世界で一番美しい羽田空港のトイレの秘密
公共のトイレと言えば、汚れていたり、臭かったりと残念なイメージがありますが、そんなマイナスイメージを吹き飛ばしてくれるトイレがあります。
それは、羽田空港旅客ターミナルのトイレです。
羽田空港旅客ターミナルは、SKYTRAX社が実施する2018年国際空港評価において、空港の清潔さなどを評価する「The World's Cleanest Airports(世界の清潔な空港ランキング)部門」で第1位を取得しました。
(出典:2018 World Airport Awards)
羽田空港が清潔さの部門で1位に選ばれたのは、これで3年連続です!!
国や文化を超えて、たくさんの人が利用する場で、世界一の清潔さをキープするって、かなりすごいです。
ちなみにSKYTRAX社というのは、イギリスに拠点を置く航空サービスリサーチの会社です。世界の空港や航空会社の評価を行っています。100以上の国・地域の1373万人よる顧客調査がベースとなっているようです。
世界一清潔な空港のトイレは、もちろん常にきれいな状態が保たれています。今回は、そんな羽田空港国際線旅客ターミナルのトイレの清潔さの秘密に迫りたいと思います。
トイレを清潔に保つためには掃除が欠かせません。
一口に掃除と言っても、人数、道具、方法など、様々な要素があります。
世界で一番清潔な空港であることを示す「The World's Cleanest Airports部門」において、3年連続1位ですから、きっとびっくりするような道具があるにちがいありません。
もしかしたら、私たちの知らないところでトイレロボットが活躍しているのでは?
ということで、羽田空港国際線旅客ターミナルを管理している東京国際空港ターミナル株式会社と、トイレ清掃の実務を担っている日本空港テクノ株式会社の方々に話を伺ってきました。
羽田のトイレはなぜ清潔なのか?
羽田空港では、いったいどんな清掃をしているのでしょうか?
その前に、羽田空港のトイレの概略を確認しておきましょう。
羽田空港には国内線(第1・第2)の旅客ターミナルと国際線の旅客ターミナルがあり、今回取材した国際線旅客ターミナルでは、利用者向けのトイレは全部で57個所、職員用はトイレが別になっていて54個所あります。
大便器は計665基、小便器は計376基、すべての便器を合計すると1041基にもなります。
これらすべてのトイレを、1日あたり50~55人の清掃担当者が巡回しています。よく使われる、清掃頻度の多いトイレでは、1時間も空けずに清掃が行われているそうです。
さて、本題のトイレ掃除方法をお聞きしてみると、消耗品の補充、ごみ回収、手すりや棚の拭き掃除、便器や洗面台、そして床の拭き上げ……床は濡れていない状態にすることや鏡の水はねを拭きとるなど、丁寧な内容になっているのですが、とくに変わったところはありません。
道具についても一般的なものばかりでした。
世界一の秘密って、いったいどこにあるのでしょうか?
話を聞き進めていくと、掃除方法ではなく対応するスピードにポイントがあることが分かりました。
つまり、汚れてしまうことは避けられないので、その汚れをいかに早くきれいにするか、ということです。
どんなにきれいに掃除をしたとしても、自分が使う前の人が汚してしまったら、「トイレが汚れている!」というイメージしか残りませんよね。
羽田空港では通常の巡回清掃以外に、汚れの連絡があれば24時間いつでも対応可能な体制が取られています。
職員が汚れを発見すると、まずは管理室に連絡がいきます。そこから清掃責任者を経由して清掃担当者に連絡が届き、対応する仕組みになっています。
汚れを発見してから10分以内に対応完了するという目標があり、これまでのトイレにおける対応実績では平均9分だそうです、はやい!!!
このルールはトイレに限らず、空港施設内全般に適用されています。
世界一清潔な空港は、汚れやごみの早期発見とすばやい対応によって保たれているということですね。
お話を伺っている中で、さらに心にジーンとくるお言葉がありました。
「空港管理スタッフ、全員が清掃員という姿勢で取り組んでいます。空港は自分の家ですから」
これは気持ちだけではなく、行動が伴っています。実際に全職員がごみ袋を携帯しており、簡単な汚れやごみならば、その場で対応してしまうのです。
世界一の秘密は、ここにあったのですね。
私たちはどうしても技術や道具など、目に見えるものに頼りがちになりますが、清潔な環境や雰囲気づくりを支えていたのは、職員一人ひとりの思いと行動だったのです。
これこそ日本らしい「おもてなし」だと思います。
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