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気まずいランチ

課長と駅前のファミレスに入る。大きなガラス窓から秋とは思えない強い日差しが入ってきて、暑い。課長は野菜炒め定食、私は日替り定食を頼んだ。

先に野菜炒め定食が来た。しかしそれはどう見ても、もやし炒め定食だった。課長は動揺して無暗にコショウをかけた。私はそれを見てなぜか独身時代を過ごしたアパートの台所を思い出した。

もやしはれっきとした野菜である。しかし、動物園に犬しかいなければ犬園と称するべきだし、同じくこれはもやし炒め定食と呼ぶべきであろう。暫くして私の日替り定食が来た。こちらは手の込んだ料理で、煮込んだ鶏肉がゴロゴロ入っていた。どちらも同じ値段である。

気まずい。

既に独身男風スパイシーもやし炒めを完食した課長はやたらとスープバーを飲んでいる。私は熱い鶏肉を飲み込み、咽せた。「ゆっくり食べていい」という優しい言葉にますます焦る。結局、日替り定食は旨かったがあまり味わえなかった。次は一人で来よう。