見出し画像

外資系ファームのアンケート分析のアウトプット集

1.このトピックを選んだ背景

ご無沙汰しております。なべをです。昨年末に心を入れ替え、1月に2本noteを記してから、毎年の年度末の忙しさにかまけて執筆が滞っておりました。
4月より新年度になったということで、ぼちぼち「観光」と「資料作成」について継続的に記していこうと思います。
なお、資料作成に関しては、別途パラレルキャリアでお世話になっているRubatoさんで「スライドマスター」について記させていただきましたので、ご興味あればご覧ください。

さて、現在、外資系コンサルファームの資料をまとめたnoteやブログが多いですが、あまりなんらかのトピックに絞った形ではないので、私の方では、テーマを設定して、私の勝手な判断基準で紹介と解説をしていきたいと思っています。
今回は、私の中でファームにしては「珍しい」と感じたアンケート結果のまとめ資料を紹介してきます。(事業会社や公共団体等で調査をまとめる場合等に役に立つかと思います。なお、外資系ファームにしては珍しく調査結果の羅列といった面も見られるのも貴重です。

2.外資系コンサルファームのアンケート調査アウトプット

(1)マッキンゼー:定量アンケ―ト調査結果


まずは、マッキンゼー社が地方創生SDGs金融調査・研究会から委託を受けて実施した「地方創生SDGs金融の官民連携のパートナーシップによる自律的好循環形成に向けて」の参考資料:ニーズ調査結果のご紹介です。

図1:地方創生SDGs金融調査・研究会
「地方創生SDGs金融の官民連携の パートナーシップによる自律的好循環形成に向けて」

https://www.chisou.go.jp/tiiki/kankyo/kaigi/pdf/sdgs_finance_report_survey.pdf

図2ですが、事業者のセグメントの全体図とその対応策をロジック・ツリーで分かりやすく表現しています。ロジック・ツリーの各要素の中に「設問
」や「該当者」、およびそれらの「N数」と「構成比(%)」を一覧
にしている分かりやすいチャートとなっています。
こうした俯瞰表現を覚えておくと良いかと思います。

図2:地域事業者のセグメント(SDGs認知度、取組状況)

続いて、図3は2つの100%横棒グラフが並んでおりますが、表側(グラフの横軸)を同じものを用いて、SDGsの認知度の割合とSDGsの取り組み状況の割合の2つのグラフを一緒に表現しています。また、サンプル数が同じですので、一番右側にサンプル数を楕円の中に挿入している点も❝憎い❞ですね。これ。ほんとに。

図3:地域事業者アンケート結果(従業員数別:業種別の認知度・取組状況)

さて、最後の3点目なのですが、「コールアウト(Callout)」と呼ばれる拡大手法(図の一部を呼び出して説明する)を用いているものです。
色んな書籍でワン・チャート、ワン・メッセージと言われておりますが、「スライドには一つのグラフだけ用いよ」とは言われていません。図4のように「登録・認証制度の実施時の調整」の横棒グラフの中で「登録者の獲得」が26%あり、その26%の回答者が「登録者の獲得において課題となり得る最大の要因」は何か?を占めるために「円グラフ」を用いています。
なお、コールアウトについては英語での説明もあったので張り付けておきます。

図4:地方公共団体のアンケート(登録・認証制度の実施時の障壁)


(2)BCG:定量・定性アンケート調査結果


続いて、BCGがデジタル庁より受託した「GIGA スクール構想の推進に関する 教育関係者の皆様へのアンケート」 及び児童生徒への「タブレットについて のアンケート」に係る分析事業のご紹介です。
この調査報告書なんですが、定性アンケート結果(テキスト)を定量化したり、深堀下りする流れが非常によく理解できる報告書となっております。
私自身もテキストマイニングソフトを用いたテキスト分析をすることがあるのですが、定性アンケートを定量化したり、具体例を分かりやすく示したりするアウトプットが分かる優れものだと思います。

図5:BCG
「GIGA スクール構想の推進に関する 教育関係者の皆様へのアンケート」 及び
児童生徒への「タブレットについてのアンケート」に係る分析事業

https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/information/field_ref_resources/ef0c3b27-0c39-447e-a7e5-68edb9c975c9/20210903_giga_report_05.pdf

報告書などでは再現実現性を担保するために分析手法を示すことがありますが、図6はこの分析事業に対するアプローチ手法になります。フローで表すことでどのようにアプローチをしたのかの全体図をとらえやすくなります、このような表現も覚えておくと良いでしょう。

図6:検討アプローチの全体図

図7は分析手法をフロー表したものです。どのような流れで文書を単語化し、分析・評価し、解釈・分類をしたかを分かりやすく示しています。このようにアプローチを分かりやすく示すことで、読み手に安心感を与え、客観性が担保されるものにつながる良い表現方法です。

図7:トピック抽出手順(簡易イメージ)

図8はアプローチの中の具体的な文書の前処理を示したものですが、どのように”処理”を行ったかをしっかりと記載しておくということは、こちらも客観性と再現実現性が担保されるよい表現です。

図8:文書の前処理(分析の前提処理)

具体的なアウトプットの一例が図9です。定性テキストを前処理をして、集計し分析したグラフとなっています。「リテラシー」「使用規則」「環境(通信)」と3つのカテゴリーにコメントが大分されていることが分かり、それぞれ、小学生、中学生、高校生での「違い」を表しています。このグラフでも「コールアウト」を使いグラフの具定例を説明しています。

図9:定量グラフでのアウトプットの例

最後に図10ですが、こちらは集計・分析の結果、頻出した「キーワード」とその該当件数を記載。そのキーワードが具体的にどのように使われていたのか?を「コメント例」として記載しています。こちらも単に「キーワード」に対する該当件数だけでなく、具体例を見せることで読み手が理解やすい例です。
また、下段に「キッカー」と呼ばれるボディをサマリーすると言える一文を入れることで、「要はどうなのか?」を分かりやすく表現しています。

図10:定量的な表現と定性的な表現の

3.最後に

いかがでしたでしょうか?業務でアンケートを分析することがある方もいらっしゃるかと思いますが、アウトプット事例の引き出しを増やしておくことで、表現の幅が拡がり、より人に伝わりやすい分析を示すことができるようになると思います。
今回の例は少しマニアックですが、基礎を大事にしたい!という方、ぜひ下記の書籍をお買い求めください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?