので、どうか お気になさらずに。」
「ほぉー。 樹の回復力ってのは、すごいんだなぁ。
でもまぁ、それに甘えることなく、樹に傷を付けるのは程々にしとくよう、皆に話しておくとしよう。。。」
やがて、実りある樹々の葉の色づきは、壱乃峰の中腹の緩斜面に立つ、ホオノキ巨樹へと。
そしてそれは、大平岩を過ぎた所にあるイチョウ並木にまで至って、今秋の木の実の振舞いが、もうすぐ終わることを告げていた。
大平岩の広場では、振舞う木の実をつけない樹々に宿る精霊たちが協力して、夏祭りで披露された、『樹々の唄』の歌詞を共有している。
「~では皆さん!
唄い手たちが、言の葉に込めた想いを大切に、もう一度 最初から、唄ってみて下さいな。
〝山祭り〟にて、皆で唄う『森の唄』は、こうして皆で唄い、完成させていくもの……。
おや? あなたはユズリハの…… ゆりはちゃん、どうしたんだい?」
「あの…… 山桜師匠――。 ひとつ思ったんですけど。。。
お唄を もっと唄いやすく、歌詞も もっと分かりやすくするために……。
その…… わ…… 私の葉で、か…… 歌詞カード、作りませんか?」
「すっ…… すみません!
その…… 私の〝譲り終えた葉〟が、いっぱいありますし…… 文字を書いたりも、できるので――。
皆さんが良ければ…… と思ったんですけど。。。」
「あらまぁ! 善いアイデアじゃない!!
あなたの葉なら、そうねぇ――。
今は、綺麗なものでなくて構わないから―― 光合成し終えた、その黄色くなった葉で、試してみては如何かしら?
ほら、私の小枝をあげるから、これで書いてみなさいな。」
他の樹々に宿る精霊たちも集まって、
「どれどれ……。 おぉ! ほんとに、字が書けるぞ!
……でも、まだ緑色が残ってる所や葉表は…… テカってて、ちょっと見づらいかなー。」
「山桜師匠の仰る通りに、キレイな葉でなくても構わないから、いろいろ試してみましょうよ。」
……などと、皆で試行錯誤していると。。。
「そうだ! なら 逆に、葉の裏に書いてみたら――?
これ、イケるかも!?」
これを見た山桜は、すぐさま皆に、指示を出した。
「……それでは、皆さん!
『ユズリハの、譲り終えた黄色い葉の裏面に、各自の小枝で文字を書き、歌詞カードとする。』
これを採用とし、今後は口伝ではなく、歌詞カードを作って歌詞を皆で共有して、お唄の練習をする事としましょう!」
黄葉すすむ、カツラの葉。
ハート型の その葉は、辺りに香ばしい匂いを、漂わせて。
そんな私は、というと。
普段の物創りの手を休めて、ねぎらいのクッキーを、皆に振舞ってる。
まずは、ブナや トチノキから。
瑞貴先生、お疲れさま。 あなたの葉も、すっかり色づいて。
……采配から これまで、大変だったでしょう?
ハチミツ、たっぷり かけといたから。
高台の辺りは、ドングリたちね。 みんな、お疲れ様!
……あ! スダジイさんと、ヤマグリさん。
これ、『nolia』で、振舞う分!?
……はい。 もうすぐ行くから、私から届けとくわね。
森歩きの道の、入口まで下りて来たら…… ホオノキさんや、コナラさんにも。
のりあ! あなたも、お疲れさま!
それと…… これ、ドングリさんたちからの、木の実の振舞いね。
大平岩の広場での、唄練は――。
もうちょっと後にして、黄葉が綺麗なイチョウ並木の。。。
「おかみさぁーん! 一葉ちゃんと、こならちゃんも!
ぎんなんの収穫と振舞い、お疲れさま。
クッキーを、持って来ましたよ!」
「わぁっ! 桂さん、いつもありがとうございます!
