二次元キャラクターは外部フェスの夢を見るか

このようなツイートを見たので、つらつらと書いていきたいと思います。

近年ではVTuberや初音ミク(『プロセカ』含む)はおろか、アイドルコンテンツでも生身の人間ではなくキャラクターが歌って踊るライブが出てきております。

では二次元アイドル(音楽)コンテンツは声優を出さずにキャラクターのライブに移行すればいいという話もあったりしますが、私はそれには「一定条件を呑めるのなら後は運営判断」だと思います。

2次元キャラクターのライブとフェスライブの違い

私が考える条件は以下の通りです。

  1. ライブは年1〜3回。大都市圏のみ。

  2. アニサマやアイドルフェス、ロックフェスなどの外部出演は基本的に無し。出演するとしても配信がメイン。

1については現状がそうなので問題ないと思います。問題は2でしょう。

なぜ外部出演が基本的に無しかというと、2次元キャラクターと生身の人間が対等に共演するのは難しいからではないかと思うからです。

おそらく2次元キャラクターのライブで求められるライブや演出は以下の動画みたいなのだと思うのです。

ただこれはワンマンライブでの映像です。これが生身の人間が出演するロックフェスなどではこうなります。

2019年にキズナアイがSUMMER SONICに出演した時の記事ですが、モニターの主張が強い。2023年に星街すいせいが阿蘇ロックフェスティバルに出演してますが、ライブレポートを見ると物足りなさはあります。

「外部フェスだからこうなるのであって、自社主催なら大丈夫」と思われるかもしれませんが、VTuberがキャストにいる『電音部』の単独ライブや星街すいせいとTAKU INOUEのユニットMidnight Grand Orchestraでも事情は似たりよったりです。2次元キャラクターが縦横無尽に動き回るのではなく、モニター内でパフォーマンスをしているところが。

このように並べるとキャラクターがあたかも動いているというよりも、モニター越しでパフォーマンスを見せられているという感じが強くなってしまい、出演者も客も得をしないのではないかと思います。

つまるところアニソンフェスにVTuberやプロセカが出てこないのは、そういう理由だからではないでしょうか。

ところでMidnight Grand Orchestraのライブ映像を見ると、演者がほとんど動かず曲とモニターの映像で世界観を作るところがケミカル・ブラザーズみたいだなぁと。

ケムズのライブ、一度でいいから行きたいなぁ。じゃあ何で2月の来日公演に行かなかったんだという話になるのだが。

Gorillazという事例

さてここでGorillazというバーチャル覆面バンドを紹介します。覆面ではないのですが。

このバンド、1998年に結成しているので初音ミクやアイマス、ラブライブよりも長い。ある程度の年齢の人ならこのCMを見たことはあるのではなかろうか。

このCMの曲を歌っているバンドです。楽曲のフルバージョンはこちら。

このバンドのライブ映像を時系列に並べるとこんな感じです。

2005年のMTVヨーロッパ・ミュージック・アワードでのパフォーマンス。この時はキャラクターがメイン。

2010年にアップされたライブ動画ではキャラクター要素が後退してメンバーがシルエットで出演しています。

2018年のフェスに出演した時の映像ですが、アニメPVがモニターに流れているもののメンバーが完全に出ているためキャラクター感がほとんど消滅しています。

こうして並べるとライブでのバーチャル要素が年を追うごとに後退していることが分かります。ちなみにWikipediaを調べるとGorillazのライブは以下のように変遷していったようです。

