【前編】いじめっこが膝から崩れ落ちた
“膝から崩れ落ちる”という言葉がありますが
実際に人が“膝から崩れ落ちる”ところ見たことありますか?
私はないです。
しかし、それより貴重な、人が“膝から崩れ落ちた”報告を受けたことがあります。
これは私が中学生の時の話です。
私が通っていた中学は非常に偏差値の低い私立の学校でした。
たしか偏差値32〜37ぐらいだったと思います。
中高一貫の男子校で高校が甲子園常連でラグビーも全国常連、そして相撲部や少林寺拳法部もあってそれも全国優勝するような超スポーツ学校でした。
だからこの学校に来る人というのは
①真面目なスポーツマン
②やんちゃなスポーツマン
③公立落ちたヤンキー
④公立落ちたオタク
⑤第一志望落ちて第二志望落ちて滑り止めも落ちてここしかなくなったヤツ
この5パターンです。(ちなみに私は⑤でした)
中学入って最初は②と②とか②と③の喧嘩が絶えませんでした。
②と③の場合やはり②の方が身体能力が圧倒的に高く②が勝つのです。
しかし③は兄もヤンキーだったりして知識(ファッション、女遊び、バイク等の)が圧倒的に多くそれに興味を持ち始めた②と仲良くなっていきました。
そして、②と③が上、その他は下というカーストが出来上がっていきました。
私は一応サッカー部(強くも弱くもない)だったので喧嘩したことないですが②の顔してたらギリギリ②あつかいでいけました💕
どう②の顔していたかというと、②同士や②と③が喧嘩してる時に心の中ではびびり散らかして震え上がっていましたが「はいはい、髪の毛の引っ張り合いとかおもんないから」とか「ちゃうちゃう、そこで膝使わんと」とぼそっと言うて“こいつ喧嘩慣れしてやがる感”、“本気を出したらこいつが1番強い感”を演出しまくっていました。
そして流れで②のゴリゴリのラグビー部の土肥と③の兄貴が暴走族の五熊(いつくま)と仲良くなり、悠々と②の顔で中1の1年間をやり過ごしました。
私はこれで3年間②の顔をして悠々と学生生活をおくれると思っていました。
しかし、クラス替えがあり2年の初日に中学生活最大のピンチをむかえる事になりました。
あの泣く子も黙るゴリゴリラグビー部の土肥やスーパーゴリゴリラグビー部の野末がびびり倒している超ウルトラライジングサンダーマウンテンゴリゴリラグビー部の小野寺(165㎝92kg50m走5.9秒)と同じクラスになってしまったのだ。
2年になって初日のホームルームが終わると早速小野寺は動き出した。
初日の席順は出席番号で決まる。
その日出席番号1番の五熊が休んでおり、小野寺は2番の井上のところへ近づき、制服のポロシャツの上から井上の乳首を掴みはじめた。
井上「痛っ、痛い痛い、やめてや」
小野寺「やめてやって誰にぬかしてんのじゃ!」
そう言うと同時に小野寺の拳が井上の顔面に突き刺さる。
私は何が起きているのか分からなかった。
何なんだこれは。
一度頭の中で整理してみた。
①乳首を掴む
↓
②やめてほしいと告げる
↓
③殴られる
どう考えても人が人を殴るには105行程足りていない。
そんな事を考えているうちに小野寺は出席番号3番の岩城のところへ行き、井上同様岩城の乳首を掴んだ。
そして、岩城の方をにやりと笑いながら見ている。
岩城も怯えながらにやっと笑い返した。
もちろん岩城はやめてほしいに決まっているが、やめてほしいと告げた後の井上の悲惨な姿を見ているので笑い返すしか出来ないのだ。
すると小野寺は乳首を掴んでいる右手の力を強めた。
微笑んでいた岩城の顔が苦痛に歪む。
その瞬間
小野寺「誰にダルそうな顔してんのじゃ!」
そう言うと同時に小野寺の拳が岩城の溝落ちへ突き刺さる。
正直この時の私は岩城の心配などしている余裕などなかった。
なぜなら私の出席番号が“5番”だからだ。
つづく