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トイレがとても大切な場所である理由

私たちは、毎日、何回もトイレに行きます。

それは、食べたものを消化吸収し、身体にとって不要なものを排泄する必要があるからです。

臨床睡眠医学を専門とする神山潤医師は、「ヒトは寝て、食べて、排泄して、脳や身体の活動が充実する昼行性の動物」と言っています。

これは、ぐっすり睡眠、おいしい食事、すっきり排泄が出来てこそ、幸せな生活をおくることができる、ということです。

「すっきり排泄」するための要素の1つとして、「トイレに行くこと」が挙げられます。

私たちは社会という仕組みの中で生活しているので、あたりかまわずその辺でうんちやおしっこをしていいわけありませんよね。

今回は、何気なくやっている「トイレに行くこと」について考えてみたいと思います。


1日にトイレに行く回数は何回が“普通”なのか

まずは、回数です。睡眠は1日1回、食事は3回です。排泄回数はそれらよりも多いですよね。

では、何回くらいでしょうか?

個人差があるとはいえ、ある人は5回、別の人は100回というような差があるわけではありません。

そこで、日本泌尿器科学会のホームページを調べてみると、「頻尿とは?」というタイトルで以下の記述がありました。

「尿が近い、尿の回数が多い」という症状を頻尿といいます。一般的には、朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上の場合を頻尿といいます。しかし、1日の排尿回数は人によって様々ですので、一概に1日に何回以上の排尿回数が異常とはいえず、8回以下の排尿回数でも、自身で排尿回数が多いと感じる場合には頻尿といえます。

また、兵庫医科大学泌尿器科学教室のホームページには、「1日の排尿回数:5~7回」と記載されていました。

個人差だけでなく体調によっても異なると思いますが、1日6~7回というのが1つの目安になりそうです。

ちなみに、私が1週間排尿の回数を数えてみたところ、1日あたり7回でした。

大切なのは、それぞれの人が自分の調子のよいときのトイレの回数を知っておくことです。

トイレ回数は、コンディションを把握する重要な指標になります。

この数値が、急に減ったり、大幅に増えたら要注意ですよ。

みなさんも、ぜひ自分のトイレ回数を計ってみてくださいね。


年間2,555回も行くところ

仮に、トイレに行く回数を1日7回とすると、1か月で210回、1年で2,555回にもなります。ものすごく多い数と思いませんか。

しかも、トイレに行くというのは、結構な労力がかかります。うんちやおしっこをしたいと感じたら、トイレまで移動して、ズボンや下着を下ろして、便器に座って、ようやく排泄です。

そのあと、またズボンや下着をもとに戻して、手洗いをして、もとの場所まで戻らなきゃいけません。

「排泄する」というミッションのために、こんなにもやることがあるのです。

これを1日7回、1年で2,555回もやるのですから。面倒くさいと思ってしまうことも少なくないですよね。

ですが、冒頭で述べたとおり、「トイレに行くこと」は幸せな生活をおくるために必要なことです。

神山医師は「身体は自分の意志ではどうにもコントロールできないことがある。走って心拍数が上がったり、映画館に入って黒目が大きくなったりするのは、自律神経の働き。自律神経が心と身体の状態を調べて、うまい具合に調整するから」と言っています。

じつは、排泄をつかさどっているのも、自律神経なのです。

食べたものを消化吸収して、腸内でうんちつくること、うんちを移動させること、便意をもよおすこと、うんちを漏れないようにしてくれること、これらすべては自律神経がやってくれます。

ということは、自律神経が上手く機能しなきゃ、トイレに行くことができなくなってしまいます。

逆に考えると、トイレに行きたくなるということは、自律神経が上手く機能していることのお知らせが来ていることだと思います。

そのお知らせを無視したり、ないがしろにすることは、とても危険なことです。超忙しくてトイレに行くのを我慢しちゃったとか、面倒くさいから後にしようとか、というのはよくないのです。


おしっこ、うんちを我慢するとどうなるか

たとえば、おしっこを我慢してしまうとどうなるか。

多少は大丈夫でしょうが、膀胱に溜められる量は、200~500mlぐらいと言われていますので、そんなに長く我慢はできません。

また、おしっこを定期的にすることで、膀胱内や尿道などに細菌が入らないようにしてくれています。

ということは、おしっこを我慢してずっと溜めておくということは、細菌が入ってしまって、尿路感染症になることも考えられます。膀胱の中で細菌が悪さをするのが膀胱炎、腎臓で悪さをするのが腎盂腎炎(じんうじんえん)です。腎盂とは、腎臓と尿管のつなぎ目部分のことです。

つづいて、うんちの我慢を繰り返してしまうとどうなるか。

腸はかなり膨らむので、うんちをたくさん溜めることができます。うんちを長い時間溜めておくと腸に水分を吸収されてカチカチになっていきます。我慢することでさらに溜まるので自分では出せないぐらいになってしまいます。

腸閉塞になったり、めちゃくちゃ硬くなったうんちが腸を突き破ることだってありえます。恐ろしいことです。

うんちを我慢しつづけると便意もなくなってしまうことは以前に書きましたよね。

ちなみに、便秘になると、うんちが溜まった腸が膀胱を圧迫するので、おしっこを溜めにくくなったり、漏れやすくなることもあります。

ですから、トイレに行くことをないがしろにしてはダメです。


未来のトイレライフを夢見て

1年で2,555回、3年7,665回、5年12,775回……というような感じで、日々、トイレに行く回数を重ねていくわけですが、もし、トイレが嫌な空間だったり、うんちやおしっこをしたときに不快感を感じるような状態になったら、それを避けようとして、トイレになるべく行かないようにすると思います。

トイレに行かないようにするということは、水分や食事を控えるということです。

こうなってくると、体調は途端に悪化します。ぐっすり睡眠やおいしい食事からも遠ざかり、幸せな生活どころじゃありません。

トイレに行くことの大切さ、トイレに行く頻度、トイレに居る時間を考えれば、人生における比重は決して小さくないはずです。

そうであれば、何気なくトイレに行くなんてもったいないです。

トイレに行きたい、というお知らせが来たら、ウキウキしながらトイレに行きたいですね。

そうなるための、快適なトイレライフを考えてみるのはいかがでしょうか。

たとえば、
トイレをお気に入りのインテリアにする、
趣味のグッズで埋め尽くす、
大好きなアーティストの音楽が流れるようにする、
気分がやすらぐ香りで満たす、
超座り心地がいい便座に改良する
、など。

近い将来には、AIで個人に最適化してくれる環境がつくられるかもしれませんね……

トイレに行くことが、素敵な時間になるように演出してみてください。

思い立ったら実行あるのみです。

あっ、あまりにも居心地が良すぎて、長い時間便座に座っていると、肛門への負担が大きくなるので、気をつけてくださいね。


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