1stアルバムリリース後のライブでは、スクリーンに映し出されたアニメ映像に合わせ、ステージ奥にいるデーモン以下のバンドが一切その姿を隠したまま演奏するというスタイルであった。2001年のサマーソニック前夜ライブ「SONICMANIA」でも深夜の時間帯にこのスタイルで出演しているが、プロモーション活動としての意味合いの濃い小規模の演出であった。
続く2ndアルバム発表後の「ディーモン・デイズ・ライヴ」では、オーケストラとバンド、DJ、合唱隊など総勢40名もの演奏者をステージ上に配置し、曲ごとに客演のゲストミュージシャンが袖から入れ替わり立ち替わり登壇するスタイルを実践した。その際、デーモン以下のバンドメンバーは、照明を落とした暗部から影として照らし出されて演奏を行うのみで、スポットライトは客演者を中心に当てられ、背後のビッグスクリーンによるアニメVJを駆使した演出をとった。会場もアポロ・シアターなど英米の著名オペラハウスで行うという実験的で限定的なものに留めていた。
3rdアルバムリリース後は、コーチェラ・フェスティバル、ロスキルド・フェスティバルなど大型野外フェスへの出演と大規模な世界ツアーを敢行するためか、以前のようなアニメ中心の演出は減退し、姿を隠さずにデーモンはじめバンドメンバーがスポットライトの下に前面に出て演奏を行うという、オーソドックスなスタイルに移行した。それまでのVJ中心の演出を廃したこのライブ手法に賛否は分かれたものの、ヘッドライナーとして出演したグラストンベリー・フェスティバルでは、主要な客演ミュージシャンの総出演が実現し、ツアー中唯一のライブ共演となったルー・リードやマーク・E・スミス、ショーン・ライダー、ボビー・ウーマックにデ・ラ・ソウル、モス・デフ、スヌープ・ドッグまでが同じステージに出演する豪華さが話題となった。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B4%E3%83%AA%E3%83%A9%E3%82%BA#%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%96%E6%B4%BB%E5%8B%95

こうして見るとフェスなどに参加するためにバーチャル要素が後退していったと考えられます。

配信なら共演できるけど

先ほどからGorillazのライブ映像を延々と貼っているのですが、いきなり出てきてラップをしている人たちはメンバーではないです。De La Soulというアメリカのヒップホップグループでつまり客演という立場です。

で、並べて見るとバーチャル要素がない方が客演しているという感じが強いと思いました。というよりも、キャラクターメインだと客演している感じが出てこない。

さて今年のアニサマでは宮田俊哉(Kis-My-Ft2)と『うた☆プリ』の一ノ瀬トキヤがコラボしたそうですが、後者はモニターに映し出されての参加だったそうです。客が本当に見たいものは宮田俊哉と一ノ瀬トキヤがともにステージの上に立って共演しているところだと思うのですが、現状は技術の問題なのかステージの問題なのか分かりませんが国内海外問わず出来ていないように思われます。ライブ会場では。

しかし2次元キャラクターと生身の人間が共演できるとこともあります。それは配信だったりテレビのような映像がそうです。例えば昨年放送された『バズリズムV』という音楽番組では星街すいせいがフジファブリックと、Mori CalliopeがCreepy Nutsと共演しているのです。

そうするとキャラクターとミュージシャンやアイドルの絡みを見たいのであればライブではなく配信という事になります。もっともそれが求められるのかというと結構難しいのではないか。例えば「Liella!(キャストではなくキャラクターの方)とFRUITS ZIPPERのコラボ」という企画があったとして、どこに向けた企画なのかと聞かれると困るような代物だと我ながら感じてしまいます。そもそもお互いのファンが見たいのか疑問だしなぁ。

星街すいせいとフジファブリックがなぜコラボしたかというとフジファブリックが曲を提供しているからです。そういう繋がりがあれば違和感がないのでしょうけど、文脈がないとコラボというのは難しいのかなというのが正直なところです。

まとめ

私は冒頭にこう書きました。

では二次元アイドル(音楽)コンテンツは声優を出さずにキャラクターのライブに移行すればいいという話もあったりしますが、私はそれには「一定条件を呑めるのなら後は運営判断」だと思います。

で、条件について長々と書きましたが要はこういう事です。

「バーチャルやキャラクターの強みを活かせずコラボなども出来ないのが承知であれば出演の可否を判断するのは運営のお仕事」

まぁ自分が運営なら出ませんけどね。自分たちのファン以外にも知ってもらえる機会ではあるでしょうけど「思っていたよりもしょぼいな」と客に思われる会場にわざわざ出る必要があるかというと……。

もっとも技術が進歩すれば生身の人間とキャラクターが同じステージで共演することができるかもしれません。それがいつなのかは分かりませんが。

こちらからは以上です。

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