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『スパイダー/増殖』陣野俊史さん(フランス文化研究・作家)&山崎圭司さん(映画ライター)トークイベントレポート
過去20年間のフランス・ホラー映画で初登場第1位を記録し、スティーヴン・キング、サム・ライミ監督大絶賛の、新鋭セヴァスチャン・ヴァニセック監督による毒グモパニックホラー『スパイダー/増殖』(原題:Vermines)が、11月1日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国順次増殖開始となる。
『スパイダー/増殖』は、主人公カレブが毒グモを手に入れ、そのクモが脱走。カレブたちが住むアパ―トで繁殖・増大し、次々と住民たちに襲い掛かる姿を描いた絶叫必須&スリリングなパニックホラー。
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公開に先駆け、10月21日(月)に独占試写会が開催され、上映後のトークイベントには、フランス文化研究者・作家の陣野俊史さんと映画ライターの山崎圭司さんが登壇。
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上映終了後、たった今鑑賞を終えた観客の盛大な拍手に迎えられ、陣野俊史さんと山崎圭司さんが登場。 フランスのヒップホップや、バンリュー(移民)映画に詳しい陣野さんは、すっかり本作の魅力にハマり、既に3回鑑賞済み。「クモがクモには見えなかった。移民のメタファーだと思って観た」と興奮気味に感想を語った。本作が過去20年間のフレンチホラーで最大のヒットを遂げた理由についても、バンリュー映画として社会的なテーマが反映されていることを理由にあげ、「移民規制に抵抗している映画としても見れる」と語った。バンリュー映画の名作『憎しみ』(95/マチュー・カソヴィッツ監督)のオマージュシーンにも言及しながらバンリュー映画の魅力を熱く語る陣野さんに、山崎さんが「陣野さんは『憎しみ』のDVDをバッグに入れて持ち歩いているんですよ」とつっこむ場面も。
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続けて、本作はヒップホップが合っている映画として、中でも重低音が特徴的な"ドリル"という最新鋭な曲調が多用されていることも熱弁。実際にフランスはヒップホップ大国で、チャートTOP10のうち7〜8曲はヒップホップがランクインしているという。陣野さんは「フランスのヒップホップグループ、Suprême NTMが1995年に発表した「Qu'est-ce qu'on attend(何を持っているのか)」のようにフランスのヒップホップには移民と対立する警察を罵倒する歌詞も見られ、本作で主人公たちが警察に守ってもらえないことにも繋がっている」とコメントした。
ホラー映画に造詣の深い山崎さんは、「フランス人はアメリカナイズされた映画を嫌う傾向があるが、本作はワールドワイドにアピールしながらもフランスの味があるフレンチホラー映画」と絶賛。それに関連して以前、『マーターズ』(08)のパスカル・ロジェ監督に取材をした際に、「最近見た映画で『ピラニア3D』(10/アレクサンドル・アジャ監督)が最高だった」と伝えたところ、「君はハリウッドのゲロをかけられて喜んでいるだけだ」と言われた衝撃的なエピソードを披露し、会場を笑いに包んだ。
さらに、山崎さんはセヴァスチャン・ヴァニセック監督が、「最近フランスでも作られているアニマルパニック映画の影響はあまり受けていない」とインタビューで語っていたことにも触れ、「フレンチホラーは後味がビターなものが多い気がするが、本作は開放的な後味」と本作の魅力を語った。
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