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中国トイレ革命はすごい!?

中国トイレ革命というのは、2015年に習近平・国家主席が発表した取り組みです。市民の健康や生活水準の向上を図ることが目的で、農村を中心に衛生的なトイレの普及を目指しています。
農村における衛生的なトイレの普及目標は、2020年までに85%、2030年には全国をカバーすることです。広大な国土、しかも地域によってかなり気候が異なるので、この目標はかなり大変だと思います。

トイレは文明度を測る重要な指標

私はこれまで、上海、義烏、西安など、中国国内で開催されるトイレ革命関連の会合に参加してきました。

Seminar on Chinese Toilet Revolution,Yiwu

これらの会で、中国トイレ革命に取り組む行政や関係者が発表した印象的なフレーズを紹介しますね。

「トイレは、ひとりの人、まち、国の文明度を測る重要な指標である」「トイレは、街角にある小さなものであるが、国際イメージにかかわる」「トイレ革命は、観光革命であり、市民の生活レベルの改善につながる」

いずれもごもっともで、観光立国や多様性社会を目指す日本でも、しっかり認識しなければならないことだと感じました。

そんな中、中国でトイレ革命に取り組む団体から以下の写真が送られてきました。
これは小学校の敷地内につくられたエコでサステイナブルなモデルトイレです。
農村には水不足の地域も多いため、節水・無水やし尿資源化への期待は大きいと思います。

実際、どこまでのクオリティなのかは分かりませんが、とにかくやるぞ!という勢いを感じます。この勢いで試行錯誤をすれば、相当なレベルに行けると思います。このままでは、日本はあっという間に追い抜かれてしまいそうです......

中国トイレ革命交流団の来日

2019年3月24日~30日、外務省の招へいで中国トイレ革命交流団の方々が来日しました。訪日メンバーのほとんどは、農村地域のトイレ改善を担う中国農業農村部の方です。日本トイレ研究所は、26日に日本のトイレ改善の取り組みを説明し、意見交換を行いました。

中国農業農村部としては、農村における家庭のトイレ改善を推進していくために必要なこととして以下の3つをあげました。

1.トイレ改善の必要性(健康や環境の改善につながる)の理解を広めること2.トイレの改善や維持を自主的に取り組むような意欲を引き出すこと3.トイレの改善に必要な技術を選択できるようにすること

もちろん、トイレ改善のための資金確保も重要と発言されていました。

日本のトイレ・衛生環境は、この数十年間で飛躍的に改善しました。
中国は日本が歩んできた道のりを10倍、いやもっと早いスピードで成し遂げようとしているのかもしれません。そして、中国でのトイレ革命という挑戦は、アフリカやインドにも影響を及ぼすことが考えられます。

日本のトイレの処理方式には、集中処理タイプの下水道、分散処理タイプの浄化槽や汲み取りがあります。また、富士山や屋久島などの自然地域を中心に自己処理型もあります。
加えて、清掃や維持管理を行う人材育成の仕組みもあります。

「トイレ・衛生改善パッケージ」を輸出!

日本が持っているトイレ・衛生改善のための技術やノウハウ、そして文化を組み合わせ「トイレ・衛生改善パッケージ」として輸出できれば、世界の衛生改善に貢献できます。
ただし、最新のハイテクだけではダメです。必要なことは、現地の状況にあわせてカスタマイズすることです。

たとえば、ローテクではありますが、少量の水で流すことができる簡易水洗便器があります。これらは、1回あたりの洗浄水量が1リットル以下です。この便器と便槽を組み合わせて、バキュームカーで効率的に回収することもできます。

ひとつの例として、大阪工業大学の金藤敬一特任教授は、人間の尿から直接発電し、蓄電もする「尿素燃料電池」を開発しているため、この技術と連携すれば「発電する汲み取りトイレ」という新たな商品が生まれます。地震災害にも強いですよね。

このような感じで、もう一度、日本のトイレ・衛生技術を見直しながら、世界に向けて何を提供すべきかを考えることが必要だと思います。


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