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令和5年版 過労死等防止対策白書より
先日、厚生労働省より「令和5年版 過労死等防止対策白書」が公表されました。
この白書の全体版は全296ページもあり全部を読み込むのは大変ですが、最初の方に少し気になるグラフが出ていました。
![](https://assets.st-note.com/img/1697386810511-VCWJszodIe.jpg?width=1200)
このグラフは12ページ(12/296)に掲載されている業界別の年間総労働時間で、運輸業界が最も労働時間が長く1,980時間(1,980時間÷12か月=165時間/月)で、最も労働時間が短いのは小売業界で1,567時間(1,567時間÷12か月=130.6時間/月)です。
![](https://assets.st-note.com/img/1697386890892-gXrKWEK8oQ.jpg?width=1200)
こちらは18ページ(18/296)に掲載されているグラフで、週40時間以上働いている人の中でその労働時間(週間労働時間)が60時間以上働く人の割合を業界別に、令和元年~4年までを表示したものです。
上のグラフ(業界別・年間総労働時間)で最も長時間だった運輸業界が、月末の週間労働時間でも60時間以上働く人の割合が最も多いのは深く考えることも無く「なるほど」と思えるデータですが、上のグラフ(業界別・年間総労働時間)で二番目に長時間だった(二番目と言っても、一番の運輸業界とほぼ同じ)建設業界より、宿泊・飲食業界や教育業界の方が月末の週間労働時間が長くなる人の割合が多いのは「おや?」と思うデータです。
単純に考えると、建設業界は月末に残業する人が増える訳では無く月初も月中も長時間労働をする人が多いから年間・総労働時間が長くなり、宿泊・飲食業界や教育業界は月末に残業する人が多いけど月初や月中は残業する人が建設業界よりは少ないから年間・総労働時間も少ないのだろう、と推測できます。
年間でも、月末の1週間でも、労働時間が長いことで一番だった運輸業界は「2024年問題」(働き方改革法案によりドライバーの労働時間に上限が課されることで生じる問題)で注目されてます。ドライバーの時間外労働時間の上限を960時間に法的に規制することで、長距離・長時間を運転するドライバーの労働時間が減少することで過労死などが予防されるのかもしれませんが、労災請求件数を介護・医療業界と比較すると、運輸:281件=脳・心臓:133件+精神:147件、医療:325件=脳・心臓:31件+精神:294件、介護:373件=脳・心臓:46件+精神:327件となっており、介護・医療業界の方が運輸業界よりも労災請求が多くなってます。
(脳・心臓疾患の労災請求54/296ページ、精神障害の労災請求63/296ページ)
![](https://assets.st-note.com/img/1697386916599-fqK34qxLVW.jpg)
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ドライバーの労働時間は2024年4月1日から法的に上限規制がスタートすることで運輸業界の労災請求は減少する可能性がありますが、そうなると介護・医療従事者の労災請求件数は他の業界と比較して更に突出しているように見えるかもしれませんね。
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