ちょうど収穫も一段落したので、茶店の方で、一息入れましょ?」
「桂ふぁんのクッキー、とっても おいひぃのれす!」
「ふふっ。 こならちゃんも、初めての振舞い、よく頑張ったわね。
おかみさん…… 壱乃峰の木の実の振舞いも、これで終わりですね。。。」
……あらあら。 大平岩から、善い歌声が。
『森の唄』は完成に近づいて、唄練も終盤を迎えてるようね。
じゃあ 私は、この辺で。
唄練を頑張ってる皆にも、ねぎらいのクッキー、振舞ってくるわね。。。
木の実の振舞いで賑わう、壱乃峰の森。
『森の唄』の歌詞カード作りと、唄練で賑わう、大平岩の広場。
その一方で めりあは、いつも居るスギ人工林の奥から その様子を垣間見つつ、まるで自分が蚊帳の外に居るような疎外感を感じながら、物憂げな表情でいる日々を、過ごしていた。
木の実を振舞う皆も、それを美味しそうに食べてる動物たちも、とても嬉しそう。
でも…… 私は。。。
ねぇ、ゆりは…… は、居ないんだった。
要らなくなった葉っぱで、歌詞カード作るって…… すごいアイデアだよね。。。
おかげで お唄の仕上がり、いつもより…… すごく良くなって。
……よかったね、ゆりは。
クマ長さん、すごく嬉しそうだったな。
桂さんも、素敵だなぁ。
「カツラの樹の姉さんから、こんなにクッキー貰った!
なぁ、若いの。 お前さんも、誰かに何かを振舞えるように、ならんとなぁ!」
……って、言いたい事は分かるけど。
でも…… 私には、何も。。。
「めりあさん! 貴女も ご一緒に…… どうかしら?
桂さんから、カフェ『nolia』での、木の実の振舞いの打ち上げに、お誘い頂いたのですけれど。。。」
「え…… でも瑞貴さん。
私、振舞いじゃ、何もしてないですよ。」
「……いいのよ、気にしなくて。
同じ壱乃峰の、森の仲間でしょう。
皆で、楽しみましょ?」
「でも――。
私…… 木の実も つけられないし、桂さんみたいに……。」
「その桂さんが、『誰でもウェルカムよ!』 っていう、お誘いなのですよ。
『もみじがり』が終わったら、とっちも、『少し遅れるけど、ぜったい行くっ!!』って言ってますし。
何より、のりあさんが…… 熟成の済んだ、ホオノキ花のリキュール、開けるんですって!」
「うぅ~。 そ…… そう言われると、断りにくいですね。。。」
スギ人工林の奥で、ずっと塞ぎ込んでいた めりあを、少し強引に誘い出した瑞貴は、いつもより明るい調子で、〝本日貸切〟の札が掛かったカフェ『nolia』の扉を開いた。
店内では、手際よく打ち上げの準備を整えた のりあが、クッキーの味見を。
クッキーの盛付けを終えた桂さんが、のりあが淹れたオリジナルブレンドのコーヒーを、試していた。
「いらっしゃいませ!
うふふ。 めりあ、お久しぶりね。
瑞貴さんも、木の実の振舞い、お疲れさまでした。」
「お待ちしてましたぁー! さぁ、座って座って!」
のりあが、水中花のようにも見える、ホオノキ花のリキュールを開けると、店内は、芳醇な花の香りで満たされた。
桂さんは、山盛りにした、ハート型の ねぎらいのクッキーを。
瑞貴は、塩炒りにした、ブナの実を。
「これこれ! お酒に合うのよねぇー♡」
と、桂さんは くだけた雰囲気で、乾杯の挨拶もなしに、打ち上げを始めてしまった。
ホオノキ花のリキュールは、その香りと甘いテイストで、疲れた心と身体を癒してくれる。
居合わせた皆が、今秋の木の実の振舞いの思い出話に花を咲かせている間、ずっと愛想笑いを浮かべる めりあに気付いた、瑞貴と のりあが、優しい口調で話しかけた。
「めりあさん…… 浮かない表情ですね。
……何か 話したいこと、あるんでしょ?」
「私も……。 めりあ、いつもの元気が ないなぁーって、気になってたのよ?」
「……お見通し、かぁ。
やっぱ あなたたちには、敵わないわね。」
「……ずっと、考えてたんだけど――。
私、なんで振舞えるような木の実、つけらんないのかなぁ…… って。」
「でも、代わりに何かを―― ってのも、見つからなくて。
私には…… 何も。。。」
「あらあら。 ずっと それを…… 気にしていたのね。
でもね、めりあ。 あなたは そのままでも…… すごく素敵だと、私は いつも思ってるのよ?」
「うん…… わかってる。。。
……でも、実りも振舞いも無い私が、なんで、実りと振舞いの打ち上げに…… 呼ばれたの?」
……皆には悪いけど、私にとってはね…… 辛いだけなの。。。
動物たちに喜んでもらえるような、木の実も つけられない。
桂さんみたいな…… 物創りなんて、できない。
こならちゃんみたいに、絵を描いたりできないし……。
一葉ほど、愛想も良くない。
お唄も舞いも、うまくできる自信なくて…… とっち社長や瑞貴さんみたいな知識もないから、巫女候補にも、なれそうにない。
実りも、振舞えるものも、誰かに与えられるような樹の恵みも…… 私には、何も無い!
