まかぎ祭参加作品について
unuiと申します
今回は2021年12月26日にニコニコ動画内で開催されたイラスト統一オリジナル曲投稿企画「まかぎ祭」において、投稿した自分の作品についてどのように作っていったかを紹介する記事を書かせていただきます
まかぎ祭とは
YouTube中心にボカロP対談などを企画されている酩酊堂さん主催の、まかぎさんが描かれた1枚の絵からみんなそれぞれ思い思いのオリジナル曲を作って一斉に公開しようという企画です。
全参加曲207作品について別記事で歌詞分析の記事を書かせていただきましたのでこちらもよろしければお読みください。
制作過程①(テーマ・タイトル決め)
まず絵を見て綺麗な色をした空が印象に残りました。そして中央の少女が物憂げな表情をして遠くを見つめていたので、失ってしまった関係を切なく思い返すようなストーリーにしたいと考えました。なので「こんなに〇〇な空に想い出だけしか描けないなんて」というタイトルで行こうというのが最初の案でした。
次に空につける形容詞をどんなのが良いかなというのを頭の中でリストアップしました。そして「綺麗な」とか「素敵な」とかありきたりだなと思いながら探して「深い」という言葉にたどり着きました。「深い」は通常は海や谷など下方向への距離感を表す形容詞で空に対しては使われません。しかし「深い空」で検索してみるとそういう表現をされている方は散見されるけど何かの作品に使われている様子はないという言葉でした。良いなと感じて採用することにしました。
そして「想い出…」以降は長くなりすぎるので
「こんなに深く澄んだ冬の空に」というのが当初のタイトルでした。
制作過程②(メロディ作り)
メロディについては冒頭をサビにしてタイトルの言葉を言いたいなというところから始めました。自分のメロディ作りは鼻歌でフフフンと歌ってそれがどの音階なのかをキーボードのアプリで音を探りながらVSQファイルに打ち込んで再現していく方法で作っています。そしてサビの良いなと思ったメロディだとどうしても字余りになってしまったので「冬の」の部分を削りました。
あとは思うままに浮かんだメロディで一曲通して作りあげました。
制作過程③(歌詞作り)
今回の歌詞作りでやりたいと思ったことが大きく2つあります。
1,まかぎさんの絵から読み取れる要素を詰め込んだ歌詞
2,主催である酩酊堂のメンバーの名前を忍ばせた歌詞
1については例えば後ろにある街灯とかも盛り込みたいなと考えて実際に「伸びた影はいつの間にか灯りに溶け込む」というフレーズを入れてます。
問題は2です。こういう言葉遊び的なことはやればやるほどテーマや雰囲気を壊しかねない諸刃の剣でもあります。なので両立しないようならやめておこうとは留意しながら考えていました。ちなみに私はこういう歌詞に言葉を忍ばせることを「込め込めワード」と銘打ってやっており言及した記事も書いていますのでよろしければ。
隠したい酩酊堂メンバーの名前が
まずはメインの「のみか」さん「ヒルヒ」さん
メンバーの「エレキモグラ」さん「みどろ」さん
そして動画には出てこない秘書の「けいな」さん
あとは酩酊堂メンバーではないけど絵を描かれた「まかぎ」さんの計6名
まず「のみか」さんについては「憂いの三日月」というフレーズがすぐに浮かんで、絵にもテーマにもピッタリで問題なく収まりました。問題は「ヒルヒ」さんの名前でした。三日月を登場させた以上時間設定は夕方から夜にかけてになりますし絵も後ろで街灯がついているので太陽の出ている時間には見えません。なので「昼」という言葉となかなか相性が悪い状況。そんなこんなでどうしたものかとペンディング状態でした。
一方「まかぎ」さんは「~ま限られた」、「エレキ(モグラ)」さんは「例え歴史が~」と2番サビを時間軸に追及する形にすれば自然に入れられ、「みどろ」さんに関しても泥と空を対比する形でなんとかなりそうというめどが立ち、「けいな」さんの名前は汎用性が高くてなんとでもなるのであとは「ヒルヒ」さんだけだったんです。
そこで「麻痺る」という言葉を見つけました。これは辞書には載っていない言葉ですが普通に通じる言葉と思います。この言葉を見つけたことで全てが繋がりました。「憂いの三日月」に対して「剥がれ落ちそうな」という面白い形容ができたし、2番のAメロの所では聴覚が麻痺る「空耳」と視覚が麻痺る「空目」という全体のテーマである「空」とリンクさせることもできました。
こうして全く違和感なくサビとCメロ部分にメンバー全員の名前を隠した歌詞ができました。
さすがに6文字は無理だったので「エレキモグラ」さんの名前は「エレキ」と「モグラ」に分割させていただいてます。
ついでに最後の所に「めいてい」も入っています。
制約をつけたことで逆に普通に作ったより面白い言葉を選べたのかなと思えるお気に入りの歌詞ができました。
あまり誰にも言及してもらえませんでしたが隠し要素はあくまで隠し要素ですので、本筋の「空を見上げながら戻らない相手との日々に想いを馳せながらも最後は前向きな気持ちを見せる」という感じの歌詞を堪能していただけると幸いです。
制作過程④(アレンジ)
アレンジは9割以上の作品をお願いさせていただいてるtatmosさんにお願いしました。今回はメロディについても一部良い感じに修正していただいたりもしました。ホントこんな凄い方と出会えて一緒に作品を作ることができて感謝感謝です。
完成曲紹介
こうして出来上がった
「こんなに深く澄んだ空に」
ぜひ聴いてみてください。