【アニメ日記】ゴーストが囁く(リアル)

日本で過去にTV放送されたアニメコンテンツの海は、広大だ。

だから配信サイトはラインナップを切らせる心配がない。
近年では、新作アニメの他に過去の人気作をリメイクする流れもあるし、単に過去の放送データをチョイチョイと手直ししただけで、「リマスター版」と銘打って配信するところもあるようだ。

まあ、多過ぎるから無理もない。
今と違って、昭和のTV放送アニメなんて、よっぽど不人気で中断とかされなきゃ、1年通し、30分番組を毎週放送してたから、1セット50話前後とか、盆・暮れ・正月を外しても45話とかある。
これを全て高品質に生真面目に「リマスター」なんてやってたら、コストが追い付かない。時間も、手間も資金も。まして、人気作なら第2、第3期と続いたりするから、全120話を超えたりもするし。

でも、もう少し何とかならないかな。
映像は、結構、いい線だと思う。多分、処理の自動化が進んでるんだろう。
粗が目立つのは音声。アナログ時代に録音されたテープの、所謂「ゴースト音」がそのまま聴こえてしまう。「リマスター版」と銘打ってるのに。

説明しとこう。
アナログオーディオテープは、磁気を使った記録媒体だ。このテープの扱いは、一寸デリケートだ。いや、水とか埃とか汚れには強い方といわれてるが、「コツン!」「ガタッ!」といった衝撃に弱い。これは保管期間中も同じ。
だからもし、そのテープが何処かの倉庫に眠っていて、その間に一度でも地震に遭ったら。建物が「浸水」とか「崩壊」とかしてなくても、建物が耐震構造でも、倉庫の棚がガタガタ揺れただけで、アナログテープにはダメージが残ってしまう。このダメージは外見から確認できないのも、厄介だ。1本1本、聴かないと判らない。

そのダメージが、「ゴースト音」と呼ばれる現象。
古い作品の配信ではよく見られるから、興味があったら聞いてみるといい。
具体的には、例えば作中で声優さんが大きな声で、「何よ〜!」「何だと〜!」とか叫ぶシーン。その前後で小さく囁くように、「(何よ〜!)」「(何だと〜!)」と、無いはずの音が聞こえてしまう。それが「ゴースト」。大きい効果音でも同じ。

アナログテープは磁気を使う。磁性体を吹き付けたフィルムを帯状に長ーくカットして、リールに巻いて扱う。テープの大きい音を記録してる部分は、強い磁気を帯びている。無音部分に相当するテープの部分には、弱い磁気を帯びている。この両者がリールに巻かれてピッタリと重なり合い、外からもし強い衝撃が加えられると…。
磁石の実験と同じ、強い磁気が、弱い方に写ってしまう。そういうテープを再生する時、「囁き」が聞こえる。
そんな現象。

原理は昔から解ってるんで、その気になれば、AIとかも使って効率よくゴースト音を除去する方法が、あったっておかしくないのに。

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