じゃぁ…… 私って、何なの? 皆と違って、人間に植えられて。。。
何のために、誰のために、この森で…… 私は、生きてるの!?
めりあの独白に、瑞貴でさえも どう応えれば善いのか分からず、沈黙してしまった。
そこへ、不安げな表情で いっぱいの紅葉が、
「みんなみんな、大変!
めりあ姉さんが…… 人間に、伐られてるっ!!」
と、大騒ぎしながら、駆け込んできた。
続いて、紅葉を追いかけて来た楓と とっちは、カフェ店内の重苦しい沈黙と めりあの表情に、声を掛けるのを ためらった。
いつものクールビューティーさは微塵も見られずに、めりあは、悩みと不安に満ちた表情で、その瞳からは、大粒の涙を流している。
「私…… 伐られちゃうんだ……。 そっかぁ。。。
ねぇ、とっち社長? 実りも、樹の恵みも、何も無い…… 私なんて、もう……。
伐られちゃった方が…… 良いのかな。。。」
「めりあ!! 何言ってるの!? ……いい? よく聞いて。
んー。 まずは、誤解を解いた方が良さそうね。
紅葉の言い方も、ちょっとアレだったけど……。
スギ林で人間が、育ちの悪い木を伐ってるだけでね…… めりあ。
あなたが宿ってる樹を伐り倒すわけじゃ、ないのよ!」
「……分かった?
ほら…… もう大丈夫。 だから、泣かないで。。。
楓、紅葉。 めりあに、ちゃんと話してあげて。」
「はい……。 あの…… おねぇちゃんが、お騒がせしちゃったよぅで…… すみません。。。」
「めりあ姉さん……。 ほんとに、ごめんなさいっ!
でもでも、紅葉、びっくりしちゃって。。。
うぅ~んと―― 何かぁ~、カンバなんたら とかいってぇ――。
人間がぁ…… めりあ姉さんを――。
……楓、あと お願いっ!!」
「あのぅ……。 間伐っていって――。
人間が…… 植えて育ててるスギの木を、間引いて伐る…… そうです。。。
その―― 全部なくなっちゃう、んじゃなくて。。。
めりあお姉さんみたいな…… 綺麗なスギの樹は、伐らないそうです!」
「うんうん! さすが、楓ちゃんは…… 物知りね。
めりあ、いま聞いた通りよ。 安心なさい!」
「……詳しく言うとね。
間伐は、私達 樹々が摘果するみたいに、育ちが悪い木を間引いて伐って、綺麗な良い樹を育てるためにするの。
めりあみたいに、立ち姿も美しくて魅力のある良い樹は、伐らずに育てて…… ね。
ゆくゆくは、人間…… いえ、この壱乃峰の森にとっても必要な、大切な樹と成るのよ。」
とっちが目配せして、瑞貴が続けて語りだす。
「私からも…… 良いかしら?
