【島根県雲南市】隊員自己紹介 小堀 祥仁
名前 :小堀 祥仁
肩書き :雲南市起業型地域おこし協力隊Seed
活動場所 :雲南市内各所、特に木次駅周辺
ミッション:既存の建築ストックを活用した街づくり、空き家活用の仕組みづくり
できること:建築や場の企画・設計、スケッチ、DIY
したいこと:その土地らしさを体現した歩いて楽しい街づくり
◆自己紹介
初めまして小堀祥仁です。出身は埼玉県の大宮(さいたま市)。実家の近くに大宮の町の名前の由来になった武蔵一宮氷川神社という大きな神社があります。氷川神社という名の神社は全国に約280ヶ所あるそうですが、その名の由来は斐伊川や木次町の斐伊神社にあるとされ、不思議なご縁を感じています。
雲南市を知ったきっかけは、大学生の頃所属していた研究室が雲南市からの受託研究に取り組んでいたことがきっかけです。私も研究室の一員として雲南市内の温泉街にある古民家をオーベルジュに再生したり、閉校となった木造の小学校を地域の交流センターに再生するプロジェクトに関わり、東京の大学と雲南とを寝台列車で行ったり来たりする学生生活でした。その間は木次駅前のおくい食堂に居候させてもらっていた時期もありました。
当時驚いたこととして、地域の方々や生産者の方々と話をする中で、多くの人が地域の課題や地元の文化に対して熱い想いを持っていることでした。都市部での暮らしとは違い、個人の顔や里山の資源が見える距離感であることの可能性を感じました。
いつかは自分もどこか地域でまちづくりに関わりたいと思いつつも、同時に不安も感じました。よそから来た若者として可愛がってもらえることはとてもありがたい。しかし、若さには賞味期限がある。年を重ねた時にも依って立つことができる技術や専門性を身につけなければ、結局都合のよい「便利屋さん」になってしまうのではないか?
そうした問題意識から、学んできた建築の実務を一通り知りたいと思い、様々な事業フェーズや関連領域に触れられそうな環境として大手の建設会社に就職することにしました。配属先で担当したプロジェクトは規模も責任も大きく、日々降りかかる難題に向かって日々必死に過ごしていたように思います。幸い、優秀かつ愛のある上司や同僚たちに支えられ、結果的に約12年務めました。その間、東京、大阪、名古屋と転々としながら、大規模な商業施設やオフィスビルの建設プロジェクトに携わり、充実した会社員時代でした。
◆協力隊になった経緯
大規模なプロジェクトの一員であることにやりがいを感じるものの、規模が大きい仕事は関係者も多く、描いたプランが最終的にどう人の役に立つのか見えずらかったり、実際にものづくりをする職人さんらとより近い距離で仕事をしたいと思う気持ちも芽生えてきました。
そうした中で、数年前から学生時代の仲間たちとプロボノ(専門性を活かしたボランティア活動)として、雲南に関わるようになりました。関係人口という言葉が一般化する前でしたが、年に数回は雲南に通い、知人の家の家具を作ったり、キャンプ場の中のツリーハウスを使って多世代交流と子どもたちの創造教育のプログラムをやったりと、建築士としての専門的なスキルを業界の最前線で磨きつつ、使い手と民主的なプロセスでもの作りをしていく。そうしたパラレルな生き方で、自身の中での関心を探っていきました。
地域にどんな課題があるのか?
一方で、雲南市はこの10年ソーシャルチャレンジバレー構想を掲げ、地域の中でチャレンジをする人が次々と育ってきました。近年ではそうした人たちが物件を借りたいと思っても、なかなか見つけることができない、そんな声を聞きます。
今回の地域おこし協力隊の募集に応募した理由
私自身は数年来手掛けていたプロジェクトを引き渡し、今後のキャリアを考えていたタイミングでした。一方で、コロナ禍で雲南に通う頻度は以前より減っていました。
そんな折、雲南にいる知人が古民家を活用したいと思っているから久しぶりに一度見にきてよ!と誘ってもらい、数年ぶりに雲南を訪れました。
こうして自然な形で再び雲南に通い始め、その後起業型地域おこし協力隊Seedの募集があることを知りました。場に関わる中では、何かコトを起こしたいと思う仲間がいたり、その土地の風土について深く理解する必要があります。建築に関わって独立するならば、雲南を軸に活動をするのが良いのではないか?と考え、応募することを決意しました。
◆協力隊の活動内容
現在は雲南市の中心市街地の一つである木次駅前の街中を対象に活動している時間が多いです。地域自主組織と共同した空き家物件の調査やワークショップの実施、古民家を活用した拠点的な場の企画立案、街並みを考える仲間が集う講座の運営などを行っています。
まちづくりの考え方のひとつに「プレイスメイキング」という概念があります。プレイスメイキングとは、「空間に心理的な価値を吹き込んだ『プレイス(居場所)』を実現する為のプロセスのデザイン」とされています。
建築士としての知見や、複雑な事業を進めてきたプロジェクトマネジメントの経験を活かしつつ、なぜこの場所が必要なのか?どうやったら場や活動が自分ごとになるのか?そうした点を掘り下げていきたいと思います。
その為に、地域の歴史や課題を紐解き、事業者や住民の方々と対話し、ビジョンを描き、見える化する。単体の点としての場をつなぎ、面としてのエリア全体の価値を上げていく。そうした結果が空き家活用や雲南市のブランディングにつながればよいと考えています。将来的には雲南市内に30ある地域自主組織の中にも展開して活動できればと思っています。
生活面では、4月から雲南と東京での2拠点生活を送っています。5月からは木次駅前の商店街の中の物件を借りて住み始めることができました。家のそばには魚屋さんが近く、日々の食事に助けられています。地域の交流センターやコワーキングスペースも近く、顔の見える暮らしの中で、地域の様々な声を拾い、形にしていければと思っています。商店街の中で私のことを見かけたら是非声をかけてくださいね!