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肛門は「うんちかオナラか」を識別している!

大事な「開け閉め」の話

便意が起きてから、トイレまで我慢して、「ここでならしていいぞ」という考えのもと、自分の意思でうんちをします。

そうですよね。この流れについては、「便秘のときに、人の体内で起こっていること」のところで説明しました。

便意の起こる仕組みは、大人も子どもも同じです。

うんちを排泄する工程において、自分の意思で出来るのは、うんちをつくることでもなく、便意を起こすことでもなく、最後の最後、肛門の開け閉めだけです。

でも、この開け閉めが重要なのです。

一歩間違えば大惨事です。

もしかしたら、すでに大惨事を経験した方もいるかもしれませんね。

ちなみに私は「あります」(涙)

それは、とても体調が悪いときでした。

もちろん下痢で、何度もトイレに駆け込んでいる状態です。

たしか急性の胃腸炎だったと思います。

トイレから戻って布団に入り、横になっていた時、また便意のようなものを感じました。「トイレに行かなきゃ!」と感じた数秒後のことです。

「あれっ、これはオナラかも?」と思ったのです。

みなさんもありますよね、これは「うんち」か、それとも「オナラ」か?

快便のときであれば、そんなこと深刻に考えませんし、上手くオナラだけをすることも出来ます。

しかし、胃腸炎で超下痢のときです。判断ミスは命取りになります。

考えに考えて、私の結論は「オナラ」でした。

恐る恐る、そして少しずつ肛門まわりの筋肉を緩め、いつもオナラをするときのように肛門をひらいた、その瞬間です。

「あっ、アウトー!」

そんな雄叫びがお尻の方から聞こえてきました。

あわてて飛び起きると……はい、アウトです。

このあとの大惨事は、ご想像におまかせしますね。

肛門を動かす2つの筋肉

このように、まれにミスをするときもあるのですが、肛門はものすごく精密に出来ていて、基本的には失敗しないものです。

肛門を筒だとイメージすると、この筒は大雑把に言うと外肛門括約筋内肛門括約筋という2つの筋肉で周りを囲まれています。

(医学書院『gastropoda』「肛門・肛門管の解剖用語」より)

このうち外肛門括約筋は自分の意思で収縮させることができますが、内肛門括約筋は自分の意思で動かせません。

腸のもっとも肛門寄りの部分にある直腸に、うんちやオナラが移動してくると、内肛門括約筋が緩み、うんちやオナラを肛門近くまで移動させます。

肛門には口と同じくらい敏感な知覚があるため、ここで「形のあるうんちか、液状か、もしくはオナラか」などを識別します。

識別しているとき、外肛門括約筋は一時的に閉じて、内容物が漏れないようにします。

私たちはこの識別結果にもとづいて、うんちをしたり、オナラをしたりします。

この識別機能は、専門用語で「サンプリング機能」と呼ばれています。

もし、うんちをするのに適した場所でなければ、外肛門括約筋をガッチリと収縮させ、うんちを腸の方へ押し戻して、便意を調整します。

肛門をもっと大切に!

ただ、外肛門括約筋に関して強い収縮を持続できるのは数秒間のようです。

じゃあ、肛門に力を入れていないときは、何にもしていないのかというと、そういうわけではなく、ある程度の活動があり、うんちが漏れるのを防いでいるようです。

内肛門括約筋は意識していないときにもしっかり働いていて、こちらもうんちが漏れないようにしてくれています。

例えば、内肛門括約筋を傷つけてしまうと便意に気づくことができず、うんちをもらしてしまうことがあります。

また、外肛門括約筋を傷つけてしまうと、便意は感じるけどトイレまで我慢できずにもれてしまうことなどが考えられます。

意識すると分かるのですが、たしかに、くしゃみやせきをするときに、自然に肛門を閉めますよね。

閉めなかったら大変なことになると思います。

食べるのは「口」、出すのは「肛門」です。

これらは一本の管でつながっていて、入口と出口はどちらも知覚があり、からだにとって重要な役割を担っています。

どうしても「口」の方に意識はいきがちですが、「肛門」も大切です。

うんちを我慢しすぎることやトイレで長い時間いきむこと、肛門を拭きすぎて傷つけること、長時間のデスクワークなどは、いずれも肛門によくありません。

たまには、肛門にやさしい生活を考えてみることも必要ですね。


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