間伐で間引かれた木は、この森の外に運ばれて、人間が住処を造ったりするのに、使われるそうですよ。」
「めりあさん。 さっきは『実りも、樹の恵みも、何も無い』なんて言ってたけれど、全然そんな事は なくて。
スギの樹は、その幹を、それを必要としている人間に、与える事が出来る。
それは…… 貴女が誰かに与える事が出来る、〝樹の恵み〟だと、私は考えます。」
「皆…… ありがとう。。。
……そうね。 私の『幹を人間に与える』ことは、私の〝樹の恵み〟なんだよね。。。
……ふふっ。 何か、つまんない事で…… 悩んじゃって。
私、バカみたい…… じゃない。。。」
「ありゃりゃ、寝ちゃった。。。
……でも、もしかして…… めりあが ずっと悩んでた事、これで解消しちゃったんじゃない?」
「うふふ。 とっちさん、それ…… めりあの寝顔が、物語ってますよ。」
「うーん……。 確かに、そんな節は―― あったかもね。
独りで思い詰めてたり…… とか。」
「え!? そうだったんですかぁ、桂さん?
紅葉、めりあ姉さんは、孤独が好きなクールビューティーなんだと。。。」
「おねぇちゃん……。 またまた、間違っちゃってるよぅ。。。」
「……あ! ほら、あんたたち。
『もみじがり』が終わったばっかで疲れてるんだし、早く寝ちゃいなさい!
事務所の休憩所、使っていいから。
それと…… めりあも連れてって、寝かせてあげてね。」
「はぁーい、わかりましたぁー。」
こうして、カフェ店内を大人だけの場とした、とっち・瑞貴・桂さん・のりあは、もう少しだけ呑みながら、大事な話をし始めた。
「ふゎぁ~。 ちょい、あぶなかったぁー。」
「そうね、とっち。
紅葉さんが きっかけを作ってくれなかったら、と思うと……。」
「私も、木の実をつけない同士として、フォローを考えてたんだけど。。。
ちょっと話と、合わなかったんだよね。」
「桂さんも、めりあに。。。
私も、いつもみたく励ましたつもりが、まさか逆効果になるなんて……。
瑞貴さん、これって もしかして……?」
「そう……。 本人の前では、決して言えない事なのですけど。。。
先程までの めりあさん、アバレギになるところ でしたのよ。
自分を否定して、自分に絶望して……。」
『己が活きる道に迷い誤った樹は、やがて自らの樹体を成長させる事だけを考える、アバレギと化してしまう。』
「瑞樹さん…… 瑞貴の お母さんがね、ずっと書きしたためてきた書物の中に、この一文があるの。
そして、その続きは……。」
『アバレギが、共に活きるはずの森の仲間を顧みず、己の樹体のみを成長させた結果、その森全体としての樹勢が衰え、地盤は緩み、大崩落のような災厄の、引き金とも成り得る。』
「……そうですよね、とっちさん。
でも、めりあは自分で、活きる道を見つけられたみたいですし。。。
アバレギには、ならなさそうですよ?」
「うん…… そだね。 あの様子なら、大丈夫なんじゃない?
それにしても、私が『打ち上げ、しよう!』なんて言い出して……。
まさか こんな話にまで、なるなんて…… ねぇ。」
「ま…… まぁ、桂さん。
何とかなったから、善かったんじゃないですか?」
「とっち。。。 そうですよ!
このような機会があったからこそ、めりあさんは ずっと悩んでいた事を、お話し出来たと思うのです。
そう思いませんか? 桂さん。」
「ま、結果オーライって、とこかしらね?
