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ねこのようにゆっくりやすみたい
北澤平祐さんの個展「ねこのようにゆっくりやすみたい」に行ってきた。
その前日Twitterで見かけた白黒の猫の絵とビビッドな色がきれいなイラストの展示だった。会場に行く途中、路上で北澤さんとお会いしたが、とても柔和な素敵な方だった。
展示は朝顔の咲く道に止まった車の下の白黒の猫の絵から始まり、タイトルにはすべて「ねこのように…」がついている。
2枚目、猫を飼うと必要になる様々なもので埋められた画面の中央に猫と少女が寝ている。
「ねこのように あたらしい かぞくに みまもられながら やすみたい」
画面に描かれる様々な日用品はおそらくすべて作者の北澤さんの身の回りにあるものなのだろう。愛着によって選びぬかれたであろう馴染み深いものが、色とりどりのつみ木のように平面的に並べられている。
命あるものも、ないものも、すべて同じ線で丁寧に描写されている。
そして、その画面の中に必ず白黒の猫がいる。
順々に絵が進んでいくと、これは家族と猫の出会いと別れの物語だったことに気づく。
抱かれる猫、仕事を邪魔する猫、家族を待つ猫。
そして白いケージと雪が描かれた画面を取り囲む、色のないスケーターたち。
「ねこのように きぼうを うしなわずに やすみたい」
一番最後に、世界中の美しい屋根が描かれた大きい絵があった。
色とりどりの屋根の上で、猫達が遊んでいる。
ここはきっと、猫の天国なのだなあ、と思ったら、涙が出そうになった
(実際、そのあと絵を見るたびに泣いた)
「ねこのように うんめいを かんじながら やすみたい(9どといわず なんどでも)」
また会う日まで、世界中の屋根の上にある、猫の天国で。
個展は最終日で、絵も半数以上が売れていたから
この状態で見られるのは最後だったかもしれない。
タイトルをそのまま文章にして、一冊の絵本にできると思う。
その本を、すべての猫と出会った人たちに読んでほしいと思った。