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公共トイレがきれいになることが、子どもによい影響を与える理由

トイレトレーニングが人格形成にかかわることについては、前回説明しました。

今回は、もう少し視野を広げて、不特定多数の人が使う公共トイレと子どもの人格形成について考えてみたいと思います。
前回に引き続き、精神科医のS先生にお聞きしたことをもとに説明します。

うんちは笑いにつながるキャッチーなテーマです。興味を引くことに関しては構わないのですが、一方で全国の小学生を対象に実施したアンケートでは、学校でうんちをしにくいと回答した子どもにその理由を尋ねたところ、「友達に知られたくない」(57.0%)「友達にからかわれる」(34.9%)など、人目を気にしている傾向が明らかになりました。

うんちをすることは生得的な「快」であり、生きていくために欠かせない生理現象です。我慢していいことなんて何ひとつありません。当たり前ですが、行きたいときに行ける環境が必要です。

ここで考えたいのは、不特定多数の人が使う公共トイレが子どもたちに与える影響です。

大人が思っている以上に、子どもは大人を見ている

例えば、親が子どもに泣いてほしくないとか、ぐずってほしくないと思っていると、子どもは自分の脳の中の反応を変えることで親に適応しようとするのです。
ということは、親がトイレのことを嫌だと思えば子どももそう思うし、親がうんちをマイナスに捉えれば同様に認識します。親の振る舞いが子どもに与える影響は大きいのです。
だからこそ、親がトイレやうんちに関してポジティブなイメージを持つことが大切で、子どもからうんちについて問いかけられたら、待ってましたと言わんばかりに、目を輝かせながら回答してほしいです。決して「そんな汚い話はやめて」なんて言ってはいけませんよ。

公共トイレが子どもに与える影響

精神科医のS先生と話していて、ハッとしたのが「公共トイレの質」です。
公共トイレの質は、社会の質であり、子どもたちの感情を育む大切な要素でもあったのです。
どういうことかと言うと、例えば、「公園のトイレや公衆トイレは汚いから使うのをやめなさい」という発言をしてしまうと、子どもはトイレのことをよくないものと認知します。
「トイレ=汚いところ」、さらには「外出時にうんちをすること=悪いこと」、もっとエスカレートして「学校という公共の場でうんちをするひと=悪いひと」になってしまう可能性すらあります。これは、学校でうんちをする人への非難にもつながります。
つまり、公共トイレの質が子どもの人格形成に影響を与えていることになります。
公共トイレが汚いのはいろいろな人が使うからしょうがない、なんて言ってる場合じゃなかったのです。

うんちもコミュニケーションも緩めることが大事

副交感神経の一つに腹側迷走神経複合体と呼ばれる部分があります。この部分は、心を緩める信号を出す役割で、人間の社会的コミュニケーションを担っているとも言われています。
うんちをするときに優位になるのは副交感神経ですので、大きな意味ではうんちをすることとコミュニケーションは同じ神経がつかさどっていると言えるのではないでしょうか。
心を緩めることは、うんちをするにもコミュニケーションにも大事ということです。

繰り返しになりますが、私たち大人は、公共トイレの良し悪しが、子どもの人格形成に影響を与えていることを肝に銘じるべきです。そして、この心理的影響が社会的コミュニケーションにも大いに関連していると私は思います。

外出時は「親子で安心してトイレに行ける」「気持ちよくオムツ替えができる」、そんなトイレ環境が子どもの成長にとても重要だということです。公共トイレを整備して維持管理する方々には、子どもの成長を支えるという気概を持って取り組んでもらいたいです。


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