ふぅー。 ホッとしたら、眠くなってきちゃったわ。。。」
「んじゃ、ここらで お開きとしますか。 私は、休憩所で寝るけど……。」
「桂さんと瑞貴さんは、カフェの奥の、私の部屋で泊まっていって下さいね。」
安堵した皆は、すぐに夢の中へ。。。
翌、早朝。 この秋晴れのように、晴れやかな心持ちで目覚めた皆は、のりあのオリジナルブレンドと木の実たっぷりのパンケーキで、朝食を。
まだ眠り続けている、紅葉と楓を起こさないよう、静かにカフェの扉を開いた めりあは、いつもより自信に満ちた眼差しで、その居所のスギ人工林を眺める。
間伐された箇所は、以前より すっきりとして、地表にまで朝日が差し込んでいる。
そして、スギ林のすぐそばには、整然と積まれた丸太が。
「……そっか。 そういう事かぁ。。。
これが…… 何かを振舞う、樹の恵みをあげるって、気持ちなのね。。。」
そうつぶやいた めりあは、ずっと塞ぎ込んでいたとは思えないほど軽快な足どりで、歩き出した。
「ふふっ。 めりあさん、行ってらっしゃい。
貴女が振舞う、『樹の恵み』を、見届けに。。。」
【10話 注釈】
★8 摘果:
(果実の栽培や 園芸品種の樹種において)実り過ぎたものや育ちの悪いものを間引いて、良質な果実や木の実を残して成長させることです。
作中では、発芽用や振舞い用 以外の木の実は、成長を止めて〝摘果する〟としています。
なお、この現象は、『天然林の樹々は、(人の手を借りずに)自らで、育ちの悪い木の実を間引いている。』というエピソードを、元にしています。
★9 種子貯蔵庫:
森林土壌の中にある、未発芽の樹々の種子のことです。
まるで休眠しているかのように、周囲の環境が発芽に適した状態になるのを、じっと待っています。
上層にある樹が倒れるなどして、日照などの条件が良くなると一斉に発芽して、やがて次世代を担う若木として成長します。
●9 〝記憶の種子『今秋の実り』〟
10話の作中では、今秋の樹々の実りに関する膨大な情報が詰まったアカマツの種子として、登場します。
記憶の種子を結実できるのは、主に 峰乃 赤松のような高位の巫女や、素養を満たした巫女候補だけです。
また、それを紐解く = 内容を理解し情報を得られるのは、巫女修養を終えて素養を満たし、受容体を授かった者だけ、としました。
これらの詳細は、第一部 ~樹々の恵み編~ の前日譚となる、第二部 ~巫女編~ にて描写されています。
【キャラクター紹介】スギの樹に宿る精霊『めりあ』
『樹々は唄い、風に舞う』第一部 ~樹々の恵み編~
10話【秋の実り、樹の恵み。】
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
特典としまして、各話の末尾にて【キャラクター紹介】を掲載しますので、合わせてお読み頂ければ幸いです。
ここでは、これらのキャラ設定で出てきたアイデアを簡潔にまとめて、キャラ名と由来、モデルとした樹種、木彫り彫刻キャラ作品画像、作中でのキャラ紹介の順に、掲載してあります。
それでは、作者が頭を痛めて生み出したキャラ達と、魂を削って彫り上げた彫刻作品を ご覧くださいっ!
『めりあ』
スギの学名『クリプトメリア』より。
・モデル樹種: スギ(杉)Cryptomeria japonica
「まっすぐ伸びる」ことから、『スギ』と云われています。
スギの良質材は、立木も木目も綺麗なことから、『美人で立ち姿が美しいキャラ』をイメージしました。
針葉樹のため葉はトゲトゲしく、実際に触るとチクチクする感触から、『褒められると照れ隠ししてしまう、ツンデレな性格』に設定しました。
・キャラクター紹介:
スラッとした立ち姿が目を引く美人だけど、近づきがたい雰囲気を出してる、いわゆるツンデレなキャラです。
何を着せても似合ってしまう、スタイルの良さを活かし、モデルとして活動中。
クールビューティーだけど、褒められると照れ隠ししたりする意外な一面や、涙もろいところも?
第一部のメインヒロインで、本作のメインテーマ〝樹々の恵み〟についての、重要な役柄を担います。
・衣装やルックス:
仕立ての良いシャツの、ボタンを胸元で留め、裾を出し、袖まくり。
スリムなジーンズは8分丈。
そんなラフな格好で、窓際のテーブル席に座っているだけなのに、まるで映画のワンシーンか 写真集の1ページかのように、見映えします。
21歳 身長160cm
11話【山祭り】に、続きます。。。
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