独りじゃない-4”長い1日の始まり”
「じゃあ、まずクレジットカードと携帯を停止させようか」
カード会社と携帯会社を伝えると、慣れた感じで電話をかけて、本人情報の所だけ私が電話に出て、それ以外は全てお話してくれました。
頭では何も考えられず、言われるがままに動くだけ。
「家に戸籍謄本か抄本あるかな?置いてないかなー、免許証は?」
謄本や抄本は無いけど、免許証は必要ないから家に置いてきたことを伝えると、
「免許証でOK。とりあえず、びっくりされるかもしれないけど、家に電話してFAXを送ってもらうように伝えよう。あと残念だけど今日は帰れないことも伝えておこう。」
海外でパスポートを紛失したり盗難にあったりして再発行したり、あるいは渡航書(後に説明します)を発行してもらう時は、日本でパスポートを発行する際にも必要な戸籍謄本か抄本が必要なのです。当時、本籍地の記載がされている免許証から記載がされなくなる移行期間でしたが、免許証に本籍地の記載があれば代用できるし、記載が無くても本人である証明にはなるから、と。
カナダはお昼前。日本は17時間進んでいるので、翌日の朝4時頃。もちろん、寝ている時間です。
借りた携帯で、日本に電話。
こんな早朝に電話がかかってくるなんて、良い話な訳が無く、それをなんとなく感じ取ったかのような母親が電話口に、寝起きとも思えないような、はっきりとした口調で出てきました。
「詳しい事は、また落ち着いてから話するから。免許証を○○までFAXして。それと、今日、帰れなくなった。でも大丈夫。」
日本にいる家族にとっても、とてつもなく長い1日が始まりました。
”独りじゃない-5”へ続く