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ZANGE〜モーリヤ編

中学3年の時のお話です。


最後の大会が終わり部活を引退した私はお金はないが時間と体力は有り余っていた。


その時はとにかく背伸びをしたい時期で、友達ととりあえず繁華街に集合してから今日何をして遊ぶかを決めていた。


体力だけはあるがお金も知識もないため8割方カラオケになる。


その日は友達4人で神戸の三宮の駅前のマクドナルドに集合して何をするかを決めた。






カラオケになった。


しかし、その日は土曜日でカラオケが混んでいて2時間待ちでした。


今はあるのか店舗によるのか分からないが、当時そのカラオケ店では待ってる方のための丸テーブルがいくつかと椅子がたくさん置いてあり、その間ドリンクバーも飲み放題というイートイン的なスペースがあった。


4人の中で1番社交性の低い私と友達の2人でとりあえず受付の列に並び、社交性の高い2人はそのイートインスペースの椅子に座って待っていた。


並んでから10分ぐらいで受付が終わり、待っていた社交性の高い2人のところへ行くとすでに隣で待っている2人組の男女と仲良く喋っている。


その2人の方は50歳前後ぐらいのダンディーなおじさまと綺麗なおばさまの夫婦っぽい感じだった。


私がそこへ行くとおじさまに

「君も友達か?ほなこれ、君もおいでや」

と言われ、名刺を渡された。


神戸牛ステーキレストラン モーリヤ

代表取締役◯◯  ◯◯

と書かれていた。


おじさま「君ら若いのに礼儀もしっかりしてて元気でええがな、この店近所にあって俺の名前言うたら肉食わしたるからまたおいでやー」

友達「いいんですか?ありがとうございます。

でも社長やのに昼からカラオケとかするんですね」

おじさま「おう、これは週に1回の楽しみや、ここでストレス発散してんねや、だからカラオケしてる時は携帯の電源も切ってんねや!」

友達「そうなんですね」


こんな会話をしてるうちにおじさま達が受付の方に呼ばれた。

おじさま「時間来たわ、ほなまたな」

友達「楽しんで下さい」



そして、我々4人は受付をキャンセルして店を出た。


向かった先は




もちろん神戸牛ステーキレストラン モーリヤ 三宮店


高級店に緊張しながら我々4人は入店した。


名刺にレストランと書いていたのでものすごく大きい店と思っていたが、実際は高級感は満載でしたがそんなに広くはなく、目の前でシェフの方が焼いてくれるタイプのステーキハウスという感じだった。


ウェイトレス「いらっしゃいませ」

高級感と清潔感溢れる白シャツに黒蝶ネクタイ女性ウェイトレスさんに緊張しながら社交性MAX友人が口を開く


「すいません、◯◯さんの知り合いで、えー、今日無料で食べさせていただけるという事で来たんですけど、、、」


ウェイトレスの方は驚きの表情見せた。


大丈夫か?びっくりしてるぞ?こういうのしょっちゅうしてる訳ではないんか?

あの時おじさまはノリで調子いい事言うただけで高級ステーキをタダで食える訳なんてやはりないのか?


追い返されるのか?




4人に緊張感が走った。


ウェイトレス「確認して参りますので少々お待ち下さい」


よし、ファーストステージクリアだ!


そういうと子機を手に取り私たちの前で電話をかけた。


しかし、電話には出ない。


ウェイトレスさんは困惑している。


もう一度電話をかけた。


しかし、電話は繋がらない。

当然だ。


ウェイトレスさんよう、何度電話しても社長の電話には繋がりませんぜ!

社長はカラオケ中は携帯の電源を切るからねぇ!!!!


ここでのウェイトレスの方の個人の判断ここが2つ目の難関だ!


すると、

ウェイトレス「今連絡が繋がらない状態でして、皆様の連絡先をお伺いしてもよろしいでしょうか?」


ビビり散らしながら4人は携帯電話の番号を教えた。

そして、、、






ウェイトレス「こちらのお席へどうぞ」


しゃーゴラァ!!!!


セカンドステージクリアだ!!!!!




そして、肉の知識など皆無の私達4人はとにかく1番高いステーキを頼んだ。


ウェイトレス「ご注文いかがいたしましょう?」


私「えー、この、神戸牛極上サーロインステーキ(¥2万弱)を」

友人A「僕も」

友人B「俺も」

友人C「僕もそれで」

私「後、この活海老の鉄板焼き(¥1万5千弱)と活あわびの鉄板焼き(¥1万弱)もいいですか?」

友人A「僕も」

友人B「俺も」

友人C「僕もそれで」


ウェイトレス「えー、コースになってますので、神戸牛極上サーロインステーキを頼まれた方には海の幸盛り合わせ鉄板焼きも付いてきますが?」

私「えー、はい、それとは別で活海老と活あわびもお願いします」


ウェイトレス「かしこまりました」


そして、初めて見た、ゼロパワーでナイフをスライドさせるだけで切れるサーロインステーキや海の幸を堪能しました💕



そして、サードステージがやって来ました。

普通に食べたら4人で20万ぐらいの会計になる。

ここで思い出させてはいけないと思い、自然に立ち上がり

4人「ご馳走様でした」

ナチュラルに出ようとした。


ここで一悶着あっては元も子もない。


すると、ウェイトレスの方が我々より先に出口の方へ向かった。



や、やばい。

お会計でこじれる?

親呼ばれる?

そんな事がよぎったのも束の間、ウェイトレスの方はドアを開け、こう言った。

「またお越し下さい」


しゃーゴラァゴラァゴラァゴラァゴラァゴラァ!


完全制覇やー!


そして、いつもならもっとダラダラする4人がその日は満足感からか店を出て少し喋った後、帰る事になった。


帰りの電車の中での話題ももちろん美味しすぎた肉や海鮮の話!


あれを当然のように毎日食べれるようになりたいなぁ、などと青春の会話をした。


そして、私は家に着いてからもあの味を思い出して上機嫌だった。



ハッピーな1日だったと思っていると私の携帯電話が鳴った。

知らない番号からだ。


瞬時に私は、絶対にあの社長だ!

と思った。


その瞬間、すごくマイナス思考が働き出す。

もし電話に出て「食わしたるとは言うたけど、早すぎるし、タダとは言うてへん」

て言われたらどうしよう。

「お父さんかお母さんに代わってもらえる?」

て言われたらどうしよう。

急激に恐怖が芽生えてきた。


私はその電話に出なかった。


そして、5分後またかかってきた。


意図的にその電話にもでなかった。


そして、2日後の月曜日一緒にステーキを食べた友達4人に会って知らない番号から電話があって出なかった話をした。


すると、

友人A「俺もブチった」


友人B「僕も出てない」


友人C「俺、一瞬出てからヤバイと思って切ってもうた」







今思うと、ほんとうに良い方でまたおいでやという旨の電話だったのかもしれないが、私達は無料で高級すぎて美味すぎるものを食べた変な罪悪感から全員がビビりまくり連絡を絶ってしまった。



あれから16年!











も、もちろん、覚えてはいますよ。


ば、爆発的にお金稼げるようになったら後輩いっぱい連れていってあの時の料金も上乗せして払いたいとは思っております💕













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